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数字が読めると本当に儲かるんですか?~まえがき~

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「数字」が読めると年収がアップするって本当ですか?

▷はじめに ~ 世にも奇妙な花屋の物語 ~ 

 案内人 田中靖浩(公認会計士)

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この本は「小さな会社の経営者が、自らの失敗からの教訓をもとに、リアルな会計について語った物語」です。

著者は、花屋の古屋悟司。世に幾多の会計書があれど、現役の花屋がこの類いの本を書くのは初めてでしょう。この本の価値はそこにあります。

公認会計士の私が、本書の著者である古屋氏(通称ゲキ)と初めて出会ったのは今から5年ほど前のことです。私が講師を務めるセミナーに参加してくれた彼は、スーツ姿のビジネスマンが多いなか、金髪で目立っていたせいもあり、正直なところ 「チャラい奴だな」という印象でした。

しかし、彼は見かけによらず勉強熱心でした。人なつっこく、いつも場を盛り上げてもくれます。しかし、その明るい笑顔の裏側で、彼はとんでもない地獄を見ていたのです。

彼が経験したのは、「資金繰り」の地獄です。
どんな商売でも一寸先は闇。しかもその闇は、本人がまったく気づかぬうちに、足音もなく忍び寄ってきます。そこから抜け出すのは容易ではありません。もがけばもがくほど泥沼にはまってしまうのです。
彼は花屋を開店した当初、多くの商売人と同じように、1つの過ちを犯しました。

それは「間違った常識を信じてしまう」こと。

彼が脱サラして始めた激安の花屋「ゲキハナ」は、開店当初、かなり好調な売上を記録します。しかし、なぜかうまくいきません。売っても売っても生活が楽にならない現実。

ここで彼は、きわめて常識的な決断をします。
「 もっと売上を増やせばうまくいくに違いない」 しかし、その決断こそが地獄への入り口でした。

彼は一心不乱に売上を追い求めます。やがて彼の売上は1億円を超えました。しかし、それでも「安らかな生活」はやってきません。そうこうするうち、彼はやっと気がつきます。
「もしかして、考え方が間違っているのではないか?」と。

彼はそれまでの「売上重視」をあらためて、管理会計でいう「限界利益」を重視する経営に切り替えました。これでやっとひとすじの光が差し込みます。

読者のなかには「限界利益」という言葉すら知らない方も多いことでしょう。これを知っていると知らないとでは、商売のやり方がまったく変わってきます。

ぜひ、この本で「限界利益」という「使える知識」を手にしてください。会計に詳しくなかった著者だからこそ書けた、生々しい体験にもとづく「限界利益」の話を中心にしたこの本を読めば、きっとそれを商売に活かす方法を見つけられるはずです。

「売上」から「限界利益」重視への転換を成し遂げたストーリー。それを赤裸々に伝えるこの本は、もちろんすべての商売人やビジネスパーソンに読んでいただきたいと思います。

それだけでなく、助言する立場にある税理士・会計士、銀行マンにも必須の内容だといえるでしょう。

売上を追いかける経営の、どこが間違っているのか?

よりよき方向へと舵を取るためには、どうすればいいのか?
―― 本書には、それについての答えがぎゅっと詰まっています。
前置きは、これくらいにしましょう。

売上重視の奇妙な世界に迷い込んだ花屋の物語、どうぞ最後までお楽しみください。

▼次回
第1章 お金はあとからついてきません
売上はあるのに、なぜお金が足りなくなるの?

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【この本のもくじ】

はじめに ~世にも奇妙な花屋の物語~ 案内人 田中靖浩(公認会計士)●2020/2/7配信●

第1章 お金はあとからついてきません
▷売上はあるのに、なぜお金が足りなくなるの?.
▷お金が足りなくなったら、銀行に借りればいい
▷「税務会計の知識」と「経営の知識」は別
▷決算書が読めなくても、年商1億円に
▷会社のお金は使い放題。調子に乗ってレクサスまで買う
▷忙しくなったら、もっと人を雇えばいい
▷高い授業料を払ってわかったのは「お金はあとからついてこない」
▷第1章を読み終えた読者へ

第2章 「数字」が読めると 本当に儲かるんですか?
▷なけなしのお金を払った最後の一手
▷「経費」と「費用」って違うんですか?
▷「儲けるための会計」を学ぶ
▷会社が続くために大切なのは「利益」
▷「限界利益」という「魔法のメガネ」
▷会社の「儲けパワー」
▷決算書で見るところは2つだけ
▷儲けパワーの正体は「限界利益率」
▷第2章を読み終えた読者へ

第3章 「儲けパワー」を高めるには、 どうしたらいいんですか?
▷黒字になるか、赤字になるかの分岐点
▷「こうしたら、こうなる」というシミュレーション
▷「値上げ」によって、限界利益率はどう変わる?
▷「値下げ」によって、限界利益率はどう変わる?
▷「商売」とは、誰かに喜んでいただいて、その対価を得ること
▷第3章を読み終えた読者へ

第4章 「値上げ」をしたら、 天国と地獄を見ました
▷「値上げ」をしたら、お客さんが来なくなりました
▷会社の利益に貢献する商品、しない商品
▷値上げが、会社の利益に与える影響
▷値上げするかどうかの適切な判断
▷第4章を読み終えた読者へ

第5章 「数字」が読めると 本当に儲かりました
▷なぜ、会社にお金が残らないのか?(資金繰り)
▷やっぱり広告を出せば、もっと儲かるんだろうか?(費用対効果)
▷やっぱり忙しくなったら、人を増やしたほうがいいですか?
▷計画は「ほしい利益」から立てる
▷計画が順調かどうかは、どう確認すればいい?
▷利益を出すために、できること
▷できるだけ高く売るか、できるだけ安く仕入れるか?
▷ずっと赤字体質の会社が、なぜ黒字が続くようになれたのか?
▷「数字」に想いを乗せよう
▷第5章を読み終えた読者へ

おわりに ~「自分だけのため」から「人のため」に儲けたい~ 古屋悟司

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