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新規事業のサポーターからプレイヤーに転身。その両面を知る人が見据える"フルノのテクノロジーを集結して社会課題を切り開く未来"とは。

"水の中の魚が見えたら"
そんな想いをテクノロジーを活用して実現し、誕生したものが魚群探知機です。創業者であり、魚群探知の産みの親である古野清賢が持っていた『想いを実現するスピリット』は「見えないものを見る」というフルノの事業テーマとして今に引き継がれています。

そのテーマに沿って、フルノでは船・海に関連する事業だけでなく、医療器具や気象レーダーなど身の回りの様々な製品・ソリューションを生み出してきました。
そして今、フルノで新たに取り組みを始めた分野が『気象・防災』の分野。育成事業として2023年3月にスタートしました。
チームリーダーは以前まで新規事業推進の担当者として様々なチャレンジを応援していた人物。自らがプレイヤーになった今、どんな想いを持ってこの新たなチャレンジに取り組んでいるのか話を伺いました。

『THE 部門横断』が大きな特徴!
気象防災に挑むプロジェクトチームが誕生

この気象防災事業のチームリーダーである木谷さんに概要をお聞きしました。

木谷 吉伸
2008年(平成20年)中途入社。
システム機器事業部営業部に配属以降、主に車載用電子機器(ETC車載器)の営業に携わる。その後、2021年に経営企画部に異動し、新規事業推進担当として、新規事業挑戦者の伴走支援業務に従事。
2023年にはシステム機器事業部事業企画部へ異動、事業企画課長を拝命後、自身が新規事業の立ち上げに挑戦し、現在は事業企画課長と育成事業責任者としての兼任業務に携わる。
『海が主戦場ではない陸上部隊ですが、大好きな趣味は釣りです』とのこと

木谷さん「我々が解決したい社会課題は"水災害の激甚化・頻発化による被害の抑制"です。というのも近年、気候変動の影響により雨の降り方が局地化・集中化し、氾濫危険水位を超過した河川数は増加傾向にあります。中小河川でも被害が発生しており、監視が必要な河川が増加しているという背景があります」

近頃は線状降水帯といったワードも一般的になっていますが、短時間強雨の発生頻度は直近40年間で約1.4倍に拡大しているというデータもあるのだそう。
この大きなテーマに挑むにあたり、フルノで培ってきた様々な製品や技術を繋ぎ合わせてソリューションを作り上げたいと木谷さんは話します。

木谷さん「フルノではいろんな事業部で個々に防災・減災に関わるシステムや製品が研究開発されていました。それをこのプロジェクトでは横軸で繋ぎ合わせ、当社が保有する技術をコアとして『水』に関わる自然災害の被害を最小限に抑えるソリューションを確立したいと考えています。
そのため、陸上分野だけでなく、研究部門、IT部門、またグループ会社のフルノシステムズからもメンバーに参画いただいています」

現在は6名のプロジェクトメンバーと2名のアドバイザー、そして社外からBright City Japanの伊勢田 良一氏に伴走いただきプロジェクトを進めています。チームに多部門、そして社外からの参加があることがこのチームの特徴であり強みなのだと言います。

フルノは技術はある会社、
互いに補完することでソリューションを生み出す

それでは実際に気象防災事業ではどのような課題を設定し、解決に向けて取り組んでいるのでしょうか。

木谷さん「まず最初に取り組んでいるのが近年水災害の元凶としてその名称が広がりつつある『線状降水帯』の発生を、狭域な地域で予測し、避難指示の早期警報に繋げることです。
線状降水帯については、その発生予測をすることが難しく、その的中率はまだ高くないという課題があります。ですが自治体様との会話の中で耳にするのが、『広域な気象予報の情報は入るが、この町はどうなのか?が知りたい』といった声です」

フルノではこの課題解決のための技術を保有していると木谷さんは言います。というのもフルノは国内で先行して空気中の水蒸気量を観測する装置の研究開発を進めており、過去2年以上、本社建屋や地方自治体様、その他気象観測用の船に設置してデータを取り続けています。
そのデータと過去に発生した気象情報を照らし合わせることで、狭域な領域での降雨予測を可能にしたいとプロジェクトメンバーは熱意を持って取り組んでいるそうです。

木谷さん「これが完成できれば、市町に設置するセンサーデータによる狭域の降雨予測と避難指示にお役に立てるだけでなく、それら細かいメッシュデータを気象庁等に提供することで、線状降水帯の発生予測確率の向上、ひいては国民の生命を守ることにつなげることができるのではないかと考えています」

