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韓国系日本人のカトリック。 聖書通読チャレンジ記録。 サムエル記下1章までの記事は、は…

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韓国系日本人のカトリック。 聖書通読チャレンジ記録。 サムエル記下1章までの記事は、はてブのそれをインポートしています。

最近の記事

サムエル記下23章/詩としてのダビデ、散文としてのダビデ

・本記事は何を書くか 本章における詩としてのダビデの最期のことばと、列王記2章の散文として書かれた彼の最期のことばを比較する。 ・二つのダビデ解釈 本章においてダビデは詩で最期の言葉を語る。 丁度、創世記49章でヤコブが、申命記33章でモーセが自らの死を前に詠ったように。 非常に明るく穏やかな調子でダビデの最期の詩は詠まれる。 神が選んだ王であるダビデと(サムエル記上 16:1)、その王朝には恵みが永遠に与えられる(サムエル記下 7:12)。 印象派絵画のようにすべて

    • サムエル記下 15章/わたしの心にかなう者

      ・本記事は何を書くか サムエル記下15章を中心に同書で描かれた人物たちが勝利や成功に恵まれている場合と権威や安全を失った時を比較し、最終的に神であり人であるキリストを基にダビデの生涯を解釈する。 1.「わたしの心にかなう者」 新約、旧約共にダビデは「神の御心にかなう者」(使徒 13:22、サムエル記上 13:14)と評されている。この意味をクリスチャンに問うならば大抵の場合は次のような答えが返ってくる。 「ダビデは信仰の力によって巨人を倒し、強大な王国を実質的に建国し、

      • サムエル記下14章/テコアの賢女

        ・この記事は何を書くか 本記事はテコアの女のエピソードがサムエル記内で果たす役割である敵との一時的な和解へとアプローチし、最終的に完全な神であり、完全な人であるキリストを解釈のレンズとして使用する。 ・本章がサムエル記内で果たす役割 1.一時的な和解、サウルとアブサロム サウル王から逃走しているダビデが自分の手に渡された彼に復讐せず、裁きを神に任せる逸話がサムエル記上には二つある。サムエル記上24章及び同26章における物語の構造は類似しており次のようになる。 ⓵ダビ

        • サムエル記下 13章/父としてのダビデ、王としてのダビデ

          ・本章を一言でまとめると ダビデの三男アブサロムは姉を強姦されたことで異母兄のアムノンを憎む。アブサロムは祝いの席で彼を殺し、復讐を果たす。 ・心に残った聖句 ・皮肉に満ちた悲劇 本章は皮肉に満ちている。息子たちはダビデの人生を韻を踏んで繰り返す。 ①ダビデは他人の妻バトシェバを寝取ったが、本章ではダビデの長男アムノンは異母妹タマルを強姦する。 ⓶かつてダビデは羊毛の刈り取りを祝う日に、王の宴会にも似た宴会をする"愚か者"ナバル(サムエル記上 25:25、36)への復

        サムエル記下23章/詩としてのダビデ、散文としてのダビデ

          サムエル記下 12章/「その男はあなただ」

          ・本章を要約すると 部下の妻を寝取り妊娠させ、その隠蔽に部下を死に追いやった王を預言者がたとえを用いて諭す。王は悔い改めるが、罪の結果として自分の子が死ぬ。妻を慰めた王は新しい子を授かる。 プライベートでの失敗や不幸とは裏腹に、王は宿敵の首都を滅ぼす。 ・心に残った聖句 ウリヤの妻バトシェバを寝取り妊娠させ、しかもその罪を隠蔽しようと臣下であるウリヤを死地に赴かせたダビデ王。主から遣わされた預言者ナタンはたとえ話を用いて彼を叱責する。 わたしたちはここまであからさまな

