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過去の出来事が真核生物に伝わることの起源についての雑記

過去に読んだ本や文献もあれば、記憶にすらなく、説明できない内容のものもある。非常に不思議な埋蔵のテキストだが、私にとって今後何らかの足しになるかもしれない、と直感的に思い、掲載したい。なお、書籍については、適当と思われるものをリンクとして追加した。


ルパート・シュルドレイクが著した“生命のニューサイエンス”および未だに邦訳されていない“The Presence of the Past”では、過去の出来事が重力場となって、生物種に関係なく発生や行動などあらゆる生命活動に影響を及ぼすという考え方(形態的因果作用と彼は命名している)が、数々の例を基に論じられている。その幾つかを下記に示す。


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①C.H.ウォディントンの行った実験:野生型のショウジョウバエの卵または蛹をエーテルまたは高温度にさらすと、異常な発生(翅の重複など)をするハエが何匹か出てくる。このハエを繁殖させ、再び同じ環境圧にさらす。それによって生まれた異常なハエを選び出して、同じ操作を繰り返すと、世代を追うごとに異常なハエの割合は増えていくが、多くの世代を経たのちには、環境圧のない正常な環境で育てても、異常なハエが何匹か生まれるようになる。祖先に環境圧をかけていない、正常な環境で育ったハエを用いても、同様のことが起こる。

②マクドゥーガルの行った実験:ラットを用いて、正しい通路には明かりがなく、間違った通路には明かりがあるが電気ショックもあるという迷路学習の一種を行い、学習が遺伝するかどうか検証した。学習速度の速い個体だけを選ばないように、交尾はアトランダムとし、世代ごとの誤りの回数を測定したところ、15年の歳月をかけて検証した結果、世代を追うごとに誤りの回数は減っていった。ところが、メルボルン大学のW.E.エイガーらが行った追試によると、訓練されたラットの系列では世代を追うごとに同様に成績向上が見られたが、訓練されていない系列でも同じ傾向が見られたのだった。

③トックリバチ(Paralastor)の巣作り:トックリバチは子供を産み育てるための巣を砂地を掘って作るが、地上側には傘のある首の長い入口を作る。これが途中で完全に折れてしまった場合は、また傘を作り直すが、笠の付け根の一部がはがれた場合、その部分のみを修復するのではなく、同じような傘のある首の長い入り口が作られる。

④アオガラのミルク瓶開け:アオガラがキャップの包装を破ってミルク瓶を開けてしまう行動が発見されたのは1921年英国でのことだが、その後英国の幾つかの地域で見られるのようになった。アオガラは、例えば15マイル離れた距離を移動することは想像できないため、移動や学習によるものではないと思われる。第二次世界大戦でミルク瓶は一時なくなったが、戦後、この行動は再び見られるようになり、1947年には英国のほぼ全土および北アイルランドで見られるようになった。

その他、諸動物の擬態について例をあげれば、きりがないであろう。アメフラシやウミウシの色彩や鰓の形態の写真集、百花繚乱なる昆虫の写真集(こちらは海野和男の珍虫写真集が絶品だ)が参考になるが、あえて動物名をあげれば、ツノゼミにおける胸部の過度の形態形成、オナガラケットハチドリの尾の羽根、カンザシウミウシや後鰓類最大種らしい外洋性のTethysになろう。詳細は引用元の動物の形態(アドルフ・ポルトマン著、島崎三郎訳)に譲る。


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現在の科学/技術ではこの重力場を検出することが不可能だ。現に、重力を形成するといわれる重力子(グラビトン)の有無すら定かではない。しかし、前記のような情報の影響を生物は何所かで感知しているはずである。でなければ、形態や行動といった観察可能な姿で顕現することはないはずである。私は、マニトバ大学のリチャード・ゴードンが提唱している細胞分化波動が、生物情報の単位としてその影響を受けているのではないか、と感じている。


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細胞接着等を介して細胞膜の振動を感知した細胞は、外枠を支える細胞骨格の挙動を経て、シグナル伝達によって核内のゲノムにまで影響を及ぼし、遺伝子発現のオン・オフに影響を及ぼす。最終的に、その細胞はその形の収縮・伸長を来す。細胞膜から核に至るまでの間には、シグナル伝達だけではなく、細胞骨格やモーター蛋白質を介した連結が存在し、リチャード・ゴードンの著書にはあいにく見当たらないが、このような“物理的なクロストーク”は細胞分化波動をダイレクトに振動として触れることが可能ではないだろうか。実際、核膜の膜貫通タンパク質KASHおよびSUNは、核膜内側ではヘテロクロマチンと結合し、外側ではキネシンやダイニンなどモーター蛋白質、アクチンや微小管など細胞骨格、セントロソームと結合していることがわかっている。

2010年のBiology Direct誌に掲載されたオクスフォード大学のトマス・カバリエ=スミスの核膜・有糸分裂・性の成立に関する豊穣の総説では、最初期の真核生物の共通祖先(センアンセスターという)は鞭毛を有し、体を支える微小管が細胞膜に沿って分布し、細胞内共生で得たミトコンドリアの他、ペルオキシソーム、ファゴソーム、ゴルジ体、リソソームなど膜系の小器官、中心体を持ち合わせていたという。ここまでの道のりには、ファゴサイトーシスや遺伝子重複が不可欠だったらしい。詳細な実証は膨大な知見が引用されるためここでは避けるが、共通祖先の模式図には、アクチンを通じて細胞膜と核膜が繋がっているのである。つまり、分子生物学的な知見から、ここまで描写が可能と理解してもいいものと思われる。

最初期の真核生物は、ユーグレノゾアとエクスカベータの間と、カバリエ=スミスの前記文献の当模式図では記載されている。ミドリムシのその仲間が相当する群だが、動物界以外の世界では、この世界の他、放散虫や有孔虫などが属するリザリア、渦鞭毛植物などが属するアルベオラータなどがあり実に多様だ。これらの生物の電子顕微鏡写真を拝見すると、武具や彫刻のような外見を備えているものが多く、人工物と見紛うくらいに多様な形態をしている。

構成物質は電子の振舞いによって繰り返し構造ができた結果にすぎないかもしれないが、これらの生物は既にアクチンを通じて細胞膜と核膜が繋がっているはずだから、他生物の生涯が蓄積された重力場の影響を受けた振動を身に受けて、細胞膜の収縮または伸長という挙動で、細胞分化波動を細胞内に展開させ、また体外へ発しているのかもしれない。前段落の多様化もこのことが関わっているかもしれない。


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前記ユーグレノゾアやエクスカベータは電子顕微鏡写真だけでも十分に魅力的だが、前記の一件を調べる上で格好と思われる生物がいる。プラシノ藻のミクロモナス(Micromonas)はゲノムサイズがわずか12Mbで体長も0.6um未満でありながら、運動器官である鞭毛装置を有しており、その他細胞小器官もきちんと備えている。このような単純でありながら真核生物としての器官を備えた生物に対して、冒頭のような形態的因果作用を推察できるような実験系-核の挙動を電子配置の変化に置き換えて可視化できる手法が理想的かもしれない-を組むことが、過去を現存の生命に伝達する力学の原初を知る決め手になるのかもしれない。


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