その他にも線状降水帯が発生した後の河川の状況把握や避難所の運営支援など、水害発生時において幅広くサポートできるソリューションを目指しているのだそう。

木谷さん「フルノには様々な技術を事業部や製品ごとに有していると思います。それらを横軸で繋ぎ、足りない部分、価値向上をどのように進めるか?がこの事業の使命だと考えています。
今は自社内でできる範囲で、その価値を高めようと活動していますが、自社でできない部分も多々あり、それを補完しあう共創先との連携も視野に入れて活動を進めています」

伴走と自走、両方を経験、
だからこそ感じる『責任感』の重み

木谷さんは気象防災プロジェクトのチームリーダーとなる以前、新規事業推進担当者として新規事業に挑戦する人への伴走支援を業務としていました。社員の方々に新たな挑戦をしてもらうためにはどのように社内を盛り上げたらよいかといったことを日々考えていたそうです。
そして現在は新規事業を立ち上げ、プロジェクトを進める側となり、両面の経験から感じることがあると言います。

木谷さん「既に新規事業の立ち上げに挑戦しているメンバーに対し、当時感じていた率直な感想は『凄いな!』ということでした。
挑戦者は皆、自身や会社の将来をとらえており、挑戦する分野においては誰よりも詳しく、かつ責任感を持って事業化を目指していました。
今までの経験や知識を生かしつつも、全く未知の市場分野に飛び込み事業化を目指すその志は素晴らしいと感じていました」

フルノでは新規事業を社内で立ち上げる際、会社が将来を見据えて用意している「戦略投資枠」という投資枠を利用して事業化を目指す、「育成事業」という制度での挑戦が主となっています。社長をはじめ、経営層から期待と承認を受けてからの活動開始となります。

木谷さん「育成事業の責任者となってもうすぐ1年経ちますが、やはり伴走と自走の間には大きな違いを感じています。特に『責任感』は大きいですね。
会社からの投資承認を得て進めることなので、その投資対効果をしっかりと出さないといけないという責任は非常に重いものです。
ですが「創り出す仕事」は一筋縄ではいきません。答えがない中でもがき、経験して壁を乗り越えていくところに面白みややり甲斐を感じています」

新しく始めることは勇気がいる
だからこそ、得られるものも大きい

社会課題の解決をテーマに新規事業に取り組む中で、木谷さんは営業活動におけるスタンスなども変化してきたと言います。

木谷さん「今、私たちのチームは気象防災になくてはならないFURUNOを目指し、水災害による被害を抑えるために活動しています。
その中で自治体様、競合メーカーやこの市場分野に関わる全ての企業の方と同じ『社会課題の解決』といった共通認識の中で、目指すべきところが一緒だというところにやり甲斐と喜びを感じます」

新規事業に関わる以前、木谷さんが営業を主にしていたころは、限られた市場パイの中で、どれだけ競合からシェアを奪うか?という具合に、奪い合うことが前提の営業戦略を考えることが多かったのだそう。その時とは感覚が異なると感じているそうです。

木谷さん「社会の役に立ちたい!という想いは重要なのですが、やはり企業である以上、収益をどのように獲得するかも大切です。
新規に市場を開拓するためには既存事業とはまた異なる視点でビジネスを考えなければなりませんが、それに向き合うことは自身の成長にも繋がると感じています」

現在フルノでは複数の育成事業が走っており、それぞれ熱い想いでプロジェクトを力強く進めています。木谷さん曰く、現在フルノ内で育成事業に関わっている人たちは良い意味で"異端児"なのだとか。
今後、さらに育成事業に関わるメンバーも育成事業そのものも増やしていくためには異端児だけでなく、可燃児かねんじも見つけることが大切だと言います。

木谷さん「もちろん会社の屋台骨を支える既存事業は重要なのは変わりありませんが、その中で培った技術やノウハウは様々な領域、社会課題に貢献できる可能性があると私は感じています。部門間の協力や他社との協業なども始まると刺激も多く、意識の幅が広くなりアイディアの形も広がります。
組織の中で活躍している人の中でも挑戦の心を燃やして、外に飛び出してくれるような人財。私はそんな人を"可燃児"と呼びたいと思いますが、フルノにはたくさんいるんじゃないかなと感じています」

"仮に挑戦し、失敗したとしても新規事業に挑戦して得た経験や知識は、必ず役に立つ。だから恐れずに挑戦してほしい"とエールを送る木谷さん。伴走と自走、両方を経験しているからこそ、その言葉には心強さを感じました。

次回は気象防災事業のメンバーの方々も交えて、事業の詳細や目指す姿を伺います。お楽しみに。

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