          サムエル記下 12章/「その男はあなただ」

          サムエル記下 11章/ウリヤの妻によって

          ・本章を一言で表すと 外征中の将軍の妻と床を共にしたダビデ王。王はこの罪を揉み消すために彼女の夫を亡き者にする。 ・あらすじ 冬の休戦期間が終わりアンモン人との戦争が再開される。イスラエル軍がアンモンの首都ラバを包囲している最中、ダビデ王はエルサレムに残っている。 自分の部下たちが戦場にある時、午睡から目覚め散歩していた王は穢れを清めるため(レビ記 15:19)に沐浴をしている美女を見かける。その女性についてダビデが部下に調べさせてみると、彼女の名はバトシェバ。外征中

          サムエル記下 11章/ウリヤの妻によって

          サムエル記下 10章/上昇するダビデ、下降するダビデ

          ・本章を一言で表すと 同盟者が逝去したため弔問の使者を送るダビデ王。が、弔問先で使者たちが侮辱を受けたため戦争が始まる。ダビデ軍は将軍、次に王自らが率いた戦いで次々と勝利を重ねる。 ・あらすじ ダビデはサウル王を共通の敵(サムエル記上 11:1-4)とするアンモン人の王ナハシュと同盟関係にあった。その彼が亡くなったため哀悼の意を示そうとダビデ王は使者を送る。 が、新しいアンモンの王、ナハシュの子ハヌンは家臣からの「ダビデの使者は弔問のためではなく我々の内情を偵察しに来た

          サムエル記下 10章/上昇するダビデ、下降するダビデ

          サムエル記下 9章/王の食卓に連なるしもべ

          ・本章を一言で表すと イスラエルの前王家であるサウル家の生き残りのメフィボシェトは、かつて自分の祖父の臣下だった現国王ダビデに招かれ、王の食卓に連なる特権を受ける。 ・あらすじ ダビデはサウル前王の息子ヨナタンと親友であった。今は亡きヨナタンに忠実を示す為、サウル家の生き残りを探すダビデ王。 サウル家に仕えていたツィバという者を呼び出した彼は、ヨナタンの息子が一人まだ生きていることを知る。それは両足が不自由なメフィボシェトという者であった。 ダビデ王に呼び出されたメフ

          サムエル記下 9章/王の食卓に連なるしもべ

          サムエル記下 8章/肉の掟による祭司、命の力による祭司

          ・本章を一言で説明すると ダビデ王はペリシテ人たちやモアブ人などと戦い勝利し、また様々な重臣たちを任命する。 ・あらすじ ダビデは西(ペリシテ)、東(モアブ)、北(ハマテ)、南(エドム)の敵と戦い勝利する。 また、彼は全イスラエルを支配し、そのすべての民のために裁きと恵みの業を行い。様々な重臣たちを任命する。 ・心に残った聖句 本章はダビデが東西南北の敵と戦い勝利したとの記述が大半だが、今回読んで印象に残った聖句はこの箇所である。 なぜならば本章でダビデの息子たちは

          サムエル記下 8章/肉の掟による祭司、命の力による祭司

          サムエル記下 7章/誰が誰のために家を建てるのか

          ・本章を一言で説明すると ダビデ王は主のために神の家である神殿を建設しようと決意するが、却って主からダビデ家の王朝を永遠のものにするとの約束を受け、驚嘆し、主を讃美する。 ・あらすじ サウル家との王位を巡る争い、契約の櫃のエルサレムへの運び上げを終え一息ついたダビデ王。「自らは宮殿に住んでいるのに、主はテント暮らし。これはいかがなものか」と預言者に相談する。宮廷預言者も神殿建設に乗り気な返事をする。 その夜、主のことばが宮廷預言者に臨む。 「わたしがかつて選んだ士師た

