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N響の現代音楽「MUSIC TOMORROW 2024」を聴いてきました

ウクライナの画家マレーヴィチ(1879-1935)が1916年に描いたこの絵「シュプレマティスト コンポジション」という作品が2018年にオークションで落札されたそうです。

おいくらだと思います?

先日、東京オペラシティコンサートホールでN響のコンサート「MUSIC TOMORROW 2024」を聴いてきました。

「MUSIC TOMORROW」は「演奏と創作」の「創作」側に焦点をあて、演奏機会の少ない同時代作品(つまり、近年作曲された現代音楽)を演奏しオーケストラの音楽を明日へつなげたい、という目的でN響が毎年一回行っているコンサート。

いつもの演奏会とは開演前からなにやら違う雰囲気です。

というのも、通常のクラシック音楽のコンサートであれば楽団の面々がステージへ登場するのは演奏が始まる直前ですが、この日はほぼ全員が開演時間の5分以上前にステージ上へ揃い個々に練習しています。

これは、この日のプログラム全4曲中3曲が「日本初演」で、残る一曲も都響が初演し今回が再演、つまり、N響にとっては4曲とも初めて演奏する曲で、となれば直前まで少しでも予習していい演奏を観客へ届けたい、そういうことだと思います。

開演5分前になってもステージ上で個々に練習している状況なので、いつもの観客へのアナウンス「本日はご来場いただきまして誠にありがとうございます。開演に先立ちまして・・・」というアナウンスがほとんど聞き取れません。

それくらい練習に余念がなく大音量でした。

ステージ上で、こんなににぎやかに練習している様子は私にとって初めての経験で「N響の皆様、ギリギリまで練習していて大丈夫?」などと、余計な心配をしながら開演を待つのでした。

さてさて、そんな私の心配をよそに指揮者がやや早足で登場し間もなく演奏が始まります。

やはり、心配など無用です。
N響の皆様、完璧です。最高でした。

プログラムの1曲目は「マレーヴィチを読む」という曲、作曲したエトヴェシュ(1944-2024)はハンガリー出身、1970年頃から来日を繰り返していた親日家、この曲の初演は2018年、マレーヴィチの絵画を元にしたオーケストラ作品です。

オーケストラ全体で地響きのような低音から上昇するところが印象的で、大太鼓やドラの音も含めて大迫力です。

これが元となった「シュプレマティズム (Suprematism) No.56」という絵。

この絵を見る視線の動きをそのまま「茶色の矩形」、「赤色の矩形の前にある青ざめた黄色の影」、「赤い矩形」というように忠実に音符へ変換されているそうです。

N響の「Music Tomorrow 2024」サイトにも似たような絵が使われています。


2曲目は反対に、静かに落ち着いて音階が下降をたどり、奥様を亡くした悲しみや愛おしさに満ちた「哀歌(エレジィ)―for my wife,Reiko―」という曲。日本人作曲家の作品で「尾高賞」受賞曲。

休憩後の3曲目はハープを前後左右に振り乱しながら派手な演奏を繰り広げた「ハープ協奏曲」。

4曲目はピアノにより、突然半音階早弾き、突然停止、高音、低音、高音、低音みたいな現代音楽奏法たっぷりの「嵐の目―ピアノとオーケストラのための幻想即興曲」。

そして、ソリストアンコールがドビュッシーの前奏曲集第2集より「花火」でした。

4曲目とアンコールを弾いた1969年生まれのフランス人ピアニスト、フランソワ・フレデリック・ギイが素晴らしかった。

今回のコンサートで演奏した曲の動画は見あたりませんがショパンの「革命のエチュード」op.10-no.12を弾く動画があったのでリンクします。17秒ほど聴いていただくと良さがわかっていただけるかと思います。(一曲聴くと約3分)



この絵に話しを戻しますと、

この絵は2018年に約8580万ドルで落札されたそうです。その頃は1ドル110円前後だったので日本円で94億3千8百万円也。



ポスターなら2,999円也。
(勧めていませんよ、値段を見てほしいのみ)


読んでいただき、ありがとうございます。


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