學鐙<GAKUTO>

丸善雄松堂 企業PR誌『學鐙』の公式noteです。特集記事を中心に配信しています。20…

學鐙<GAKUTO>

丸善雄松堂 企業PR誌『學鐙』の公式noteです。特集記事を中心に配信しています。2024年夏号は6月5日刊行。定価250円/冊。Amazonでも販売中。https://amzn.asia/d/haym4gU

マガジン

  • 學鐙 夏号(Vol. 120 No.2)

    學鐙 夏号(Vol. 120 No.2)の掲載記事をまとめました。特集「いま私たちが学ぶべきこと」(2023年6月5日刊行)

  • 學鐙 秋号(Vol. 120 No.3)

    學鐙 秋号(Vol. 120 No.3)の掲載記事をまとめました。特集「共に在る、共に生きる」(2023年9月5日刊行)

  • 學鐙 冬号(Vol. 120 No.4)

    學鐙 冬号(Vol. 120 No.4)の掲載記事をまとめました。特集「はたらくを繙く」(2023年12月5日刊行)

  • 學鐙 夏号(Vol. 121 No.2)

    學鐙 春号(Vol. 121 No.2)の掲載記事をまとめました。 特集「私の原点、転換点」(2024年6月5日刊行)

  • 學鐙 春号(Vol. 121 No.1)

    學鐙 春号(Vol. 121 No.1)の掲載記事をまとめました。 特集「いまそこにある問いと謎」(2024年3月5日刊行)

記事一覧

能町 みね子「快適からさらなる快適を求める二拠点生活」

 この原稿を依頼されるにあたり、提示されたテーマは「過去の選択と、今の私」でした。つまり現状に至るまでに起こった、人生における大きな選択、転機となる分岐点につい…

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學鐙<GAKUTO>
3週間前
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小林 龍二「救世主オオグソクムシ」

 幼少の頃から水中生物が好きで、これまでの人生において身の回りに常に水槽があり、そこに入る生き物がいる生活を送ってきました。将来は仕事で一日中これらを扱い、しか…

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學鐙<GAKUTO>
3週間前
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安部 芳絵「研究と子育ちのままならない道のり」

 大学の教員として国連子どもの権利条約を研究している。とくに、災害時の子ども支援について、全国の児童館・放課後児童クラブ(学童保育)を事例として調査している。家…

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學鐙<GAKUTO>
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米田 優峻「楽しんで学ぶために」

 今から九年前のことです。私は部活の先輩から日本情報オリンピックという大会を教えていただきました。当時中学一年生だった私は、これが人生にどう影響を及ぼすか全く予…

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學鐙<GAKUTO>
3週間前
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神田 さやこ「異国・インドに出会う」

 私は南アジア経済史を研究している。主な研究対象地域は、ベンガル地方(現在のインド・西ベンガル州とバングラデシュを含む地域)である。学部は経済学部で、日本経済史…

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學鐙<GAKUTO>
3週間前
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サリ・アガスティン「私の召命と日本への派遣」【全文公開】

 日本にキリスト教を伝えたイエズス会士フランシスコ・ザビエルは来日前、インドのゴアを中心に活動をしていた。スペイン人のザビエルはポルトガルからインドのゴアにやっ…

學鐙<GAKUTO>
3週間前
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内田 樹「私の原点」【全文公開】

 私が人生の転換点に立ったのは一九七五年の十二月末のある日のことである(正確な日付は残念ながら覚えていない)。その少し前に私は合気道自由が丘道場に入門していたの…

學鐙<GAKUTO>
3週間前
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荒俣 宏「亡びゆく昭和の趣味家(すきもの)とカミの「恩寵」」

 我が家はカミ屑に埋まっている。中には大切な書類や取材メモもあるはずだが、本物のゴミと交じりあって区別がつかない。たまに断捨離でもしたい気分になり、捨てようと拾…

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學鐙<GAKUTO>
3週間前
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『學鐙』のご購入について

『學鐙』公式noteのページをご覧くださり、ありがとうございます。 小誌『學鐙』は季刊誌として、3月(春号)、6月(夏号)、9月(秋号)、12月(冬号)の年4回刊行してい…

