【がん治療記x受験奮闘記】友人(1)

 入院から1週間が経過しようとしていた頃、明言は避けるが男性として必然的なある悩みを抱えることとなる。男子高校生が1週間もそれを我慢するというのはかなり難しい。そこで僕は文系の友人にLINEでこんなメッセージを送った。
「我欲慰自 是衝動如何」
 なんともくだらないメッセージだったが、友人はこう返してきた。
「使看護師慰若」
 嬉しかった。こんなくだらない会話に付き合ってくれる友人を持ってよかったと感じた。彼とは中学1年生の頃からの友人であり、僕の下品な会話には慣れているのだと思う。ただ、あまり下品なことを自分から言わない彼から僕よりも下品な内容の返信があったことに少し驚いた。
 コロナのせいで面会が禁止されていたためこのほんの少しの会話が僕の気持ちを落ち着かせてくれた。日本語訳にはしないが内容は下品でくだらない。ただ、そんな会話がしたかった。学校に通っている時と同じような無駄な会話が僕を励ました。この返信が来た時だけは受験に対する不安も消えた。
 僕はいつまでも馬鹿でありたい。馬鹿でいて、さらに自身の欲求に正直でいる。その方が生きていて楽しいと思う。この頃からそう思うようになった。


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