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川島 素晴「「演じる音楽」という謎」

川島 素晴(かわしま・もとはる)——作曲家・国立音楽大学准教授。
1996年、クラーニヒシュタイン音楽賞(日本人作曲家として歴代唯一の受賞)。1997年、芥川作曲賞。「題名のない音楽会」等TV番組に多数出演。

 私は、現代音楽の作曲家であると同時に、国立音楽大学で作曲の指導も行っている。現代音楽分野での私自身の探求については後段で述べるとして、まずは、より読者の関心が高いと思える、音楽大学での作曲の指導の現況について述べたい。

「今、作曲を教える意味とは?」

 作曲専攻の学生は、クラシック音楽ベースの作曲理論(和声学、対位法、管弦楽法等)に加え、楽曲分析、ソルフェージュ、DTM(PCを用いた音楽制作)等、音楽全般の様々な勉強をしなければ一人前の作曲家にはなれない。そうした勉強を踏まえて作曲し、それを実演する等の様々な現場経験を経て、クラシック系ならコンクール、劇伴系ならデモ音源を片っ端から事務所に送るといった努力の末、一握りが生き残る。大変な道ではあるが、これまで、活躍する卒業生を多数輩出してきた。
 ところが、である。

―『學鐙』2024年春号 特集「いまそこにある問いと謎」より―

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灯歌
東 直子(歌人)
特集
林 望(作家・国文学者)★
高野 秀行(ノンフィクション作家)★
呑海 沙織(筑波大学 副学長・附属学校教育局教育長)★
川島 素晴(作曲家・国立音楽大学准教授)★
成田 聡子(博士(理学)・株式会社日本バイオセラピー研究所筑波研究所 所長代理)★
湯澤 規子(法政大学人間環境学部教授)★
山田 雄司(三重大学人文学部教授・国際忍者研究センター副センター長)★
内藤 陽介(郵便学者・作家)★
企画連載
家 正則(日本学士院会員・国立天文台名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)
永江 朗(ライター)
五十嵐 杏南(サイエンスライター)
髙宮 利行(慶應義塾大学名誉教授)
書評
渡辺 祐真(文筆家・書評家)
水上 文(文筆家 ・文芸批評家)
宮野 公樹(学問論・大學論 研究者)
平山 亜佐子(挿話蒐集家・文筆業)
酒井 泰斗
丸善出版刊行物書評
仲野 徹(隠居・大阪大学名誉教授)
神田 伊織(講談師)

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