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美術館のSNSマーケティング [成功の秘訣!でもその前に…]

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美術館や博物館が、Twitter、Instagram、FacebookなどのSNSアカウントを持っているのは珍しくない時代です。むしろ何もやっていない方が少数派かな?

ただし、現実を見てみましょう。

SNS運用が成功している美術館もあれば、逆に何の効果も上げていないところ(人の労力を割いている分マイナスとも言える)もあり、成功と失敗の明暗がこれ以上ないぐらいはっきり分かれているのではないでしょうか。

おっと、自分の話をしないとフェアではないので先に言っておくと、私が勤める美術館はSNSアカウントを持っていません。やってみた方がいいのでは、という話は何度か出ているのですが、これから語るような理由から見送っています。

この記事の後半では、SNS運用を成功させるために必要なものを解説してみました。これは美術館に限らず、SNSを使って影響力をもちたいという人もある程度応用できるのでは、と内心思っています。
ただし、最後に「そこまでしてSNSをやる必要がある?」という身も蓋もないことを言って終わりますので、そのつもりで。

では行ってみましょー。

美術館がSNSをやる目的とは

まずは、美術館がSNSの発信をする目的を明確にしておきましょう。

一般企業も同じでしょうが、SNSをやる第一の目的は、美術館の認知度を上げることですよね。
知ってもらう、興味をもってもらう、これがすべての第一歩ですから。

そしてその先にある真の目的が、来館者数アップでしょう。
つまり集客につなげるために、SNSを運用するのです。このゴールを忘れてしまうと、個人が趣味でやっているSNSと変わらなくなってしまいます。

マーケティングの世界では、消費者が商品を購入するまでのプロセスを「AIDMA(アイドマ)」の法則、「AISAS(アイサス)」の法則などで説明しています。

AIDMA(アイドマ)Attention(認知・注意)→ Interest(興味・関心)→ Desire(欲求)→ Motive(動機)→ Action(行動)
■消費者はまず商品を知り、興味を持ち、自分に必要なモノだと思って欲しくなり、もう一押しとなる動機があると、購入という行動にうつる、という流れ。

AISAS(アイサス)Attention(認知・注意)→ Interest(興味・関心)→ Search(検索)→ Action(行動)→ Share(共有)
■ネット普及後に生まれた購買プロセス。消費者は商品を知って興味を持った後、一度その商品を検索して調べる。そして納得したら購入という行動にうつる。さらにその後、感想をSNSで共有する、という新しい流れ。

AIDMAでもAISASでも良いのですが、美術館にとっては、このAction(行動)の部分が美術館への来館です。そのためには、プロセスの最初のAttentionで、美術館の存在や今やっている展覧会のことを知ってもらわなくてはいけません。

広告を打つことなく、SNSによってこれができるなら確かにすばらしいことです。
SNSのアカウントを開設するだけなら無料ですから、やるだけやってみて効果がでたらラッキー、ぐらいの気持ちでやっているところもあるでしょう。

しかし、その成果が本当に出ていますかね?

SNS運用の成功と失敗とは

SNS運用の何をもって、成功・失敗と言うのかですが、これはもう単純です。

フォロワー数です。

「いや、数字ばかりに縛られるのは良くない」「人をただの数字として考えるなんて」と言いたくなる気持ちはよく分かります。
でも、最初に確認したように、SNS運用の目的が「認知度アップ」「集客効果」なのであれば、必要なのはインフルエンス力です。つまりフォロワー数が多いか少ないか、それに尽きます。

もう一歩踏み込んだ話をするなら、フォロワーの質も問題になってくるでしょう。
つまり、何となくフォローしているだけのライトな層なのか、SNSの発信を受けて実際に行動を起こしてくれる(拡散してくれる、足を運んでくれるなど)コアな層なのか、その割合も気にしなくてはいけません。エンゲージメント率というやつです(投稿に対してどれだけユーザーが反応してくれるか、の割合)。

それにしたって、そもそもフォロワーの数が少なければ話になりません。

Twitterを開いてみれば、フォロワー数が10万を超えるマンモスアカウントの美術館がある一方で、公式アカウントでありながらフォロワー数が3ケタ、4ケタで止まっている美術館も少なくありません。
この明暗を分けているのは、何なのでしょうか。

SNS運用の成功のカギをにぎるもの

美術館のSNS運用が成功するか否か、それはずばり

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