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中小企業に適した戦略のフレームワーク

以前会社経営を俯瞰すると、やるべきことが見えてくる 「経営の木」というブログにて、
“経営を木に例えると戦略は幹にあたる部分。ビジネスを考えるときにいかに優れた戦略を描けるかが大事。ここが間違っていると、どれだけ広報や集客活動に力やお金をつぎ込んでもうまくいかない。”という話をしました。
 


では、どうしたら優れた戦略を描けるでしょうか?
それを手助けするツールが「フレームワーク」というもの。

今回は、最近本で読んで知り、実際にクライアントさんに使ってみたら好評を得たフレームワークがあるのでご紹介したいと思います。
 
 

◯そもそもビジネスにおける「フレームワーク」とは?

例えば次のようなものがあります。

SWOT分析

自社やその取り巻く環境を、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)に分けて整理するもの


PPM分析

自社の事業の現状や将来性などを踏まえて、「花形」「金のなる木」「負け犬」「問題児」に分け、経営資源の配分を判断するフレームワーク

5F分析

https://www.salesforce.com/jp/hub/marketing/5forces/

 業界の取り巻く競争要因を分析し、その業界の魅力度を明らかにする分析

こういったフレームワークは何のためにあるのかというと、
「戦略を考える際に抑えるべきポイントを押さえて、成功確率を上げるため」にあります。

例えるなら「自転車の補助輪のようなもの」です。

事業が軌道に乗るまでの間、スピードが出ていないときの自転車のようにフラフラと模索しながら進むことになりますが、フレームワークを使えば安定して進むことができるようになります。
 


〇世に広まっているフレームワークには使い所が限られていたり、中小企業には向いていないものがある


例えば、先に取り上げたフレームワークにおいて、次のようなことが言われています。
 
SWOT分析:
得られる示唆が無数に出てしまい、戦略をまとめるには慣れやコツが必要
コンセプト作成には役立つが、具体的な計画に落とし込む際には役に立たない。
 
PPM分析:
複数の事業を営んでいなければ無意味。そもそも大企業向けにつくられたものであり、中小企業では使い所が限られる。

5F分析:
分析できることがその業界の「脅威」のみに限られる。

つまり、戦略を考える際にはいくつものフレームワークを併用する必要が出てきたり、慣れが必要だったりするケースがあります。
いくつものフレームワークを併用すると、「結局どうすれば良いんだ??」と頭が混乱することもあるでしょう。

「これ一つ使っておけば大丈夫」という、誰にでも使いやすいフレームワークがあったら良いと思いませんか??


〇では、中小企業向けにつくられて、かつ誰にでも使いやすいフレームワークは?


 
そこで今回ご紹介するのは「セブンエレメンツモデル」というフレームワークです。
 
 
考案されたのは経営コンサルタントの亀井芳郎さん。
かつて経営者のご経験があり、その時代に、先に述べたようなフレームワークを用いた資料をコンサルタントから提示されて、いま一つ腑に落ちなかった経験から、「中小企業者が誰でも腑に落ちるようなフレームワークをつくろう」と、このフレームワークをつくるきっかけになったそうです。
 
詳しくはこちらの本を購入されることをおすすめしますが、ここではざっくりと概要をご説明します。


◯セブンエレメンツモデルの概要


セブンエレメンツモデルはその名のとおり「7つの要素」から成り立ちます。


 

【競合】と比べた際の、
【自社】の強みやこだわりや技術を用いて、
ターゲットとしている【顧客】に対して
魅力的な機能・デザイン・品質をもった【商品】を
適正な【価格】
そして適正な【販路】・【販促】で届ける。

これらの要素を1つ1つ検討していくことで
「戦略」を立てることが可能となります。


◯戦略に重要なのは、各要素のつながり

例えば「65歳以上の高齢向けの健康食品」のプロモーションを、若年層の利用者が多いInstagramで行っても効率が悪いですし、

「30年間整体師としての腕を極めてきました!」って人が高級食パンのお店を始めたとしても、その強みを活かせず、すぐに競合に埋もれてしまうでしょう。

このようなケースでは下図のように「隣り合う要素とのつながりが弱い」とみることができます。
 

 


言い換えると
「これら7つの要素がしっかりとつながっている戦略をつくること」
これが大切です。
 

先ほどの事例のような極端につながっていないケースは稀ですが、微妙につながっていない「ちょいズレ」のケースは、様々な中小企業さんの事業計画を拝見している中でも結構あります。
 
 
このセブンエレメンツモデルでは戦略策定に必要な要素が網羅されており、このツールだけでそれぞれの繋がりが整理できるのです。
 

◯各要素のつながりを実行検証すべし

 
「うまく整理できて、要素がつながったいい戦略ができた!」と思っても、満足するのはまだ早く、本当にうまくいくかどうかは実際にやってみなければ分かりません。
実行にうつしていない「戦略」はまだ「机上の空論」であり、「仮説」であると私は考えています。
「価格設定が受け入れられなかった!」
「顧客のニーズの把握が甘かった!」とか、
実際に実行してみたら何かしらの思いどおりにいかないケースは必ずと言っていいほどあります。
 
その際に軌道修正を「何度も」「繰り返し」「素早く」することが、成功するうえで非常に重要になります。
 
 
環境が変わっても進化し姿を変えることで生き延びてきた生物のように、
市場の状況に合わせて戦略をアップデートしていくのです。
 
 
このときにも、セブンエレメンツモデルが非常に役立ちます。
 
なぜなら、「戦略を7つの要素に切り分けているため、どこが間違っていたのか?」を確認しやすいためです。
間違っている部分だけをすぐに修正して、素早く次につなげることが可能です。


◯まとめ

いかがでしたか。
内容をまとめると次のような感じです。

・フレームワークとは「自転車の補助輪のようなもの」。事業を進めるのを

・世に広まっているフレームワークには使い所が限られていたり、中小企業には向いていないものがある

・「セブンエレメンツモデル」というフレームワークを用いると、一つのフレームワークで各要素のつながりを意識した戦略策定が可能

・戦略は「仮説」。素早く実行検証して軌道修正させていくことが重要。


今回の記事はこちらの本の内容の解説を交えながら綴らせていただきました。

まだまだこのブログで語られていない内容もたくさんあるので、ご興味のある方は是非ご一読ください。


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◯執筆者について

もともとグッドデザイン賞等を受賞した一級建築士・デザイナーだったのですが、ゼロから経営学を勉強し、中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格)を取得。
グラフィックデザイナーである妻と共にデザインに強い経営支援事務所「ふくろう経営デザイン室」を主宰。中小企業へ【戦略策定|新規事業開発|ブランディング|デザイン経営|販促ツールのデザイン制作】をサポートしております。


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