          サムエル記下 7章/誰が誰のために家を建てるのか

          サムエル記下 6章/ダビデ夫妻に見る主への向き合い方の違い

          ・本章を一言で説明すると ダビデ王がキルヤト・エアリム、別名バアレ・ユダから契約の櫃をエルサレムに運び上げるが、礼拝の仕方を巡って妻と不仲になる。 ・あらすじ 政治的に国家を統一したダビデは宗教的にもイスラエルを統一するためか、3万の兵士と共にその契約の櫃をエルサレムに運び上げようとする。 契約の櫃を載せた車を牛に牽かせ、音楽を奏でながら意気揚々とエルサレムに向かうダビデ一行であったが、旅の途中でよろめいた箱を手で押さえたウザが神に打たれて死んだことに恐怖する。 ダビ

          サムエル記下 6章/ダビデ夫妻に見る主への向き合い方の違い

          サムエル記下 5章

          ・あらすじ 王位を巡る対立相手のサウル家が崩壊したことにより、ダビデは本章においてイスラエル全部族の長老たちから油を注がれ統一イスラエルの君主となる。 統一イスラエル王ダビデはそれまで異教徒のエブス人が居住していた街エルサレムを攻め落とし、ヘブロンに代わりエルサレムがダビデ王朝の首都となる。 ペリシテ人たちが統一イスラエルに戦いを挑んで来たがダビデは逆に彼らを返り討ちにする。 1.異邦人の街エルサレム エルサレムは元々ユダヤ教の聖地ではないし、そもそもユダヤ人の街ですらない

          サムエル記下 5章

          サムエル記下 4章

          ・サムエル記内における本章の意味 本章開始時点でダビデ家と敵対するサウル家の王位継承権を持つのは現当主イシュ・ボシェトだけである。 サウル家のもう一人の男子、メフィボシェトは足が不自由であり(サムエル記下 4:4)古代オリエントの伝統に則り継承権を保有しない。 サウル家は有力な将軍であり、家内の実権を握っていた(サムエル記下 3:6)アブネルが前章においてダビデ家に寝返った末に暗殺され、本章で前述の現当主イシュ・ボシェトを失う。 これによりサウル家は崩壊し、次章においてダ

          サムエル記下 4章

          サムエル記下 3章

          サムエル記はサウル家からダビデ家に王権が移ったのは神意による。との立場から記された歴史書である。 本章を読み、聖書における歴史とは何か。について考えた。 歴史とは、また歴史を動かす原動力とは一体どのようなものであると聖書は書いているのだろうか。 1.歴史を動かすものは偶然である 人間の人生や歴史を動かすものは偶然である。 わたしたちは自分の人生や歴史を振り返ってみた際に何らかの意味を見出すが、それは壁の染みを見て「人の顔に見える」というのと同じで、単なる偶然の結果を何ら

          サムエル記下 3章

          サムエル記下 2章

          1.塗油について ダビデはその生涯のうち三度の塗油を受けている。 一度目がサムエル記上16:13、二度目が今回、三度目がサムエル記下5:3である。 このうち最も重要なのはまだダビデが貧しい羊飼いであったころ、兄弟たちしか見守る者の居ない実家で預言者サムエルより受けた一度目の塗油であろう。 からである。 対して、ダビデが受けたその他の二度の塗油はユダの王、そしてイスラエルの王に即位する際のものである。 世俗的には王権が与えられる重要なものではあるが、それは「ユダの人々」「

          サムエル記下 2章

          サムエル記下 1章

          ダビデは自分の衣をつかんで引き裂いた。共にいた者は皆それに倣った。 彼らは、剣に倒れたサウルとその子ヨナタン、そして主の民とイスラエルの家を悼んで泣き、夕暮れまで断食した。 ‭‭サムエル記下‬ ‭1‬:‭11‬-‭12‬ さて、イエスは悪魔から誘惑を受けるため、“霊”に導かれて荒れ野に行かれた。 そして四十日間、昼も夜も断食した後、空腹を覚えられた。 すると、誘惑する者が来て、イエスに言った。 「神の子なら、これらの石がパンになるように命じたらどうだ。」 イ

          サムエル記下 1章