富山市役所 法務指導監 福島武司

弁護士資格を有する常勤職員として、2015年から富山市役所に勤務している者です。市職員…

富山市役所 法務指導監 福島武司

弁護士資格を有する常勤職員として、2015年から富山市役所に勤務している者です。市職員向けに作成した文書をアーカイブしていきます。

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「ワーク・ライフ・バランス」について個人的に思うところ

 2023年2月3日に富山市役所で行われた職員研修「仕事と家庭生活の両立支援セミナー」において、「ワーク・ライフ・バランスについて個人的に思うところ」と題して約30分間話をしましたが、その際にレジュメとして用意したものがこの文章です。 1 「ワーク」(仕事)と「ライフ」(私生活)の「バランス」?   まず、切り分けがおかしい。   私の考えでは、少なくとも以下の4つの切り分けが必要なはず。 ①睡眠、食事、排泄等、生理上最低限必要な行動  特に睡眠不足は脳に打撃(飲酒同様

    • ワークとライフに役立つネット記事(33)~栗山監督「世界最強チーム作る"伝え方"」

       今回の記事は、2023年3月にワールド・ベースボール・クラッシックで日本代表を優勝に導いた栗山英樹監督の「伝え方」を、マネジメントの観点から分析したものです。  記事では、以下のように集約しています。 1 圧倒的なコミュニケーションファースト 2 徹底的にフラットな目線 3 「心理的安全性の高いチーム」を作る 4 風通しが良く、活発なコミュニケーション 5 「ツメ」より「ホメ」優先 6 ひたすらに謙虚 7 短く言い切る 8 「命令」でなく「問いかけ」 9 考えを押し付け

      • ワークとライフに役立つネット記事(32)~リーダーは率先して自分のメンタルヘルスのストーリーを共有せよ

         今回の記事は、ビジネスリーダーに対し、自分のメンタルヘルスの経験を積極的に自己開示するよう促すものです。  筆者は、かつて不安障害や鬱で休職した経験があり、そこから回復できたのは「他のリーダーたちがメンタルヘルスの問題にうまく対処してきたことを知ったからだ」と語ります。そして、自分のストーリーを他者と共有するようになり、自分だけではなく、誰でも何かしらのストーリーを持っていることを知ったと言います。  記事では、リーダーが自分のストーリーを共有するための具体的な方法論が提

        • ワークとライフに役立つネット記事(31)~バカンス大国・フランス流の働き方は日本のヒントになるか

           今回の記事は、フランス在住日本人へのインタビューであり、日本の働き方を見直すヒントを探るものです。  フランスでは年30日の有給休暇があり、高い取得率を誇るとのことで、かつては日本同様休めない国だったのが、国策として長期休暇取得が推進され、バカンス大国といわれるまでになったそうです。  記事での指摘のうち、以下の部分は特に重要だと思います。 ・誰かが休むと回らない仕事は、その人が「人質」に取られている。日本の場合、最もキーになるのは「属人化の解消」。 ・休める人が1人では

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          ワークとライフに役立つネット記事(30)~上司ができていない人として当たり前の行動

           今回の記事は、 「上司は、部下という他人に対し、当たり前の礼儀をきちんと実行できていますか?」 と問いかけるものです。  仕事は様々な人とコミュニケーションを取りながら作り上げるものであり、良い関係を構築するには自分が他人とどう接するかで決まる。礼儀正しい行動(子供でも分かる人として守るべきモラル)を取れる人が仕事を成功に導く。しかし、軽く考えて実行できない上司が驚くほど多い、というのです。  ポイントは、部下から上司への礼儀ではなく、「上司から部下への礼儀」です。日本

          ワークとライフに役立つネット記事(30)~上司ができていない人として当たり前の行動

          ワークとライフに役立つネット記事(29)~料理を毎日作ることの大変さ

           今回の記事は、総菜宅配サービスを展開する会社の社長が、家事について対談しているものです。  私は妻を亡くしてから13年ほど父子家庭だったので、「料理を毎日作ることの大変さ」を痛感しましたが(といっても当時夕食は私の母に作ってもらっていたので甘々です…)、炊事などの家事労働は、「誰でもできる」などと軽く見られがちです。特に、家事をまともに担った経験がない人(主に中高年男性)ほど、馬鹿にする傾向が強いでしょう。  長時間労働が当然視される社会は、それにより担えなくなる家事労働

          ワークとライフに役立つネット記事(29)~料理を毎日作ることの大変さ

          ワークとライフに役立つネット記事(28)~ハラスメント調査報告書

           今回取り上げるのは、「町長による99のハラスメントを認定する報告書が公表された」として大きく報道された、その報告書の原文です。  作成したのは弁護士3名からなる「第三者調査委員会」であり、巻末資料を含めて90頁に及ぶ分量があります。しかも、以下のように、非常に参照価値の高いものとなっています。 ・実際になされた調査妨害行為(怪文書など) ・調査結果の公表についての考え方 ・調査の手法 ・ハラスメント行為の類型 ・個別の行為の具体的な認定手法、ハラスメント該当性の評価 ・加害

          ワークとライフに役立つネット記事(28)~ハラスメント調査報告書

          ワークとライフに役立つネット記事(27)~鬼時短

           今回ご紹介する記事は、時短という組織改革に取り組むビジネスリーダーに求められる「覚悟」を論じた、「鬼時短」という本からの引用です。  著者は元電通マンであり、痛ましい過労自殺事案が起きた後、引責辞任した社長の後任から特命を受け、社を挙げた時短を牽引した経験を基に執筆されています。実は私の大学時代(教養課程)のクラスメートだったりしますが、彼がこんな大変な仕事に取り組まれていたことは全く知らなかったので、とても驚きました。  本の内容は、「こうすれば時短ができます」という安易

