ワークとライフに役立つネット記事(28)~ハラスメント調査報告書

 今回取り上げるのは、「町長による99のハラスメントを認定する報告書が公表された」として大きく報道された、その報告書の原文です。
 作成したのは弁護士3名からなる「第三者調査委員会」であり、巻末資料を含めて90頁に及ぶ分量があります。しかも、以下のように、非常に参照価値の高いものとなっています。
・実際になされた調査妨害行為(怪文書など)
・調査結果の公表についての考え方
・調査の手法
・ハラスメント行為の類型
・個別の行為の具体的な認定手法、ハラスメント該当性の評価
・加害者の弁明とその信用性の評価
・被害者が行った証拠確保の取組み
・ハラスメント対策部門が機能しなかった実態とその原因
・ハラスメントが深刻化した原因、背景の分析
・再発防止の具体的な提言
・関係者の処分の助言
・アンケート項目と回答結果
・自由意見投稿フォームに投稿された意見の内容
 
 関係者の名誉・プライバシー保護の観点からは、ここまで詳細に公表してよいものか疑問に感じる部分もありましたが、純粋に読み手の立場に立てば、こんな生々しい資料が無料で読めちゃうインターネット凄い。
 
 ハラスメント対応が業務である方々には必見です。
 多岐にわたるハラスメント行為の一覧表を見るだけでも、大変参考になります。
 さらに、「私には関係ない」「部下が私の言動をハラスメントと思うはずがない」などと根拠なく楽観している権力者の方々にこそ、是非、全文を熟読していただきたい。そして、もし自分が同様の追及を受ける立場になったら、弁明できる余地が残されているか、具体的に想像力を働かせて、ひんやりしていただきたい。
 逆に、権力を持たない側から見れば、権力者のハラスメントにどのように対抗すればよいのか、極めて実践的な示唆が得られることでしょう。
 こういう文書を多くの人が読むことで、社会全体のハラスメントの害の総量を減らす効果が期待できると思います。

岐南町ハラスメント事案に関する第三者調査委員会調査報告書
https://www.town.ginan.lg.jp/secure/5496/houkokusho.pdf