ふじ〜ぴっく(fujipik)

コンサート、美術館、イベントへ行ったこと、本を読んだ感想などを書いてます。 名前はf…

ふじ〜ぴっく(fujipik)

コンサート、美術館、イベントへ行ったこと、本を読んだ感想などを書いてます。 名前はfreepikユーザーのフジモトなのでfujipik。北海道富良野出身、東京都在住の60代男性、音楽を聴いたり、演奏したり、水泳することが趣味。

最近の記事

映画「フェラーリ」と板橋区立美術館「ボローニャ国際絵本原画展

映画「フェラーリ」を見てきました。 1957年のイタリアが舞台、主人公はフェラーリの創業者、妻とふたりでフェラーリ社を経営し、ひとり息子を病で失い、他にも愛する女性と隠し子がいることを妻に知られ、妻との関係は冷め、しかも、会社は火の車、さてここから起死回生なるか、といった話しです。 屋外の場面では、再現された往年の真っ赤な名車フェラーリがイタリアの雄大な風景や歴史的な建造物をバックに走り、 室内の場面では、暗いトーンに斜めから光が差し込み影を作る映像がいろいろな場面で

    • 映画「九十歳。何がめでたい」と、ピアノ練習アプリについて

      先日、映画「九十歳。何がめでたい」を見てきました。 作家の佐藤愛子先生(草笛光子さん)と、担当編集者(唐沢寿明さん)、両者によって名著『九十歳。何がめでたい』が出版されるまでのいきさつが映画となっています。 断筆した高齢の愛子先生、愛子先生に連載をお願いしたい担当編集者、なのに、仕事一筋の担当編集者は家族が崩壊寸前の状態で、この先いったいどうなることやら、という映画です。 楽しい映画で、上映中、何度も笑ってしまいました。 それにしても、大女優の草笛光子さんといい、文豪

      • ルーテル市ヶ谷ホール「オケマンの室内楽」と映画「言えない秘密」

        先日、ルーテル市ヶ谷ホールにて室内楽を聴いてきました。 このホールは市ヶ谷駅から徒歩一分にある日本福音ルーテル教会の会堂で、普段のお祈りの場が演奏会場となっています。 コンサートのタイトルは「オケマンの室内楽!名曲に憧れて」、 出演はN響メンバー1名と、都響メンバー3名によるカルテットで、プログラムはモーツァルトの弦楽四重奏曲第18番とベートーヴェンの弦楽四重奏曲第8番。 普段オーケストラとして活動しているからなのか4名は気高く、つつましく、連携良く、協調性があり、トー

        • 東京文化会館のイリーナ・メジューエワ「ショパンの肖像」ピアノリサイタル

          2024年6月22日(土)、私は東京文化会館でピアノの演奏を聴き、上野の森美術館で書を鑑賞してきました。 東京文化会館でピアノを演奏していたのはイリーナ・メジューエワさん、上野の森美術館に展示されていた書の作者は石川九楊さんです。 イリーナ・メジューエワさんと石川九楊さんの共通点はというと、お二人とも専門的なことをわかりやすく一般向けに本として出版したり、ウェブ上で解説やインタビューを公開したりしています。しかも、それが面白い。 そんな読みやすくて面白い本のひとつに、イ

        映画「フェラーリ」と板橋区立美術館「ボローニャ国際絵本原画展

          国立近代美術館でパリと東京と大阪のモダン・アート・コレクションを見てきました

          生前に売れず、どころか、生前に創作活動していることさえ人に知られず、没後に作品が発掘され高く評価された? そういう人がいたとは、私は今回の展示を見るまで知りませんでした。 詳しくは後半で、 * 先日、東京の北の丸公園にある国立近代美術館で開催中の「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」展に行ってきました。 この企画展は、パリ(市立近代美術館)、東京(国立近代美術館)、大阪(中之島美術館)の3つの美術館が共同して各館のコレクションから主題や内容や背景

