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古民家に引っ越して

男性。
 
「僕…
 朝起きて…
 シャワー浴びるのが日課なんです。
 
 そしたらその家…
 シャワーがなくて。
 
 仕方がないので、
 お湯をかして、
 髪だけ洗えればいい
と思ったら…
 水もないんです。
 
 両親に聞いたら…
 近くに井戸があるから、
 そこから水をんでくるよう頼まれて。
 
 挙げ句に…
 わけのわからない
 天秤てんびんみたいな道具
持たされて。
 
 その両端のおけに水を入れてこいって、
 言われるがまま井戸に行ったんです。
 
 そしたら…またがあるんですよ。
 
 僕…井戸って人生初体験なので、
 何が何だかわからなくって…。
 
 とりあえず…
 その穴に桶を投げてみたんです…。
 
 3つ…。
 
 そしたら何も起きないんですよね…
 待てど暮らせど…。
 
 僕はてっきり…
 水が湧き上がってきたり…
 霊的なものが出てくるかと思ってて。
 
 そしたらちょうどそこに、
 近所のおばあちゃんがやってきたんです。
 
 おばあちゃんは上手に、
 僕が落とした桶を2つともすくってくれて
 さらに正しい水の汲み方まで、
 教えてくれたんですよ。
 
 僕はこの時…
 この人、マジ女神じゃねえ!
 って、思いました。
 
 僕はその水をかついで家まで戻り、
 水瓶みずがめに入れたんです。
 
 よしこれでお湯を沸かせると思ったら、
 両親がまきがないって言うんです。
 
 薪が木のことだって、
 この時、初めて知ったんです。
 
 この家ではそれがないと、
 火が使えないことも…。
 
 そして両親が、
 裏山で木を切ってこいって言うんです。
 
 勝手に取ってきていいの?って聞いたら、
 家を買ったら付いてきた山だから、
 大丈夫だって…。
 
 だから僕はノコギリナタを持ち、
 あとわけのわからない
 リュックみたいなの
背負わされて、
 裏山に行ったんです。
 
 たくさん切って乗せられるだけ乗せて、
 僕は山を下りてきました。
 
 そしたらまた両親が、
 そんなデカいのはダメだと言うんです。
 
 こっちは急いでいるのにと思いながらも、
 指示通りナタで木を小さく割ったんです。
 
 それを何本か持ってきて、
 火を起こし…お湯が沸き…、
 やっとのことで髪が洗えたんです。
 
 さ~っぱりしましたぁ~。
 
 早朝から散々汗かいてたから、
 いつも以上に清々すがすがしい気分でした。
 
 そしてドライヤーで、
 髪をかわかそうとしたら、
 両親が電気はないって言うんです。
 
 代わりにこれを使えって…。
 コンセント付きの自転車じてんしゃ出してきて…。
 
 僕はそのコンセントに…
 ドライヤーのプラグを差して、
 自転車をぎました。
 
 そしたら…
 ヌル~い風が出てくるんです。
 
 そして髪が乾いた頃には、
 僕はもう…汗びっしょりで…。
 
 もう1度、お湯を沸かして、
 頭からお湯をかぶりました。
 
 ほんと…気持ちよかったぁ~。
 
 だから僕…
 今日、遅刻してしまったんです。 
 
 頭も濡れたままで…すいません。
 
 念のため、
 ドライヤーも家から持参しました。
 
 理由はどうあれ、
 係長、本当にすいませんでした」
 
(鈴木くん…
 ………
 ………
 遅刻の理由…
 ………
 ………
 ………
 今日も100点!!


あわせてどうぞ。 


このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。

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