學鐙<GAKUTO>
2か月前
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内藤 陽介「日本最初の切手にはなぜ龍が描かれたのか」

龍切手の誕生  一八四〇年に英国で発行された世界最初の切手は、①英国を象徴するもの、②国民に受け入れられるもの、③十分な偽造防止策が採れるもの、という条件を満た…

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學鐙<GAKUTO>
4か月前
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山田 雄司「忍ぶもの、解き明かすもの」

忍者研究の始動  近頃、活字を見ていると、「忍」という文字だけが目に飛び込んでくる。二〇一二年から忍者研究をはじめ、十年あまり経つが、意識せずとも脳が自然と「忍…

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學鐙<GAKUTO>
4か月前
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湯澤 規子「ウンコを自分事として引き受け直す——生まれてつながり、育つ問い」

生まれる問い——ノートと一人研究会  自分の中に「問い」が生まれると、私はノートを一冊用意して、表紙にその問いを書き付ける。それが「一人研究会」開始の合図となる…

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學鐙<GAKUTO>
4か月前
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成田 聡子「生き残りをかけた「宿主操作」と「寄生」」

現在の地球上で繁栄している人類  今の地球には、どのくらいの種類の生物種が存在しているかご存知でしょうか。人類の数は、国際連合(国連)の推計では二〇二二年に八〇…

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學鐙<GAKUTO>
4か月前
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川島 素晴「「演じる音楽」という謎」

 私は、現代音楽の作曲家であると同時に、国立音楽大学で作曲の指導も行っている。現代音楽分野での私自身の探求については後段で述べるとして、まずは、より読者の関心が…

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學鐙<GAKUTO>
4か月前
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呑海 沙織「超高齢社会における図書館をめぐる問い」

図書館とは  図書館とはなんだろう。多くの本が書架に並んでいて、本を無料で借りることができるところというイメージがあるのではないだろうか。しかし図書館は、単に本…

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學鐙<GAKUTO>
4か月前
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高野 秀行「謎スランプと「インナーネット」」

「高野さんは謎をどうやって見つけているんですか?」  こういう質問を最近、頻繁に受ける。読者の人たちからすると、私のように三十五年以上にわたってひたすら謎を探し…

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學鐙<GAKUTO>
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能町 みね子「快適からさらなる快適を求める二拠点生活」

 この原稿を依頼されるにあたり、提示されたテーマは「過去の選択と、今の私」でした。つまり現状に至るまでに起こった、人生における大きな選択、転機となる分岐点についてひとつお願いします、というわけです。  中高年が自分の人生を決定づけた選択について語り出すとなると、だいたいその人が「何者か」になる前の話をすることになります。  何者か分からない状態の自分が、何者かへの糸口を掴み始めた瞬間。  不安定→安定へのドラスティックな変化。  そういったものが、この手の話としてはもっともポ

¥100

小林 龍二「救世主オオグソクムシ」

 幼少の頃から水中生物が好きで、これまでの人生において身の回りに常に水槽があり、そこに入る生き物がいる生活を送ってきました。将来は仕事で一日中これらを扱い、しかも給料までもらってしまう楽園のような職業=水族館の飼育員になろうと、自宅で水槽を眺めては一人で不気味に笑っておりました。  しかしながら時代は就職氷河期であり、もともとの自分の学力もしれていたこともあり、有名な人気水族館には就職できず偶然欠員募集の出た地元の小さな竹島水族館へ、まぁ一応水族館だし家からも近いしいいかとい

¥100

安部 芳絵「研究と子育ちのままならない道のり」

 大学の教員として国連子どもの権利条約を研究している。とくに、災害時の子ども支援について、全国の児童館・放課後児童クラブ(学童保育)を事例として調査している。家族は、夫が一人と大学二年、高校三年、中学三年の男子三人。お米が一ヶ月に三〇キロなくなる。これは、ある研究者の研究と子育ち(親育ち)のままならない道のりの話である。 ママ、いかないで  子どもは三人とも、〇才の頃から保育園に通った。次男が二歳児さんクラスの頃、研究をやめた方がいいのではないか、と思い悩んだことが一度だ