          国立近代美術館でパリと東京と大阪のモダン・アート・コレクションを見てきました

          N響定期公演「スクリャービン ピアノ協奏曲」を聴いてきました

          日本初の軍楽隊が発足したのは1871(明治4)年、日本初の日本語讃美歌集が発行されたのが1873(明治6)年、日本初の皇室による西洋音楽への取り組みが1874(明治7)年、日本初の西洋音楽教育を目指して音楽取調掛が設置されたのは1879(明治12)年、明治以降この4つが西洋音楽を日本へ伝えた主なルートだったようです。 (玉川裕子さんの著書「『ピアノを弾く少女』の誕生 ジェンダーと近代日本の音楽文化史」より) * チケットを取るのが下手な私ですが、やっと「最もチケットの取

          N響定期公演「スクリャービン ピアノ協奏曲」を聴いてきました

          辻井伸行さんのピアノ・リサイタルを聴きにみなとみらいホールへ

          私、心の中で「ピアノの神様」を決めました。 * 先日、辻井伸行さんのピアノ・リサイタルを聴きに横浜みなとみらいホールへ行ってきました。 みなとみらいホールは客席数約2千席の大ホール、開演5分前の合図がドラの音ということが独特で「グゥワーン、バシャーン」とヨコハマっぽくていい感じです。 プログラムはバッハ「フランス組曲第5番」から始まり、ショパン「即興曲第1〜3番」ときて、前半のラストが「即興曲第4番(幻想即興曲)」、 休憩をはさんでラフマニノフの「ヴォカリーズ」と「

          辻井伸行さんのピアノ・リサイタルを聴きにみなとみらいホールへ

          N響の現代音楽「MUSIC TOMORROW 2024」を聴いてきました

          ウクライナの画家マレーヴィチ(1879-1935)が1916年に描いたこの絵「シュプレマティスト コンポジション」という作品が2018年にオークションで落札されたそうです。 おいくらだと思います? * 先日、東京オペラシティコンサートホールでN響のコンサート「MUSIC TOMORROW 2024」を聴いてきました。 「MUSIC TOMORROW」は「演奏と創作」の「創作」側に焦点をあて、演奏機会の少ない同時代作品(つまり、近年作曲された現代音楽)を演奏しオーケスト

          N響の現代音楽「MUSIC TOMORROW 2024」を聴いてきました

          ヒラリー・ハーンのヴァイオリンでブラームスを聴いてきました

          先日、ミューザ川崎シンフォニーホールでヒラリー・ハーンのヴァイオリンを聴いてきました。 プログラムはブラームス作曲のヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」から始まり、ヴァイオリン・ソナタ第2番、休憩、ヴァイオリン・ソナタ第3番という内容、 あらかじめ、譜面台にはiPadとフットスイッチが備えられ、ヒラリーハーンは青のドレスでメガネを手に持っての登場、挨拶の後、メガネをかけて演奏開始です。 静かな始まりから、しっとり聴かせて、中盤、後半にかけて力強い演奏へ向かう構成。譜面を

          ヒラリー・ハーンのヴァイオリンでブラームスを聴いてきました

          東京都美術館の企画展「デ・キリコ展」について

          長生きするコツってあるのかなー? * 東京上野の東京都美術館の企画展「デ・キリコ展」へ行ってきました。 ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)はイタリア人両親の元ギリシャで生まれ、17歳で父が亡くなったのを機にギリシャを離れ、ミュンヘンの美術学校へ進学、 1910年頃から遠近法をゆがめてみたり、幻想的な絵画を描き「形而上絵画」といわれるようになり、1919年以降は古典へ回帰したり、新形而上絵画という新たな作風を模索したり、独自の路線を歩みます。 一時期シュルレ

