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『しらなみのかげ』

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こは、日々つらつらと念ひしことのとみに濫れてはすぎゆくに、浦によする沖つ白波の八重をりて、ささなみの下にあまたうたかたの浮かぶがごとく、そのかたちの成りては千々に消ゆるさまを、よ…
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2024年3月の記事一覧

【しらなみのかげ】「絶対的なるもの」の帰趨とデカルトの神の存在証明 #34

【しらなみのかげ】「絶対的なるもの」の帰趨とデカルトの神の存在証明 #34

0.近代における「宗教」の諸相

前回の記事では、「宗教」への問いは「近代」への問いである、という私の根本的な学問的関心の核心を書いてみた。その概略を改めて記せば以下のようになる。



−自明の範疇であるかのように思われる「宗教」という概念は、それと対置される「世俗」という概念と共に、ルネサンス、宗教改革、そして近代国家と政教分離の成立と共に近代において歴史的に構成された範疇であり、近代の人々

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【しらなみのかげ】近代の本質とは「宗教」への問いである #33

【しらなみのかげ】近代の本質とは「宗教」への問いである #33

初めに述べておきますが、この記事は考えている問題の核心に一通り触れながら書いている内に大部となりました。





この「しらなみのかげ」を桃の節句に久々に更新してから、又暫く時間が経った。





前回書いた如く、一昨年より我が抱負を一事業とせんとして走り続けてきた私の人生は、一月の末から二月の頭に掛けての間に共同事業者の一人、しかも立場上の責任者の背信行為に遭い、唐突なカタストロフを

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【しらなみのかげ】没落しようと何度でも #32

【しらなみのかげ】没落しようと何度でも #32

この雑記帳「しらなみのかげ」を書くのも、随分と久しぶりのことになる。

過去のアルバムを見返すように、自分のnoteアカウントを開いてみる。最後の更新は一昨年の夏だ。『シン・ウルトラマン』を「新しき神話」として読み解く文章である。2022年7月22日というその日付を見て、この後間も無く、当時世界を覆っていた新型コロナウイルスに罹患したことを思い出す。目立った症状としては、二、三日の間、高熱と激しい

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