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引っ越し大名


出張で長崎に来ています。
アパホテルがVOD無料ということで
前から気になっていたのを見ることにしました。

星野源のへにょへにょ演技はやっぱりいい!
似合ってますよね。笑


現代の「人事」に活かされる話

星野源演じる片桐春之助は書庫係の引きこもり。
「かたつむり」なんて呼ばれちゃって馬鹿にされるような存在でした。

そんな片桐を、高橋一生さん演じる幼馴染の鷹村が引っ越し奉行に推薦しちゃうのです。
当時の引っ越しは、もはや命がけ。
参勤交代がものすごく大変だったように
お国ごと移動しなければいけない引っ越しは
かなり大掛かりな出来事でした。
それを取り仕切る「引っ越し奉行」はもう大変な大仕事。
失敗したら切腹です。

しかも一人でやれるような作業では到底ありません。
作業を割り振り、誰に何を任せるか。
つまり「人事」的采配が重要です。

引越し先では領土が狭くなり、いわゆるリストラを
せざるを得ない状況でもありました。
片桐は、物を捨て、人を捨て、出費を削り
引っ越しという大仕事をこなしていきます。

誰を捨てるか。

その采配や、捨てる上での選択は
現代の会社と通ずるものが有るのではと思いました。

別に私は、人事とかじゃないんですけど。笑

あえて優秀と思う人材も切る。
ただ捨てるのではなく、行く末を見据えた采配。
未来につながる人事異動。

片桐は大好きな武田の軍記本からヒントを得て
これが正しいと思って選択していきます。

これだけ思いのある人事だったら私も不本意でも
受け入れると思う。
見習え!会社!笑

地味な時代劇


なんか最近「地味な時代劇」流行ってませんか?

私はその火付け役は三谷幸喜監督の「清州会議」だと思ってます。
時代劇、戦国時代、侍の話と言えば
刀!切りあい!戦!血!しぬ!!!!!
みたいな。笑

そういうのが鉄板で、当たり前だったと思うんです。
なぜって、現代に刀を持った人はいないし
法を犯したからって切腹はさせられないし
現代にはない非日常が日常だった時代だから。

でも逆に今はそれが時代劇の「当たり前」になってしまって。
そんな時代の話だからこそ
武力以外で事をなし得た話は新鮮で
武力だけではなかったのか!と逆にそれが非日常。

戦国の世に話し合いで解決した戦があった
刀を持つ者が強者の時代に銭勘定が主役の話があった
現代では手軽にできる「引っ越し」は彼らにとっては戦だった


どれも新鮮で、私たちに新しい「過去」を与えてくれますよね。


価値観に縛られない人たち


現代にも、既存の価値観に縛られない人と
そうでない人がいるように
この時代にもそんな人がいたんだというのが
この話のもう一つの見どころだと思います。

BL要素もあったり、士農工商の身分制度と
男尊女卑が当たり前の時代に
なにより主人公の片桐がそれを根底に置かない人間であること。
彼を取り巻く人間たちも、そこが片桐の良いところだよねと言い合う。
そんな価値観に縛られない人たちがいてもいいよね、というエピソードの数々。

それがまたコメディー要素として使われているから
なおのこと面白い。
コメディ要素をしっかり入れた人情劇。

あとあの歌よ。
なに引っ越しの歌って。笑

当時の生活や事情に寄り添いながら
歌や踊りを入れる事で
引っ越しという苦労を楽しみに変えれるという
当時のアイディアの再現と、
時代劇によく見る重苦しい雰囲気ではなく、
観る側に明るい賑やかな雰囲気を楽しませるっていう
二重のアイデアが含まれている気がしました。

犬童一心監督、邦画の中だとめちゃくちゃ好きな
監督さんなんですが。
「のぼうの城」が個人的にあんまりで・・
犬童さんの時代劇どうかなぁと思ってた部分も
正直あったんですが!
見てよかった!アパありがとう!!



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