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NHKスペシャル「看護師たちの限界線」感想①重症患者への対応

※流行り病についての描写があるため、あまりそういった話題を得たくない方はお気をつけて閲覧下さい。


東京女子医科大学病院における医療現場のドキュメンタリーの感想です。

東京で最大規模の医療機関である東京女子医科大学病院の集中治療室にカメラを据えた。防護服で体を覆い、汗だくで働く25歳の看護師は、ずっとホテルで一人暮らし。友達や家族にも会えない自粛生活。1年以上続く(略)心身共に疲れ果て、退職する看護師も出てきている。しかし、定年退職した看護師や妊娠8か月の看護師も現場に駆けつけ、仲間たちを支えた。第4波に備えて何ができるのか考えていく。

冒頭ではこの25歳の京河さんが離職するために筆を執り、花束を贈られるシーンからはじまります。

現在、「患者に寄り添う看護」が出来ていないということが伝えられます。寄り添っては感染してしまうため(推測です)。冒頭の方は涙を流していました。ぼくは医療現場で適切な治療を続けるためには感情を殺さなければならないと思っていました。

電話口の向こうで泣きながら当日(?)以降の欠勤を伝える方がおられる様子も映され、直後にはシフト表を赤い線で塗りつぶしていく様子が。

また、放映から3日後にはこのようなニュースが報じられた。

集中治療室

実際に看護師たちは1kgのガスマスクのようなものと防護服を纏って治療室に出入りする。集中治療室に入るときは前身を密閉しなければならない。マスクは重く、首が痛くなるそうです。

京河さんは取材用の小型カメラを防護マスクに載せる許可をくれます。空気が排出される音が非常にリアルに感じられる。

集中治療室には重症な患者が連れてこられる。結果的に高齢者が集まり、中には認知症を患っているケースも少なくない。患者はマスクを装着することを嫌がったり、朝ご飯を受け付けられなかったりとその院内生活に苦しみを感じているようにも察せますが、喉の洗浄を手伝ってくれる看護師たちにありがとうと言います。

集中治療室にはベッドが6つあり、これが現在の人員で処理できる最大数。PCやその他日常の業務用品が同じ空間に置かれているため、防護服に一度身を包んだ彼女たちは以降一日中ここにいなくてはならないのではと思いましたが、5時間に一度くらいのタイミングで退室するそうでした。

看護師の生活

それでも5時間連続では心身の負担は部外者からは想像できません。体感では通常看護の2倍ほど疲れるそうですが、たった2倍で済むのかと思わずにはいられない。中にはおむつを装着してまで治療にあたっておられる方もいるとか……

看護師が生活するのは自治体が用意したビジネスホテル。感染対策だということです。病原の最前線にいる医療従事者であるため、罹患した可能性が少しでもあるのなら一般の人々の日常生活とは決定的に離されなければならないという政策の意図を感じます。

ホテルで暮らす京河さんは家族の大切なイベントにも参加できない旨を通話アプリで伝えて涙を流す。はっきりと「心が折れたら終わり、次の日からいきなり病院にいかなくなることだってありえる」と話します。

生活の理由

ここまで特定の看護師だけに負担が強いられる現状が生成されてしまった理由として、全国7628ある医療機関のうち当該患者を受け入れた実績がある場所は全体の29%で、他機関は設備・人員不足であり受け入れが出来ないと表明しているというデータがまずひとつ明かされる。

さらに重傷者の治療は人工呼吸器のような機器が必要となるが、同設備をもって当該患者の受け入れを実現できた医療機関は全体の7.6%しかないというデータも明かされました。

つまり、両問題をクリアできている医療機関に所属している看護師には遠慮なくこの負担が降り掛かってくる。

異動を要請された看護師

続いて、一般救急から急な異動を要請され、深刻な状態から回復した患者の様子を見ることにやり甲斐を感じていた、いつも明るい表情を見せる阪井さんが紹介されます。

阪井さんの受け持った患者のひとりは63歳の人で、当初はそこそこ軽い症状だった。一週間後にICU(集中治療室)での施術が必要となる事態に陥ります。さらに5日経つと自己呼吸もできなくなり、意識もなくなった。ECMOによって2021年1月1日を迎えられたシーンが映され、

Extracorporeal membrane oxygenation(ECMO)は急性重症呼吸不全患者に対して,従来の人工呼吸管理では生命が維持できなくなった時点,または従来の人工呼吸管理を続けた場合に,自己肺に不可逆的な障害をこうむるおそれがある時点で適応となる.しかし,実際にはその導入を決めることは容易なことではない.なぜなら,ECMO は多大な費用を消耗し,多くのスタッフの労力を必要とするからである.2009 年のH1N1 インフルエンザに対するECMOの成績では,日本は他の先進国と比べて劣っていたと報告された.その原因としては,専門スタッフの欠如,適切な機材の欠如,患者の集約化がなされていないことがあげられている.

阪井さんが懸命に話しかけながら肌をふいてあげたり歯を磨いたり生活を補助している。しかしながら、治療法の一環として血を固める薬剤を投与されていたりする副作用で、口内で出血してしまった場合に血が止まらなくなってしまったりするという状態が起きてしまう。

阪井さんは、防護服を着ながらの対応では普段できることの5割程度しか実現できなかったりするという現状を悲しみます。

後記

自分が見たくて見ているんですが心的負担がそこそこ大きいため、何回かに分けて書かせていただこうかと思っています。

お読みくださりありがとうございました。


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