¥100

米田 優峻「楽しんで学ぶために」

 今から九年前のことです。私は部活の先輩から日本情報オリンピックという大会を教えていただきました。当時中学一年生だった私は、これが人生にどう影響を及ぼすか全く予想していませんでした。しかし今振り返ると、これがなければ東京大学の情報科学科に進学することもなく、本を出版することも無く、もしかしたらただ堕落した生活を送っていたのかもしれないと言い切れるほど、人生の決定的な転換点になりました。そこで本稿では、日本情報オリンピックがどう私を変えたか、そして楽しんで学んでいく上で大切なこ

¥100

神田 さやこ「異国・インドに出会う」

 私は南アジア経済史を研究している。主な研究対象地域は、ベンガル地方(現在のインド・西ベンガル州とバングラデシュを含む地域)である。学部は経済学部で、日本経済史のゼミに所属したので、経済史を専攻するのは不思議ではないだろう。では、なぜ南アジアなのか。それは大学生の時にインドに出会ってしまったからにほかならない。大学二年生の時、一週間程度インドを旅行した。それはイラクがクウェートに侵攻した一九九〇年八月のことである。訪れたのはカルカッタ(現コルカタ)。このカルカッタ旅行での経験

¥100

サリ・アガスティン「私の召命と日本への派遣」【全文公開】

 日本にキリスト教を伝えたイエズス会士フランシスコ・ザビエルは来日前、インドのゴアを中心に活動をしていた。スペイン人のザビエルはポルトガルからインドのゴアにやってきて、「人々の救いのための福音」を宣べ伝えた。ゴアからさらに東に目を向けたザビエルは港町マラッカでアンジェロ(弥次郎)という日本人に出会い一五四九年八月一五日に鹿児島に上陸した。ザビエルは日本で約二年間宣教活動を行うと共に、東西文化、社会をつなぐ役割も果たした。後の日本におけるキリスト教迫害、鎖国時代を経てのイエズス

内田 樹「私の原点」【全文公開】

 私が人生の転換点に立ったのは一九七五年の十二月末のある日のことである(正確な日付は残念ながら覚えていない)。その少し前に私は合気道自由が丘道場に入門していたのだけれど、その日に多田宏先生の弟子になった。この人を生涯の師としようと決めたのである。それが私の原点である。  その年の三月に私は大学を卒業した。在学中就活というものをしていなかったし、受験勉強をしないで臨んだ大学院入試にも落ちたので、卒業と同時にルンペンになった。  さいわい、七〇年代なかば日本社会は高度成長期のただ

荒俣 宏「亡びゆく昭和の趣味家(すきもの)とカミの「恩寵」」

 我が家はカミ屑に埋まっている。中には大切な書類や取材メモもあるはずだが、本物のゴミと交じりあって区別がつかない。たまに断捨離でもしたい気分になり、捨てようと拾い上げた紙束をよく見ると、年来さがしまわっていた重要資料だったりするので、捨てるのもこわい。最近もっと始末に悪くなったのが、パソコン内に散らかしたデータファイルの山だ。更新しつづけるうちにどれが最新か分からなくなっていくばかりだ。  だが、このような“カミ地獄”に堕ちたそもそもの原因には、思い当たるふしがないわけではな

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『學鐙』のご購入について

『學鐙』公式noteのページをご覧くださり、ありがとうございます。 小誌『學鐙』は季刊誌として、3月(春号)、6月(夏号)、9月(秋号)、12月(冬号)の年4回刊行しています。 現在、以下のサイトまたは店舗にてご購入いただけます。noteに掲載している特集記事のほか、多彩な執筆陣による「企画連載」や「書評」もご覧いただけますので、よろしければぜひチェックしてみてください。 電子版honto Amazon 冊子版冊子版は下記の書店にてお求め頂くか、お近くの書店にてお問

内藤 陽介「日本最初の切手にはなぜ龍が描かれたのか」

龍切手の誕生  一八四〇年に英国で発行された世界最初の切手は、①英国を象徴するもの、②国民に受け入れられるもの、③十分な偽造防止策が採れるもの、という条件を満たすものとして、ヴィクトリア女王の肖像が取り上げられている。  その後、世界各国で郵便料金前納の証紙として切手が発行されるようになるが、多くの場合、その意匠は、貨幣の歴史的な伝統に倣い、国家元首や〝建国の父〟と呼ばれる人物の肖像、ないしは国章を取り上げるか、あるいは、実用性を優先させて額面の数字を大書するか、そのいずれ

