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〜第1章 お金はあとからついてきません〜▷会社のお金は使い放題。 調子に乗ってレクサスまで買う

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【前回までのお話】
決算書が読めなくても、年商1億円に

▲広告を出すと、売上はどんどん上がっていく

そんな調子ですから、会社のお金に関してもかなり無頓着で、今となっては笑い話ですが、こんなお金の使い方をしていました。

たとえば、会社の懐事情も確認せず、毎月、けっこうな金額の広告を出しまくっていました。それは広告を出してセールをすればするほど、売上がどんどん上がって いくからです。

僕が出店している楽天市場では、頻繁にセールのイベントがあり、それにともなう広告も販売されていました。

最初は、月に1枠10万円程度の広告をメインで購入していましたが、効果があまりないため、1枠30万円ぐらいの広告と組み合わせていきました。

すると、広告を30〜40万円ほど購入して、セールのイベントに参加し、値下げをした商品を用意するだけで、月商が20%ほど伸びていったのです。

さらに、1か月の広告費は50万円、100万円と増えていきます。1年でいちばん忙しい「母の日」がある5月は、広告費を1か月で300万円くらい使っていました。

広告を出して売上を上げるというのは、しだいに僕の常套手段になっていきました。広告にどんどんお金をつぎ込むのは売上アップのためだけでなく、次のような心理面からもあります。

まず、お客さんからの注文が減ると、ものすごく不安になるんです。
だから、広告枠を買って値下げセールをして、注文をたくさんいただこうとするわけです。そうやって、セールをすればするほど販売数が伸びていき、売上が伸びれば伸びるほど忙しくなっていきました。

▲成功者のステイタスを手に入れる

花屋を始める前、僕は先述したように訪問販売の営業マンとして全国トップ に入る結果を出し、 20代にして年収800万円を稼いでいました。車好きであることも手伝って、当時は車を毎年買い替えていましたが、独立してからはお金に余裕がないので、愛車はトラック。

ですが、とうとう独立して「成功者」と思えるような売上を叩き出すようになった のです。「車の1つでも買おうじゃないか」と思うまでに時間はかかりませんでした。

頭のなかは車のことでいっぱいになって、毎日ネットであれやこれやと車の情報をかき集め、選んだのがレクサスです。

レクサスは、月々8万円のローンで手に入るとのこと。パッと出せる現金は銀行の口座に100万円ありましたが、それでは足りないのでローンで買うことにしました。

毎月支払う8万円という額は、当時の僕にとってはわずかな出費程度に感じていました。広告を30万円でポンポン買っているくらいですから、8万円なんて微々たるもの。

「毎月わずか8万円で憧れのレクサスに乗れる!」と、テンションは上がりっぱなしで契約書にハンコを押しました。

ほどなくしてピカピカに輝くレクサスが納車されました。レクサスの本革のシートに恐る恐る座り、エンジンをかけ、ハンドルを握った瞬間の喜びは、何ものにも代え難い満足感と充実感を僕に与えてくれます。

ドアを閉めた車内の静まり返った雰囲気といったら、僕が毎日乗っているトラックとは比べものになりません。軽くアクセルを踏み込むだけでスムーズに加速し、無駄のない動きからも高貴な品格が漂います。

高級車に乗って、儲かっている会社の社長さんたちは、こんなにも満たされた気分なのかと思いました。

が、タイムマシンがあるならば、当時の自分に「おまえ、車を買うお金なんて1円もないじゃないか! 頭金も出せないのに、そんな高級車を買っている場合じゃないだろ?」と言って、思わず止めに行きたくなります。

▼次回
第1章 お金はあとからついてきません
▷忙しくなったら、もっと人を雇えばいい

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▼この本の関連note

【この本のもくじ】

はじめに ~世にも奇妙な花屋の物語~ 案内人 田中靖浩(公認会計士)
●2020/2/7公開●

第1章 お金はあとからついてきません
売上はあるのに、なぜお金が足りなくなるの? ●2020/2/10公開●
お金が足りなくなったら、銀行に借りればいい ●2020/2/11公開●
「税務会計の知識」と「経営の知識」は別 ●2020/2/12公開●
決算書が読めなくても、年商1億円に ●2020/2/13公開●
▷会社のお金は使い放題。調子に乗ってレクサスまで買う●2020/2/14公開●
▷忙しくなったら、もっと人を雇えばいい
▷高い授業料を払ってわかったのは「お金はあとからついてこない」
▷第1章を読み終えた読者へ

第2章 「数字」が読めると 本当に儲かるんですか?
▷なけなしのお金を払った最後の一手
▷「経費」と「費用」って違うんですか?
▷「儲けるための会計」を学ぶ
▷会社が続くために大切なのは「利益」
▷「限界利益」という「魔法のメガネ」
▷会社の「儲けパワー」
▷決算書で見るところは2つだけ
▷儲けパワーの正体は「限界利益率」
▷第2章を読み終えた読者へ

第3章 「儲けパワー」を高めるには、 どうしたらいいんですか?
▷黒字になるか、赤字になるかの分岐点
▷「こうしたら、こうなる」というシミュレーション
▷「値上げ」によって、限界利益率はどう変わる?
▷「値下げ」によって、限界利益率はどう変わる?
▷「商売」とは、誰かに喜んでいただいて、その対価を得ること
▷第3章を読み終えた読者へ

第4章 「値上げ」をしたら、 天国と地獄を見ました
▷「値上げ」をしたら、お客さんが来なくなりました
▷会社の利益に貢献する商品、しない商品
▷値上げが、会社の利益に与える影響
▷値上げするかどうかの適切な判断
▷第4章を読み終えた読者へ

第5章 「数字」が読めると 本当に儲かりました
▷なぜ、会社にお金が残らないのか?(資金繰り)
▷やっぱり広告を出せば、もっと儲かるんだろうか?(費用対効果)
▷やっぱり忙しくなったら、人を増やしたほうがいいですか?
▷計画は「ほしい利益」から立てる
▷計画が順調かどうかは、どう確認すればいい?
▷利益を出すために、できること
▷できるだけ高く売るか、できるだけ安く仕入れるか?
▷ずっと赤字体質の会社が、なぜ黒字が続くようになれたのか?
▷「数字」に想いを乗せよう
▷第5章を読み終えた読者へ

▷おわりに ~「自分だけのため」から「人のため」に儲けたい~ 古屋悟司


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