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デジタル書斎の知的生産技術

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クリエーターは知的価値を創造し、その価値を社会に訴求していくプロフェッショナルです。知識が豊富だけではクリエーターといえません。知的価値を生み出す知的腕力が必要です。知的腕力とは… もっと読む
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記事一覧

ディジタル書斎15 映像という情報

ディジタル書斎15 映像という情報

見て獲得する知識
 文字という記号から獲得する知識が多いが、「百聞は一見に如かず」というが、映像として脳に入力される情報は、言語表現された知識以上に強い知識となる。忘れられない情景、景色、物体など。目の前の見えているモノをじっと見続け、脳にしみこませることを意識している。
絵画は時間をかけないと、時間をかけて書き上げた画家とのコミュニケーションができない。写真の方が具象であるのでわかりやすい。知識

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デジタル書斎14 電子書籍の制作・出版

デジタル書斎14 電子書籍の制作・出版

電子書籍を作成する手順

この原稿を本として出したい、と思っても出版社は出してくれません。1000~3000部買取の条件なら出版しますということはあります。店頭に置いてもらえるかも判りません。そして売れない本はすぐに廃版です。電子出版の良いところは自分が出版社です。自分の意志で出版できます。さらに半永久的にAmazon書店で販売してくれます。自分で作業すればほとんどお金は掛かりません。電子書籍は何

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ディジタル書斎13 本の書き方

ディジタル書斎13 本の書き方

本を書くという仕事

ある関係性を持つ情報がたまったら書籍を書くという知識の構造化がある。かなり知的腕力を必要とするが、ということはそれだけの知的腕力がつく。
雑誌の原稿は2000ないし3000字であるが成書は取り扱う知識の量がかなり多く約十万字くらいだから、「小札法」で書き上げるわけにはいかない。私は本を10冊以上執筆したが、そこで私が習得した私流の本の書き方をご紹介する。

まずテーマである。

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ディジタル書斎12 ITツール

ディジタル書斎12 ITツール

知的生産技術のITツール

知的腕力を鍛えるといいうことは「脳を鍛える」ことです。情報の収集、その分析、そして得られた知識の編集ということが脳を鍛える行動です。たくさんの本を読んでいてもそれだけで終わると、知識を、物事の判断や行動に応用出来ません。人にそれを話し、文章に書くと応用力のある知識になります。
情報の収集能力の強化には書籍、文書、講演、人の話、映像、旅など多様な情報源から積極的に継続的に

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ディジタル書斎11 情報の編集 小札法

ディジタル書斎11 情報の編集 小札法

知識の構造化の技法 こざね法
収集し獲得した知識は断片的です。これを構造化することによって行動につながる大きな知識に変えることができます。そして新しい視点が見えてきます。典型的な例は本を書く、論文を書く、記事を書くということです。これはアウトプットです。
私が学生時代に「知的生産の技術」という知の生産技術を紹介する岩波新書が出版されました。著者は京都大学の梅棹忠夫教授です。著名な文化人類学者でフィ

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ディジタル書斎10 脳の中のビックデータ

ディジタル書斎10 脳の中のビックデータ

脳の中のビックデータ
最近、ビックデータ、 ディープ・ラーニングという言葉がよく出てきます。構造化されていない膨大なデータ、例えばPOSのデータやネット検索のログデータ、そしてSNSの投稿データを人工知能の技術の一つであるディープ・ラーニングを使って分析して、何が売れているのか、そしてこれから何が売れるのか等という知識を抽出する話です。こういった話は、以前はデータマイニングと呼ばれていましたが、最

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ディジタル書斎9 身体で知識を獲得

ディジタル書斎9 身体で知識を獲得

身体で知識を獲得する
これまでデジタル技術による情報の収集を紹介してきたが、デジタル技術だけでは知識を吸収する事はできない。知識の獲得には身体的な動作が本質的に重要である。これは「身体化された認知」という概念である。手を動かし身体を動かし、注意深く観察することなしに、高度な知は獲得できないということである。私たちの物理的存在が、それを生み出した社会から切り離せないと同じくらい、我々の思考を我々の物

