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北乃利人
2019年4月8日 11:35
若い頃、春という季節が嫌いだった。小学生の時には既にそうだったように思う。新年度を迎えると、周りの皆が大なり小なり成長して行く。学年が一つ上がると、あいつも、こいつも、あいつでさえも、なんだか少し大人になったように思えた。そして、そんな成長も感じられぬ自分だけが、一人寂しく皆の背中を眺め、ぽつりと佇んでいるのだ。春は始まりの季節。何も始められずにるいるおれには、春は不安で面倒な季節
2019年3月21日 22:20
あの人と路でバッタリ再会…そんな夢を見た。今あなたに再会したい誰かはいますか。今は逝かれたあの人。すれ違ってしまった恋人。喧嘩別れをしてしまった友。 自分を導いてくれた恩師。実は、夢の中での再会は、あまり良いものではなかった。あんなにも会いたいと願っていた人との再会だっただけに、夢の中とはいえ…今も変わらず再会を望んでいる、のだと思う。でも、以前よりその再会が、少し怖
2019年2月16日 16:23
家路をサクッサクッと歩いていた。二月ともなれば、もう雪にもうんざりして来るものだ。これでもかこれでもかと雪が連日のように降り続いき、仕事への行き帰りも足元を取られつつだ。大して煩わしくもないけれど、まあ、やれやれといったことこか。そろそろ春が恋しくなっている。あの、雪解け水が日差しにキラキラと揺れるアスファルト。薄手のコートを、まだ少しだけ冷たい風がすり抜けて行く。襟を立て深く息を