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『しらなみのかげ』

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こは、日々つらつらと念ひしことのとみに濫れてはすぎゆくに、浦によする沖つ白波の八重をりて、ささなみの下にあまたうたかたの浮かぶがごとく、そのかたちの成りては千々に消ゆるさまを、よ…
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2022年7月の記事一覧

【しらなみのかげ】ウルトラマンという新しき「神話」 #31

【しらなみのかげ】ウルトラマンという新しき「神話」 #31

これは、書きさして放置していた稿を徐ろに思い出し、書き上げたものである。


文月になって三日のことである。母方の御墓参りに行って親族と食事をした後、遅ればせながら庵野秀明が手掛け、樋口真嗣が監督となった『シン・ウルトラマン』を観に行った。


『シン・ウルトラマン』。毀誉褒貶相半ばするこの作品であるが、結論から言えば私は或る面においてとても良いと感じた。その余りに軽妙な、時に軽薄にすら思

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【しらなみのかげ】「東南アジア」は雲と虎 #30

【しらなみのかげ】「東南アジア」は雲と虎 #30

今日はシンガポールの著名な映像作家であるホー・ツーニェン氏の講演をウェビナーで聴いた。京都芸術大学大学院と一般社団法人HAPSの主催である「GLOBAL ART TALK 033 ホー・ツーニェン氏「空白の時を位置づける (キュレーションの諸問題)」という講演会である。現地に行きたかったものの、京都芸術大学の関係者しか立ち入れないということで断念せざるを得なかった。


イベント概要には次のよ

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【しらなみのかげ】国家の助成を得た理性の公的使用は国家社会の為にも資さねばならない #29

【しらなみのかげ】国家の助成を得た理性の公的使用は国家社会の為にも資さねばならない #29

六月の長い間、何故だか全然文章が書けなかった。


その理由は、上旬から中旬に件の裁判関係のことにかかずらわされており、その余りの疲労で暫くは何も出来なかったことである。ありがたいことに多くの人の助けもあって結果的には良い方向に向かったが、一時は進退窮まったかとも思われた。資料集めから何から非常な疲れを要し、一旦全てが落ち着いてから丸一日寝込む日もあった。東京への旅程において友人に勧めてもらっ

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