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ヨーロッパ寝台列車の旅 ミュンヘン→ザグレブ 【ドイツ→クロアチア】

2019年GW10連休も間もなく終わりを迎えようとする5月3日、私はドイツ南部の第3の都市ミュンヘンにいました。

日中は「日本人が訪れたいドイツの観光地第1位」のノイシュヴァンシュタイン城を日本人ツアーで観光し、夕方にミュンヘンに戻ってくると市街を散策したり、ロンネフェルト(Ronnefeldt)の紅茶を1kgくらい買い漁ったり、マリエン広場で「München University」と書いてあるお土産パロディTシャツを探し求めたりしていました。

そうしてやることがなくなったので、次の目的地に向かいます。

ミュンヘンで宿はとっておらず、ドイツの隣の隣の隣の国であるクロアチアの首都ザグレブまで寝台列車で移動します

これは世界で最も美しい瀧や湖があると言われるプリトヴィッツェ湖群国立公園に行くため(note)です。

列車番号 EN 50463 (EN463)
ミュンヘン東駅(München Ost)からザグレブ中央駅(Zagreb Glavni Kolodvor)まで約9時間の旅です。

個室を一人利用で、料金は139ユーロ(約1.7万円)でした。
日本の物価に比べたら安いほうです。

寝台列車始発駅のミュンヘン東駅にやってきました。
通常はミュンヘン中央駅(München Hbf)が始発のはずですが、この日は違うようです。

ヨーロッパの夜行列車は、だいたい始発駅出発の1時間前にはプラットホームに入線していますので、23:36発であろうと22時くらいにはもう車内に入ってくつろぐことができます。

ところで、この電光掲示板をずっと見ていても、私が乗るはずの列車番号EN 50463 を表示してくれません(ENはEuroNight、ユーロナイトの略)。
どういう理屈かは分かりませんが、EN463としての表示しかされていませんでした。
こういう時は「まあヨーロッパだし」と言って思考を放棄します。

地下を進みホームに上がると案の定、ホームには長い車両が停まっていました。

ただ、あまりにもたくさんの車両が連結されており、自分がどの車両に乗るべきなのか分かりません(写真撮り忘れた!)

ザグレブ行きだけでなく、同じクロアチアのリエカ行きの車両、ハンガリーのブダペスト行きの車両、イタリアのヴェネツィア行きの車両などが繋がれており、少なくとも10両は繋がれていたように思います。

長い編成の、どの車両が自分の車両かを調べながら歩いていると、ホームでタバコを吸っていたおじさんが声をかけてきました。

「なにを探しているんだい?」
「(スマホに表示されたチケットを見せながら)どの車両ですかね?」
「それはこの隣の車両だよ」
「ありがとう!」

どうやらおじさんは車掌さんでした。

ところで扉に差し込んである札には列車番号EN 50463 の表記はどこにもありませんでした。

まあヨーロッパだし。

個室は洗面台付きの一人利用でした。
ミネラルウォーターが一本サービスで付いてきました。
ÖBBのNightjet(オーストリア国鉄の寝台列車)ならスパークリングワインとかボールペンとかスリッパなどのアメニティが付いてきましたが、特にそういうのはなかったです。

ただ一つだけ、粘性の液体が染み込ませてあるスポンジはありました。

日本に帰国して2ヶ月、これの正体をいまだに特定できていません。
どなたかご存知の方は教えてください…。
(石鹸の代わりでしょうか?)

他のヨーロッパの夜行寝台列車なら車両の端にトイレやシャワーがあったりするのですが、この車両にシャワーはありませんでした。
まあ想定の範囲内だったのでウェットシートで身体を拭き、洗面台で顔と髪を洗いました。

しばらくして列車が出発すると、あの車掌さんが部屋にやってきました。
「部屋の鍵は二つあるから必ず二つかけて寝なよ」
「部屋の照明、空調はここな」
「トイレは車両の端っこな」
「部屋を出るときは必ず財布やパスポートを身につけておけよ」
「朝食があるからな」
色々親切に教えてくれました。

そこで一つ気になっていたことを質問しました。
「外に出るときはどうやって部屋に鍵をかけたらいいの?」
Nightjetの場合はカードキーがありますが、この車両では見当たりませんでした。

すると車掌さんは下の画像の様なポーズをしました。

どうやら無いようです。

細いことは気にせず、缶ビールを2本飲み干し、消灯して寝ました。

翌朝目覚めると、列車が長時間停まっていることに気づきました。
GPSを確認するとスロベニアとクロアチアの国境の駅ドボヴァ(Dobova)にいるようです。

二人組の警官が私の個室までやってきて「パスポートを見せろ」と言いました。
この列車に犯罪者でも逃げ込んだのかな?と訝しながらパスポートを差し出すと、スタンプを押されました。
呆気にとられていると空かさず別の警官がやってきて「ダブルチェック!」と言ってまたスタンプを押されました。

あとで知ったのですが、クロアチアは入出国管理の方法・基準がシェンゲン協定とは異なるのだそうです。

また数分立って列車が出発すると、車掌さんが朝食を持ってきてくれました。
菓子パンはちょうど良い甘みでした。
でもコーヒーとオレンジジュースって、どっちかだけでいい気もするのだけれど。

「ワンミニット!」

車掌さんがいきなりドアを開け放ちそう言いました。
慌てて車両を降りる支度をします。

5分後、ザグレブ中央駅に到着しました。


10両以上繋がれていた車両もザグレブ駅に到着する頃にはたった2両になっていました(機関車含め全3両)。

ザグレブ中央駅は首都のターミナル駅ですがそれほど大きくなく、規模は山口駅と大して変わらない印象を受けました。

ここから走ってバスターミナルまで向かい、プリトヴィッツェ湖群国立公園まで向かいました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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