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『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』を読んで。

ドイツ在住ジャーナリスト高松平蔵さんの著書を昨年から頻繁に読んでいる。著者の住むエアランゲン市を中心としてドイツにおけるまちづくりのあり方をいろんな切り口で紹介している。

今回紹介するのもその1つだ。僕は新しいものから読み始め、徐々に遡る形で読んでいる関係上内容が重複する部分もあるがそれは理解を深めることになっているし、そもそもドイツのまちづくりのあり方が「なぜ」だったり「どのような社会を作るか?」「そのためにどんなまちに育てる必要があるか?」といった問題意識と目的意識を強く持っていることに大変共感している。

では、ドイツに住めばと言う人もいるかもしれないが、僕はこうした議論や物事の考え方を日本でもしっかり取り入れれば、日本なりに良いまちが作れると考える。そのためにドイツの事例を学ぶことは重要だ。何よりこうした事例を学ぶのは楽しい。そんな僕目線の感想ではあるが誰かの参考になれば嬉しい。


「社会」とは?「都市」とは?

冒頭から引用をする。

「社会」とは何かを論じ始めると複雑になるが、一言でいえば、ドイツの都市における社会とは。人のコミュニケーションや情報の流通の総体ということになるだろう。しかしそれらは自然発生的なものではなく、都市の中にそのための仕掛けや仕組みがある。特徴的なものを挙げれば、教会や「フェライン」(非営利法人)などがそうだ。地方紙が主流であるのも、都市の中の社会のために必要であるからと見たほうがわかりやすい。
 そもそも都市は人工空間であって。人が住んでいける人工空間を作っていくには、建物だけでなく、人間の関係性。つまり社会をどうつくっていくか?という視点も必要になってくる。そしてドイツの人々は自分たちが人工空間に住んでいることを強く意識していて、これが日独の比較をしたときに個人と社会の関わり方の違いを生む要因の一つになっているように思う。(P.9~10)

社会を考えるときの出発点としてこの考え方は重要だ。自身がまち(都市)の構成員であることを強く自覚することが前提となっている。そのため、住んでいるまちに対して自分ごととして捉え行動する。結果として、それが街の個性や(最近はあまり聞かれなくなったが)シビックプライドというか街への愛着になると考える。


自分ごとであるからこそ

街の景観について考える。

例えば、エアランゲン市に限ったことではないが、旧市街における景観の維持はヨーロッパではおなじみだ。古い建物残した上で、上手にリフォームしてマクドナルドのようなチェーン店も外観だけでなく看板も街の雰囲気に合わせ、街並みの維持に貢献する。

建て替えが必要な場合でも、その際に外観は旧市街の街並みに沿う形で外装を施すという。高さも見た目もまちまちだったり、近代建築の間に伝統的な建物が残っていても興醒めしてしまうことを理解しているからだ。日本でも建て替えは無理でも保存地域にある建物の外装を揃え、電柱を地下化するだけでも随分と変わるのではなかろうか?


職住近接

これはたびたび触れられていることであるが、住んでいる地域と働いている地域が近いもしくは一緒であることが多い。つまり、通勤時間も少なく余暇に当てる時間も増えることとなる。加えて、ベッドタウンでなく住んでいる街で暮らしているので自分の住むまちへコミットしたり愛着が増すことになる。これも自分の住むまちに対してドイツの人が自分ごとと捉え行動する大きな要因だと考える。


自治体の最適規模

NHKののど自慢番組で地方を回る際に10万人以下だと村祭り的になり、都市の規模が大きすぎると一体感が出にくいという。その意味では10万人程度がちょうどいいのではないか?と著者は言う(P.81)。

エアランゲン市もちょうど10万人規模で文化フェスティバルの際には街にのぼりやポスターが整えられるだけで随分と雰囲気が出るそうだ。

日本ではどうだろう?10万人規模の町は多々あるが、地形的特徴や日本の場合は町が連続していることで行政区域の分かれ目が付きにくことなどもあり、同じようには行きづらいのではなかろうか?ただ、10万人規模で職住近接と、文化をはじめとする街の雰囲気づくりを実践している国が実際にあるので前述の外観を整えることへの提案など、日本の現状でもできることはあるのではなかろうか?


いかに愛着を持つ人を増やして行くか?

ドイツの良いところをたくさん書いているが、なぜってそこから学び、自分の住むまちが魅力的になればと強く願っているからだ。文化が生活に欠かせない。芸術への理解や投資、はたまたスポーツ振興、海山の利活用。地域資源の発掘とそのPRを繰り返し繰り返し行うことで新たな発見もある。また、繰り返すことで愛着も生まれるし、新たに流入してきた人からすれば繰り返し発信することが出合いになることもある。


どうやって生活の質を高めていくか?

そのためには自身の住むまちがどんな特色を持っており、何が強みでそしてどんなまちに住みたいか?そうしたビジョンをきちんと持つ市民が増える必要があるように思う。「こうだったら素敵だな、こんなまちに住みたいな。」健全な議論が行われることで住みやすい、住んでみたいまちは作れると考える。


勝手ながら、著書から今回もたくさんの内容をヒントにしたり引用させていただきました。高松平蔵さんありがとうございます。


参考


【今後の予定】
5/22(土)Lemonade TRAIL RUN~逗子の裏山トレイルと限定公開まんだら堂やぐら群を楽しもう~
5/23(日)トレラン保護者向けテーピング講習会

6/13(日)ジュニアトレイルランニングスクール〜逗子のローカルトレイルを走ろう〜
9/26(日)第6回NAGANO Jr TRAILRUN in 富士見高原
10/17(日)第13回TOKYO Jr TRAILRUN兼-U15ジュニアトレイルランチャンピオンシップ

11/7(日)逗子トレイル駅伝2021兼U-12ジュニアトレイルランチャンピオンシップ

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2017-04-28 18.07.02 のコピー


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