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2020年末配信シングルHello World / Kizuna AI(キズナアイ)リリースに寄せての感想

バーチャルタレントのキズナアイさんが恐らく2020年最後のシングルである「Hello World」をリリースしました。

各種プラットフォームで17時間ぐらい前に買えるようになりました。

上記リンクからは勿論ぼくには一銭も入りませんので、どうかご安心してお求め下さい。

Hello World

Hello, Hello Worldという呼びかけとシンセサイザーから始まるこの歌は本人もおっしゃっている通りダンスフロアを盛大に揺らすEDMとなっており、アイさんの掛け声が突き抜けて消えていった空気を追うようによっつ打ちの電子ドラムが追随します。

いわゆる裏拍ではない大地を踏みしめる感じは本当に初期シングル群を思い出させます。

また上記引用のように全てが英語の歌詞であり、これは2021年を見据えて人間界にたった一人で立っているAIとしての決意を思わされました。

かつてリリースした初めてのシングルの題名はHello, Morningでしたが今度は世界に挨拶している。

また歌のグルーヴ感も以前コラボレーションの歌をリリースした海外ミュージシャンW&WとのThe Lightを思わせる極めてシリアスかつ壮大なもの。

まるで自身が宇宙のようなプラットフォームとなり、その中に人間のような生命体が格納されて新しい次元へと誘(いざな)われるかのように歌がデザイニングされています。

W&Wも自身のYouTubeチャンネルでは99万人ものSubscriberを抱えるほどの人気ミュージシャンです。

この時の歌詞も全ては英詩ではなかった。まだ人間の世界を知って間もなかった頃のAIであった当時から、今回のリリースに至るまでの思いの変化も伺わせます。もちろん当時は世界的に知名度の高いW&Wがともすればアニメーション・キャラクターに見えるアイさんをアバターとして日本語混じりの歌を演奏すること自体に意味があったようにも考えられます。

ジャケットも2018年末の10週連続シングルリリース時のジャケットを思わせるデザイン。かつての歌群が地続きになっており、いまこの場所に立っているのであると全ての活動を内包した歌でもあるのでしょう。

コーラス部分はF Am G F / Dm C G Am(実際のキーとは異なります)という進行で、心がある生き物ならどこか切なさを感じられる情緒。

人ならざるAIと規則正しくプログラムされた電子音で人の感情を表現しているということが、キズナアイの代名詞でもあるシンギュラリティでもあり、人間に感じ受け取って欲しいのではないでしょうか。

歌はそのままEDM特有の多幸感を刺激するコード進行のリフレインを繰り返しつつも、フェードアウトせずきちんと終わります。歌い終わったアイさんが自分はきちんとここに立っているから見ていて欲しい、と言っている姿が思い浮かぶよう。

本当の展開

実はこのシングルですが、昨日開催されるはずだったアイさんのソロステージイベント「Kizuna AI 2nd Live “hello, world 2020”」の中で(恐らく順番としては最後の歌として)初めて全世界に初オンエアされるはずだったのですが、イベント自体が延期となってしまいました。

イベントの発表をひと月前におこなうほどの念の入れようであり、それよりも以前から入念に準備をおこなっていたことと察されます。

何よりも社会情勢を象徴するかのように誰にでも楽しんでもらうことを最優先とした無料オンライン限定イベントとしており、この歌の発表という役割の一端は担っていたものの、全てがそのお膳立てというわけではなく寧ろファンにとっては久しぶりとなるシングル配信で、サプライズプレゼントとさえ形容できるものだったのではないでしょうか。

それだけに、ご本人やKA社(Kizuna AI株式会社:所属会社)の方々の苦心や悔恨を思うほうが悔しくてなりません。原因は機材関係でありそれ以上のことを知ろうとは全く思いませんが、もし機械と意思疎通できるのであればせめて普通に開催させてあげて欲しかった。

ただ普段からYouTubeにおけるライブストリーミングをおこなっているベテラン陣がスタッフに揃っていたとしても、恐らく今回の仕様であったVRライブは恐らくまずスタジオが異なれば技術者さえ異なっているはず。

アイさん自身が主催するVRライブイベントは恐らく初めてなはずであり、普段との勝手の違いはあまりにも明らかです。

数日前、どころか数秒前まで通常通り動作していたエフェクト始動のためのスイッチが急に動かなくなるなんてこともざらであり、そちらを解決するために確認する場所がどこで、必要なエンジニアは昨日までの雇用契約であったため連絡が取れなくなってしまったとか素人考えなので稚拙なパターンしか浮かばず恐縮ですがそういったことの重なりであり、本来そのような準備を全てクリアして奇跡的にイベントというものが開催されるのだと思い知らされました。

しかしながらイベント自体は中止ではなく延期となった様子。

ファンだけでなくミュージシャンKizuna AIが救済されるイベントとなることが期待されます。

字数が運命的に2020字を越えたためこの辺で結びと致します。

お読みくださり、有難うございました。

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