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山田 雄司「忍ぶもの、解き明かすもの」

忍者研究の始動  近頃、活字を見ていると、「忍」という文字だけが目に飛び込んでくる。二〇一二年から忍者研究をはじめ、十年あまり経つが、意識せずとも脳が自然と「忍」を見つけ出すようになったようである。  それまでの私の研究テーマは、怨霊や怪異、伊勢信仰、熊野信仰といったところであったが、突然忍者研究に携わることになった。それは、三重大学が国立大学法人となり、地方国立大学の使命として、地域とともにさまざまな課題に取り組み、地域からの要望に応えていく必要が生まれてきたからである。

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湯澤 規子「ウンコを自分事として引き受け直す——生まれてつながり、育つ問い」

生まれる問い——ノートと一人研究会  自分の中に「問い」が生まれると、私はノートを一冊用意して、表紙にその問いを書き付ける。それが「一人研究会」開始の合図となる。私にとって「今そこにある問い」なのだということが重要なので、何かの役に立つという積極的な意味付けも無いままに、心の中で何かが動き、「好奇心」が芽生えたことをまず自覚する。そして、自分の中に生まれたことにはきっと何かの意味があるはずだということだけを信じて、その「問い」を育て始めるのである。  わざわざ「研究会」と名

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成田 聡子「生き残りをかけた「宿主操作」と「寄生」」

現在の地球上で繁栄している人類  今の地球には、どのくらいの種類の生物種が存在しているかご存知でしょうか。人類の数は、国際連合(国連)の推計では二〇二二年に八〇億人に達したと考えられています。これは、人類、つまり生物種で言うと、ホモ・サピエンス(学名:Homo sapiens)という生物一種の数です。 地球上に存在する生物種  では、現在の地球上には、私たちホモ・サピエンスという生物種以外に何種類の生物が発見され名前が付けられているかというと、約一七五万種です。そのうち

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川島 素晴「「演じる音楽」という謎」

 私は、現代音楽の作曲家であると同時に、国立音楽大学で作曲の指導も行っている。現代音楽分野での私自身の探求については後段で述べるとして、まずは、より読者の関心が高いと思える、音楽大学での作曲の指導の現況について述べたい。 「今、作曲を教える意味とは?」  作曲専攻の学生は、クラシック音楽ベースの作曲理論(和声学、対位法、管弦楽法等)に加え、楽曲分析、ソルフェージュ、DTM(PCを用いた音楽制作)等、音楽全般の様々な勉強をしなければ一人前の作曲家にはなれない。そうした勉強を

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呑海 沙織「超高齢社会における図書館をめぐる問い」

図書館とは  図書館とはなんだろう。多くの本が書架に並んでいて、本を無料で借りることができるところというイメージがあるのではないだろうか。しかし図書館は、単に本を貸し出す施設ではない。図書館には、国立図書館、公共図書館、大学図書館、学校図書館、専門図書館などがあるが、ここでは公共図書館に焦点をあてたい。  IFLA—UNESCO公共図書館宣言2020では、公共図書館を「地域において知識を得る窓口」とし、その役割を「個人および社会集団の生涯学習、独自の意思決定および文化的発展

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高野 秀行「謎スランプと「インナーネット」」

「高野さんは謎をどうやって見つけているんですか?」  こういう質問を最近、頻繁に受ける。読者の人たちからすると、私のように三十五年以上にわたってひたすら謎を探し続けているのは驚異なのだろう。大学探検部在籍時に探しに行った「謎の怪獣(未知動物)モケーレムベンベ」を皮切りに、「謎のアヘン王国」「謎の西南シルクロード」「謎の独立国家ソマリランド」「謎のアジア・アフリカ納豆」「謎のイラク巨大湿地帯」などなど、場所もテーマも異なり、ほとんどの日本人が存在すら知らないような謎を見つけて、

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