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対面コミュニケーションの意義

前回までの投稿では、ある企業様での動画を活用したコミュニケーション施策をテーマにしました。動画の効果・利点のひとつとして、「テキストに比べて多くの情報が効率よく伝わること」を挙げました。

前々回の投稿では、メラビアンの法則について取り上げましたが、
https://note.com/fujimotomasao/n/n4b731d71f18e
改めてグロービス経営大学院のサイトを参照してみます(以下引用)。

~~メラビアンの法則とは、1971年にカリフォルニア大学の心理学者アルバート・メラビアン(1939‐)が提唱した概念であり、「コミュニケーションの際に人はどのような情報に基づいて印象を判断するのか」について実験した結果をまとめたもの。

一般的にポジティブと受け取られるような内容の話をしながらも、顔の表情は険しく声のトーンも厳しいといった言語情報と非言語情報が矛盾する場合、情報の受け手は言語情報を7%、話し方などの非言語情報を38%、見た目や表情などの非言語情報を55%という割合で参考にしており、非言語情報がコミュニケーションにおいて大切であると結論づけた。

この法則から、コミュニケーションの際、相手にこちらの意図を正しく理解してもらうには、視覚情報(表情、姿勢、リアクションなど)や聴覚情報(声のトーンや抑揚など)を言語情報と一致させることが重要であると言える。

これらを踏まえると、視覚情報が利用できる対面やTV会議室システムを使ったコミュニケーションと異なり、電話での場合は特に留意する点がある。電話の場合、視覚情報は提供できないが、相手は聴覚情報から視覚情報を想起するため、言語情報7%、聴覚情報93%という割合となり、耳から入る情報の重要さが増すと言われている。例えば、電話営業の場合、話し手が良い商品を適切な値段で提案しているにも関わらず、話し手の言葉遣いが少し粗雑なだけで、受け手は話し手に対して行儀の悪い態度で電話しているというイメージを持ってしまい、購入意欲を大きく低下させてしまう場合がある。

このようにメラビアンの法則では、言語情報と非言語情報に矛盾が含まれる場合を前提としており、言語情報と非言語情報を整合させることが重要だということである。しかし、「言語より非言語情報が大切」という部分だけが独り歩きし、プレゼンテーションに関する書籍等において、「第一印象は見た目で決まる」、「何よりも見た目が一番大切」など、非言語情報だけに注力せよという誤解された解釈で引用されていることも多い。~~

上記の視点を踏まえると、次のように考えられます。「不適切な捉え方の例」などに陥らないように、注意する必要があると言えるでしょう。

<適切な捉え方の例>
・「とてもうれしい」と言ってはいるが、表情もうれしそうに見えないし、声のトーンも弾んでいない。本当はたいして喜んでいないことが疑われる。
・これから謝罪会見に臨む。お詫びしたい自分の気持ちと考えを十分に伝えきりたい。真っ赤なスーツという視覚情報ではこの会見での自分の話という言語情報と一致しないので、服選びを慎重にする必要がある。

<不適切な捉え方の例>
・採用は第一印象がすべて。視覚情報・聴覚情報さえクリアすれば、話の内容という言語情報は多少ぎこちなくても相手は大して覚えていないもの。集中すべきは姿勢や態度、受け答え方。
・今日のプレゼンテーションではとにかくインパクトだけ与えてくればよい。なんだかんだで、声が大きいかどうかが、講師にとって最大の評価ポイント。

また、各コミュニケーションについて以下のように整理できそうです。
・テキストによる伝達:文字の一方通行
・電話:音声の双方向
・動画による伝達:画像+音声の一方通行
・TV会議システム:画像+音声の双方向

この観点からも、TV会議システムによるやり取りが、最も多くの情報量を相互にやり取りできると言えそうです。さらに、情報量でそのTV会議システムを超えるのが、対面でのコミュニケーションです。

対面では、画面以上に相手の動きや声、発言内容(視覚情報、聴覚情報、言語情報)が鮮明に受け取れます。画面越しでは気が付かない相手の動作や細かい表情の変化も気が付くことでしょう。そのことによって、前々回の投稿で取り上げたミラーニューロン細胞の働き活性化などを通して、感情でつながりやすいという結果も伴うことでしょう。

また、対面でのコミュニケーションを通して、相手に対する理解を深めておけば、電話(音声情報のみ)やメール(文字情報のみ)で受け取ったメッセージに対しても「この表現は、あの人がああいう人だということからきていて・・・」と、不必要な誤解を避けられることにもつながるでしょう。つまりは、対面でのコミュニケーションを行うことは、その対面の場自体と、それ以降の非対面の場との両方で、情報量の多い有意義なやり取りができる可能性を広げることにつながると言えそうです。

「対面に勝るコミュニケーションはない」とよく言われますが、そのように言われる所以について、上記はひとつの切り口と考えることができると思います。ご参考になれば幸いです。

<まとめ>
対面でのコミュニケーションは、送受信できる情報量トータルの観点でやはり優位性がある。

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