          東京都美術館の企画展「デ・キリコ展」について

          N響定期公演「ブルックナー 交響曲 第7番」を聴いてきました

          少し前の話となりますが「N響定期」を聴いてきました。 公演:第2008回 N響定期公演 Cプログラム 日時:2024年4月19日(金)19時半 場所:NHKホール 指揮:クリストフ・エッシェンバッハ 演奏:NHK交響楽団 曲目:ブルックナー(1824-1896)作曲    交響曲第7番 ホ長調    (ブルックナー59才の作品) ブルックナーは12才で父を亡くし、それからは修道院で寄宿舎生活しながら協会で音楽を学び、教師を経て音楽家となりますが、作曲した交響曲が演奏される

          N響定期公演「ブルックナー 交響曲 第7番」を聴いてきました

          日比谷公園の花壇と山種美術館の西洋画

          「ムーヴマン」って誰? 私のようにたくさん歩く人のこと? * 2024年5月1日(水)、最初に「日比谷公園で花を見て」次に「山種美術館で絵を見る」という計画で出かけたら、 あいにくの雨。 それでも、地下鉄を竹橋駅で降り、皇居周辺を傘をさしながら歩いて、 日比谷公園では「Playground Becomes Dark Slowly」(花と光のムーブメント)というアートイベントが行われていました。 アートイベントは、 という「光と花のムーブメント」でした。天気が良

          日比谷公園の花壇と山種美術館の西洋画

          日本画家「池上秀畝・菱田春草」と「上村松園」について

          先日、練馬区美術館と日本橋高島屋S.C.で日本画を見てきました。 練馬区美術館は「生誕150年 池上秀畝 高精細画人」展、日本橋高島屋S.C.は「文化勲章 三代の系譜 上村松園・松篁・淳之」展です。 練馬区美術館は長野県出身の日本画家2人を比較した内容で、 メインは池上秀畝 (1874-1944) 、昔ながらに絵師へ付いて絵を習った「旧派」、風景や花鳥の絵が細かくてリアル。例えば秀畝が描いた「オーストラリア大使館の杉戸絵(広い部屋を仕切るための戸に描かれた絵)」の画像が

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          サントリーホール、トリフォノフのピアノ・リサイタル

          2024年4月11日(木)19時、 東京・サントリーホールでダニール・トリフォノフ ピアノ・リサイタルを聴いてきました。 プログラム前半は、ラモーの曲からはじまり、モーツァルトの「ピアノ・ソナタ第12番K.332」 、メンデルスゾーンの「厳格なる変奏曲作品54」、後半は、ベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ第29番作品106ハンマークラヴィーア」というように、バロックから古典派、ロマン派へと時代を追った内容、 アンコールはジャズのスタンダード、スクリャービンのピアノ・ソナタ

          サントリーホール、トリフォノフのピアノ・リサイタル

          国立新美術館の企画展「マティス 自由なフォルム」について

          先日、六本木の国立新美術館で、企画展「マティス 自由なフォルム」を見てきました。 けれど、私にはあの強烈な色使いが理解できなくて、マティスは苦手です。 「助けてー、アン、パン、マーン!」 * アンリ・マティス(1869-1954)はフランス生まれ、20才の頃虫垂炎療養中に母親から絵具箱を贈られ絵を描き始め、絵に目覚め、画家を志してパリへ行き、そのままパリで活動します。 マティスの作風は光重視、色彩は伝統的な陰影よりもボリューム感を表現し、さらには、単純化も追求、フォ

          国立新美術館の企画展「マティス 自由なフォルム」について

          国立西洋美術館の企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」について

          つい最近、上野の国立西洋美術館へ行き、企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」を見てきました。 国立西洋美術館としては、開館以来、初の現代美術展となります。 * これまで国立西洋美術館は20世紀前半までの西洋の美術品を扱ってきたそうで、 それは、開館当初、先人たちが、これからのアーティストへ刺激を与えるため、「ヨーロッパの油絵の本物を集めて」、「日本に送って見せてやろう」、という想いを持っていたから。 しかし、時がたち、国立西洋美術館は「過

          国立西洋美術館の企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」について