          ワークとライフに役立つネット記事(27)~鬼時短

          ワークとライフに役立つネット記事(26)~部下から徹底的な本音を得るコツ

           今回の記事は、上司が部下から「ネガティブなフィードバック」を受けることの重要性と、そのためのスキルを論じたものです。  そんなスキル必要ないんじゃ?と思った方こそ、記事をよく読んでいただきたいです。  記事で紹介された6ステップは、元が英語の文章であることもあって、理解が難しいでしょう。文化が違うと感じるかもしれません。しかし、だからこその気付きがあるはずです。  日本の組織は、正に「うわべだけの調和を重んじる文化」に塗り潰されている場合が多いでしょうが、それでは上司

          ワークとライフに役立つネット記事(26)~部下から徹底的な本音を得るコツ

          ワークとライフに役立つネット記事(25)~マジメな人ほどメンタル不調になりやすい

           今回の記事は、真面目な職員が自分で自分を追い込むことがないようにとの願いを込めて、取り上げました。  記事では、真面目な人ほど疲弊を深めていく心理的なメカニズムが明らかにされています。  また、休むための環境の確保には甚大な心理的コストが必要であり、そのような困難を生む要因として、「過剰適応」(周囲に配慮し、他者に調和することを重視しすぎて、常に気を張っている状態)が指摘されています。自分のニーズより他者のニーズを優先する精神状態であり、極めて疲弊しやすいというのです。  

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          ワークとライフに役立つネット記事(24)~残業続きの人は常に酩酊状態

           今回の記事は、睡眠時間を確保することの重要性を認識していただくために取り上げました。  日本では「睡眠時間を削って働く」ことが美徳とされがちですが、完全に誤りです。こういう感覚はとんでもなく有害です。  寝不足の状態で仕事をするのは、酒を飲みながら仕事をするのと同じ効果をもたらしますので、後者を非難し前者を称賛するのは明らかな矛盾です。  真面目な人ほど「周りに迷惑をかけたくない」と考えて長時間労働を受け入れ、睡眠時間を削り、休暇を取らずに頑張ってしまいますが、疲労をどんど

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          ワークとライフに役立つネット記事(23)~SNSで炎上したら?

           今回の記事は、SNSで炎上した際の鎮火対策の心構えを示していますが、不祥事への対応一般に共通するものとして、大変参考になります。  組織内で重大なミスや不祥事(の疑い)が生じたときにどう行動すべきか。隠蔽や矮小化を図らない真摯な対応とは何か。この記事を読みながら是非、具体的な事例(例えばセクハラ、パワハラ)を想起してイメージトレーニングしてください。  また、他の自治体で起きた不祥事のニュースを見たら、必ず、自分の課で同じことが起きたら自分はどう動くか、報道されているよ

          ワークとライフに役立つネット記事(23)~SNSで炎上したら?

          ワークとライフに役立つネット記事(22)~仕事と日常を同一視すると起こること

           今回の記事は、「仕事と日常(人生)の区別」がテーマです。  長時間労働が当たり前になっている日本社会においては、仕事と日常、さらに仕事と人生が同一視される傾向は、非常に強いのではないでしょうか。  しかし、記事では、メンタルヘルスの見地から、仕事を「非日常の場」と捉えることの重要性が強調されています。  自分を客観視し、仕事を人生や生活のすべてと勘違いしないことが重要であり、仕事が限定的な場の枠組みに過ぎないと理解することで、仕事と日常と同一視せず、適切な心理的距離を保つこ

          ワークとライフに役立つネット記事(22)~仕事と日常を同一視すると起こること

          ワークとライフに役立つネット記事(21)~「あった方がいい病」

           今回の記事は、外資系マネジャーが行っている仕事の進め方のルールを紹介するというものですが、限られた時間で最大の成果を出すため、管理職は「何をやるか」よりも「何をやらないか」という引き算の視点(仕事の取捨選択)を特に意識すべき、と強調されています。時間価値の意識が低い日本人に対しては、「日本人は人のサイフは盗らないが、人の時間は平気で盗む」という辛辣な評価もあるそうです。 ・「出席しておいた方がいい」といたずらに会議の出席者を増やす。 ・「あれも調べておいたほうがいい」と検

          ワークとライフに役立つネット記事(21)~「あった方がいい病」

          ワークとライフに役立つネット記事(20)~パパの子育て3カ条

           今回の記事は、20年来の「兼業主夫」である放送作家さんのインタビューです。  かつて父子家庭だった私から見て強く共感したというのもありますが、育児から逃げられない若いパパ世代と、その上司の世代と、両方にとって大変参考になると思い、取り上げました。  記事で述べられているとおり、男性(パパ)は育児において、以下のような困難に直面します。 ・男性が子供の病気で仕事を早退するのが難しい社会的空気感。 ・男性には妊娠期間がなく、授乳もできず、そのハンデを理性で追いつくしかない。

          ワークとライフに役立つネット記事(20)~パパの子育て3カ条

          ワークとライフに役立つネット記事(19)~自己開示しない管理職が心理的安全性を下げる

           今回の記事は、チームの信頼関係を構築するための「自己開示」の重要性を説くものです。 「職場の心理的安全性をつくるには、マネジャーから自己開示するのが鉄則」  ここは本当に重要なポイントですから、当然の常識にしてほしいところです。  記事は以下のように指摘します。 ・メンバーから自己開示するのはハードルが高い(上司がどんな考えや価値観を持った人なのか分からない状態では、部下はリスクをおそれて自己開示できない) ・自分の価値観や信念、期待感(これが好き、これを大切にしている、こ

          ワークとライフに役立つネット記事(19)~自己開示しない管理職が心理的安全性を下げる