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ディジタル書斎8 情報を知識に変える

ディジタル書斎8 情報を知識に変える

情報を知識に変える作業
情報と知識の定義はいくつもありますが、このコラムでは、事象に関する生の記述を
「情報」と呼び、その情報に意味づけや関係性を持たせた記述を「知識」と呼ぶことにします。「記述」とは言語的または図形的な表象とします。画像や動画から人は知識を獲得できますが、その画像や動画そのものは「情報」としておきます。
私達は情報の洪水の中に生きています。ただ、その溢れるばかりの情報から自分にと

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ディジタル書斎7 情報融合

ディジタル書斎7 情報融合

様々な情報を構造化して知に変える
生物の進化論は、生存と繁殖に本質的に関わりがある情報を感受し、これを短時間に処理し、適切な行動や反応に結び付けた個体、種が生き延びる、という事です。企業、そして人間、コミュニティーおいてもこれは同じでしょう。
また人間には、心理的な面から情報に関して3つの欲求があるといわれています。1つは情報を生み出すこと。2つ目は他のグループや人に伝えること。3つ目は情報の意味

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ディジタル書斎6 情報の分析

ディジタル書斎6 情報の分析

  情報収集の次の段階は、情報の分析ですが、これは訓練が必要なプロセスです。統計分析、キーワード分析、ネットワーク分析…いずれもツールとそれを使いこなすスキルが必要です。それ以前に重要なことは、問題意識の視点です。収集の段階でも重要と言いましたが。此の視点があれば分析は人に頼めますから。といっても何も出来ないのも可笑しいですね。数値データはExcelが使えればかなり高度な分析が出来ます。ブレインワ

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ディジタル書斎5 情報の収集

ディジタル書斎5 情報の収集

この表題はあえてディジタルと入れていますが、本質的に,知的活動にディジタルとアナログの境界はありません。ディジタルとアナログは単なる工学的な信号処理とそのデバイスの違いだけです。文具がディジタルかアナログの話でしょう。純アナログで生活している人はいません!見ているテレビもディジタルです。
というしょうもない話はおいて、本質的な知的生産技術の話をしましょう。知的生産技術は目的ではありません。あくまで

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デジタル書斎4 どこでも書斎

デジタル書斎4 どこでも書斎

デジタル書斎はネット空間にありますから「どこでも書斎」です。海外旅行の長いフライトの時間も有効に使えます。積読の雑誌を読むなどは適しています。行く前にたまった雑誌から興味を引いた記事を切り分け、すでに紹介した,端をカッターで切りそろえて、スキャナーのIX500で読み込ませpdf化したものを,iPadに移しiBookで読むようにして持参しました。GEの戦略、エコ企業100、日本を救う中小企業100

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デジタル書斎3 情報収集の習慣

デジタル書斎3 情報収集の習慣

デジタル書斎の構築の基本的なハードウエア、ソフトウェア、紙資料の電子化について1と2で解説しましたので、今回はいよいよ本質的な知的作業について話しましょう。
知的創造で最も重要な事は、興味の対象、即ち研究対象を明確に持つ事です。学術研究者にとって、研究テーマとの出会いが運命を決めると言ってもいいでしょう。それが金鉱脈であれば、結果も出ます。其の為に、数多くの論文を読みます。その時間が長い。特に博士

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デジタル書斎2 ペーパーレス

デジタル書斎2 ペーパーレス

前回はデジタル書斎に必要なハードウエアとそれに関連するソフトウェアを紹介し、その延長で散らかる紙のpdf化も少し取り上げました。
既に製本されている報告書等については捨てるのが一番ですが、それでも電子化して保存したい向きは、LION PAPERCUTTER PCA4-PNというカッターを購入して背を5-8ミリ程度切り落としてIX500でスキャンすれば簡単にpdf化できます。10ミリ厚くらいまでは一

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