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7.頼もしき女子 スージー・クワトロ

学芸出版社営業部の名物社員・藤原が、書店での何気ないやり取りを手がかりに、自らのロック遍歴にまつわる雑感をつづります。

人手不足(人員削減)が言われて久しいが、僕が担当している書店には日常業務と闘っている女戦士がたくさんいる。
男はあかん。血眼になっているのは女子だ。店に行くと愚痴の聞き役になることもある。

「2月の売り上げはA店と同じなのに人の数は半分なんですよ。これじゃあ棚のことなんて何にも出来ないです。夕方勤務のパートさんはいるのですが、昼間はパートさんがいないのでレジに張り付くことに。6時間レジにいたこともあるんですよ。だって昼間は6人から7人でやってるんですから」

確かにこの店は300坪以上あり、この人数では朝届く荷物を開けることすら出来ないと思われた。

「それにこの店は荷捌き場が狭くて、開店前に店内で検品やったりしてる。朝早く荷物が届けばいいですが、9時を過ぎないとトラックは来ない。どない思います? こんな状態なのにレジを2台増やすと言うんです。日中7人しかいない店にレジ7台。どないせぇちゅううんや!」てな具合で・・・。

体を壊さない程度に頑張りや。と言って店を出たが、営業に来たのに仕事の話は出来なかった。それでいいのだ。彼女は彼女の精一杯をやっている。

QUATRO/SUZI QUATRO(1974)

頑張ってる女と言えば、スージー・クワトロ。1973年「キャン ザ キャン」1974年「悪魔と「ドライブ」などのヒットを飛ばしたお姉さんだ。
当時、僕は18歳。熱気のある女に弱い年頃だ。バンドの男どもが情けない。彼女がベースでグイグイサウンドを引っ張っているというのに、男たちのギターやドラムが足を引っ張る。
どの現場でも、だらしない男を牛耳るのはやはり芯の通った女である。このアルバムの邦題は「サディスティック・ロックの女王」という。芯が通っていない男が付けたタイトルだな、絶対。

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「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。


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