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高齢者学校義務化

御年おんとし80歳の未来さんと光里さん。
今日も井戸端いどばた会議で盛り上がる。
近くて遠い…未来のお話。
 
光里「さっき報道番組見てたら、
   ビックリしてぇ」
未来「どうしたの?」
 
光里「だってぇ。
   高齢者学校義務化って何?
   この歳になってまた学校行くのぉ?」
未来「ああ、あれはまだ本決まりじゃないわよ。
   ただそういう話があるってこと」
 
光里「でも頭良さそうな人たちが、
   労働力の確保とかぁ、認知症予防とかぁ、
   もっともらしいこと言ってたよぅ」
未来「光里さん、リスキリングってわかる?」
 
光里「なんか、聞いたことある。
   勉強することでしょ」
未来「そう。社会人の学び直しね。
   高齢者もリスキリングで、
   よいいい職に就こうという動きは、
   昔からあるのよ」
 
光里「でも今更、勉強してもどうなのぉ?
   それに求人だって年齢制限なく結構あるでしょ」 
未来「あるけど結局、高齢だと書類で弾かれるのよ。
   受け入れてくれるのは、
   警備、清掃、管理人、調理補助とかよ。
   特別な職歴スキルがないと選択肢は少ないの」
 
光里「そうなんだぁ。
   だから勉強し直しって話かぁ」
未来「学び直しは会社も労働者も、
   双方が期待してることなのかもね」
 
光里「そうかぁ」
未来「でも私たちにとっては、
   介護施設の変化の方が、
   リスキリングに関わってるのかも」
 
光里「どういうことぉ?」
未来「最近、都市部のデイサービスが、
   利用できなくなってるの知ってる?」
 
光里「え?!知らない!
   どうして?デイでしょ?
   特養(宿泊サービス)なら、
   順番待ちで入れないのは知ってるけどぉ」
未来「実は日本人の介護員が不足してるの。
   だから海外資本の介護施設ばっかりなの」
 
光里「海外?」
未来「外国語しか通じない施設が増えたってことよ」
 
光里「日本語通じないのぉ?
   そんなの大変じゃない。
   コミュニケーション取れないし」
未来「それがそうでもないのよ。
   まあ翻訳アプリがあるのもひとつだけど、
   日本人がリスキングで、
   施設の言語を習得してから、
   利用する人が多くなってきたんだって」
 
光里「そこまでしてぇ」
未来「日本人スタッフの施設は、
   人気で空かないのよ。
   常に慢性的な予約待ちで。
   待機してる人もこれからの人も、
   将来に備えて勉強してるみたい。
   施設でも希望者には利用しながらでも、
   簡単な語学レッスンはしてくれるらしいわよ」
 
光里「みんな外国語の施設に合わせて、
   勉強するようになったんだぁ」
未来「ちょっとした社会現象よ。
   受け皿がないから、
   作っただけなのかもだけど、
   経営者がやり手の方だったのね。
   ちょっとだけ日本の施設より、
   利用料を割安に設定してるのもポイントね」
 
光里「安いのは助かるねぇ」
未来「社員の日本語教育が不要だからじゃない?
   人材育成の初期費用はかかるでしょうし」
 
光里「海外で語学教育無しで即戦力って凄い」
未来「そうね。
   まさか進出先の国に、
   自国語を学んでもらうって逆転の発想
   誰も思いつかないわよね。
   それに人材は母国からも補充できるし、
   いい事づくしね」
    
光里「でも、ほんとよくそんなこと思いついたねぇ。
   海外進出って現地スタッフとか、
   その国の言語が話せる人材確保が第一だよねぇ。
   それをそんなギャンブルみたいな商売で、
   成功するなんて運が良かったんだぁ」
未来「いや、わかってたと思うなあ、その経営者の人。
   きっとその人、日本通にほんつうじゃないかと思うの」
 
光里「どうしてぇ?」
未来「昔、見たことない?
   これと同じような現象
 
光里「同じような現象?」
未来「日本人の順応性ていうか、
   適応能力…ほらテレビでよく…。
   新大久保とか池袋で」
 
光里「新大久保ってぇ…
   韓国横丁が…
   あっ!韓国語!」
未来「そう!池袋は?」
 
光里「ガチ中華ぁ!
   ああ~、納得ぅ!」
 
 

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