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「デザイン経営」を超絶分かりやすく解説してみた ②

この記事はコチラの続きの記事です。

〇前回のふりかえり

前回はデザイン経営の概要について綴りました。内容をふりかえると以下のような感じです。

 ・デザイン経営とは「戦略」にデザインを取り入れること。単にオシャレなロゴや商品をつくることではない。

・デザイン経営は①ブランドを構築すること、②イノベーションを起こすことの取組みに分けられる。これらによって圧倒的な競争力を得られる。

・デザインが有効なのは「モノ」でなく「心」の時代であるため。デザイナーは「心」を満たす専門家と言える。

では、デザイン経営の大きな2つの取組みである

①ブランドを構築すること
②イノベーションを起こすこと
のうち、今回は②イノベーションを起こすことの進め方について説明していきます。

iPhoneみたいな革新的な製品やサービスを生み出すにはどうすればよいのか?さっそく見ていきましょう。


〇イノベーションには「潜在ニーズ」が重要

こちらの図をご覧下さい。 

顕在ニーズと潜在ニーズの違い

顧客が持つニーズには自分自身が自覚している「顕在ニーズ」自分自身が気付いていない「潜在ニーズ」があります。

「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」どちらに着目するかによって、戦略の考え方が大きく変わってきます。

 たとえば「顕在ニーズ」に着目すると

アンケートをとったら「スポーツジムに通いたい」という人が多かった
→スポーツジムをつくろう!

という感じになります。

 これも有効な手法ではあるとは思いますが、「イノベーション」はあまり起こりえません。

なぜなら、他の企業等も同じようなアンケートを実施して、同じような情報をゲットしている可能性が高く、大きな差別化になり得ない可能性が高いからです。

 一方でデザイン経営では、

アンケートをとったら「スポーツジムに通いたい」人が多かった
→さらにヒアリングをしたら「痩せてモテたいのでスポーツジムに通いたい。でもなかなか時間がなくて通えない。」という悩みを抱えていることが分かった。
「自宅で手軽に痩せられる運動がしたい」という潜在ニーズがあるのではないか?
→それを満たすサービスってなんだろう?

というように発想します。
 このように、顧客の心理の深いところにある、はっきりと言葉にもしにくいような「潜在ニーズ」を捉えるからこそ、革新的な製品やサービスを生み出せる可能性が出てきます。

 前回、デザイナーは「心」を満たす専門家という話をしました。
デザインをする際に人の心理を想像することの多いデザイナーは、言葉の裏側を想像し、潜在的なニーズを捉えるのが得意な人が多いです。

 

〇仮説を繰り返し検証する

潜在ニーズが得られたら「仮説」をつくります。

前述の例でいうと、「自宅で手軽にできる運動で痩せる」ためには「ダイエットインストラクターの代わりになるアプリ」があれば良いのでは?みたいな感じです。

 デザイン経営ではこの「仮説」を顧客へインタビューする等して、繰り返し検証します。

 仮説は「当たっていたらラッキー!」みたいなもので、正直外れていることの方が多いです。

しかし、仮説は外れたとしても、貴重な気づきが得られます。

その気づきを踏まえて、新たな仮説を繰り返し検証していけば、確実に正解に近づくことができます。

 

自分が支援している新規事業では
①まだまっさらな段階
②コンセプトをプレゼンシートに落とし込んだ段階
③試作品を作成した段階
などでユーザーへ繰り返しヒアリングを行い、戦略を素早く軌道修正しています。

 このように仮説を繰り返し検証しながら事業をブラッシュアップしていく手法「アジャイル型開発」といいます。

アジャイル型開発は繰り返し仮説を検証する

この「アジャイル型開発」と対局にあるのが「ウォーターフォール型開発」といいます。

 ウォーターフォール型開発とは、水が高いところから低いところを流れ落ちていくように、一つ一つの工程をしっかりと練り上げてから次の工程に移ろう、という進め方です。

ウォーターフォール型開発は一つ一つの工程を練り上げながら順番に進む

このウォーターフォール型開発は「イノベーションを起こそう」とか「他社と違うような新規事業をやろう」というような不確定要素の大きい事を進めるにはとても不向きです。

 なぜなら、せっかく長い時間とお金をかけて開発した事業も「全然売れない!?」となった際に、大きな軌道修正が行いにくいからです。(例えば、大きな設備投資をしていたり、既に専用の人員を雇ってしまっていると、それが制約になって戦略の軌道修正が行いにくくなります。)

 

先ほど『仮説は「当たっていたらラッキー!」みたいなもの』と書きましたが、
「当たっていたらラッキー!」程度のものに、時間もお金もガッツリ「賭けよう」というリスキーな話になってしまいます。

新規事業開発には失敗がつきもの。特に革新的なサービスをつくろうと思えば思うほど、幾度か失敗を重ねなければ成功にはたどりつけないものだと思います。
アジャイル型開発リスクを極限まで小さくした状態で何度も失敗を繰り返すことだと捉えることもできます。

要するに、
「潜在ニーズ」という不確定要素の高いものを扱ったり、誰もやっていないような革新的な商品やサービスをつくるからこそ、
「アジャイル型開発」という何度も何度も検証を行う手法が大切
になります。

〇まとめ

 いかがでしたか。内容をまとめると次のようになります。

 ・イノベーションを起こすには「顕在ニーズ」でなく「潜在ニーズ」が重要

・デザイナーは「潜在ニーズ」を捉えるのに長けている

 ・「潜在ニーズ」から仮説を立てて、顧客に繰り返しヒアリングして仮説を検証することが重要

 「デザイン経営」は抽象的でなかなか伝えにくい概念なのですが、
この記事を通して少しでも整理されれば幸いです!

 このブログでは経営戦略やデザインに関する記事をアップしていきます。

更新頻度は少ないですが、その分しっかり推敲して、読むに値する良質な内容を提供していきたいと考えています。

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〇執筆者について

もともとグッドデザイン賞等を受賞した一級建築士・デザイナーだったのですが、ゼロから経営学を勉強し、中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格)を取得。
グラフィックデザイナーである妻と共にデザインに強い経営支援事務所「ふくろう経営デザイン室」を主宰しており、中小企業へ【戦略策定|新規事業開発|ブランディング|デザイン経営|販促ツールのデザイン制作】をサポートしております。

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