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動画を活用したコミュニケーション

先日、ある企業様にて動画を活用したコミュニケーション施策が話題になりました。役員の発案によるもので、社員が動画を活用した自己紹介をしてはどうかというアイデアです。

背景として挙げられるのが、やはりテレワーク化が進むことによるコミュニケーション不足に関する問題認識です。「社員の顔が見えない。」「お互いの様子がわからない。」という声が上がっていて、もっと社員の顔が見えるしかけを作ってはどうかということのようです。

例えば、趣味や今はまっていることなど、何でもいいので一人につき2-3分程度など時間を決めてプレゼンする。そして、プレゼンした社員は次の社員を指名してバトンをつないでいく。このようなイメージです。

とてもよいアイデアだと思いますし、それを実行することによる事業リスクも特にありませんので、試してみるとよい取り組みだと言えるでしょう。ここでは、動画を活用したコミュニケーションの効果や利点について考えてみたいと思います。下記の4点にまとめてみました。

(動画の利点としては、他にも拡散性が高いことなどが挙げられそうですが、今回は会社内でのコミュニケーション施策がテーマですので、このことは当てはまらないと考えて下記からは省いています。)

1.情報の受け手にとって楽(負担が少ない)

本を読むより動画を見る方が楽でとっつきやすい、という人がほとんどだと思います。テレビがその典型でしょう。体を後傾45度にして眺めていればよく、テレビを見るために努力が必要という人はいないでしょう。SNSも、動画の方が影響力が強いと指摘されます。文字媒体としてはツイッターも強力とされますが、文字数の制限があること(受け手に読む努力をあまりさせないようにする)がその源泉になっているでしょう。

仕事の合間に、あるいは仕事後に、任意で社員に興味をもって見てもらおうとするならば、やはりテキストより動画の方が閲覧のハードルが低いと言えます。

2.テキストに比べて多くの情報が効率よく伝わる

メラビアンの法則というものがあります。心理学者アルバート・メラビアンが提唱した概念です。「コミュニケーションの際に人はどのような情報に基づいて印象を判断するのか」について実験した結果をまとめたもので、グロービス経営大学院のサイトでは次のように説明されています(以下引用)。

~~一般的にポジティブと受け取られるような内容の話をしながらも、顔の表情は険しく声のトーンも厳しいといった言語情報と非言語情報が矛盾する場合、情報の受け手は言語情報を7%、話し方などの非言語情報を38%、見た目や表情などの非言語情報を55%という割合で参考にしており、非言語情報がコミュニケーションにおいて大切であると結論づけた。

この法則から、コミュニケーションの際、相手にこちらの意図を正しく理解してもらうには、視覚情報(表情、姿勢、リアクションなど)や聴覚情報(声のトーンや抑揚など)を言語情報と一致させることが重要であると言える。~~

動画=画像+音声です。上記に出てきた要素のうち、「話し方などの非言語情報」「見た目や表情などの非言語情報」を網羅しています(それでも、対面に比べると汲み取りにくい要素はありますが)。本人が言っていること=言語情報に、非言語情報が加わることで、本人の発信内容に真実味が増しますし、メッセージとして強化されると言えます。

テキストだけの場合は、上記7%とされている要素が情報源のすべてになるということです。やはり、動画の方が伝達性において有意であると言えるでしょう。

3.感情でつながりやすい

動画は、感情でつながりやすい側面が指摘されています。
ムービータイムズのサイトでは、次のように説明されています(以下引用)。

~~”モノマネ細胞”とも呼ばれるミラーニューロンという細胞により、人は他人の行動をあたかも自分の行動のように認識し、その行動に伴う感情を自分の脳内でシミュレーションすることができます。笑顔の人を見ると、自然と笑みがこぼれてしまうのも、この細胞の働きによるものです。

この脳の性質を利用し、動画を介して視聴者とブランドの間に感情的なつながりを生み出すことができます。この感情的なつながりは、文字や画像にはない信頼感や説得力をもたらします。~~

うちには1歳の次男がおりますが、小さい子供には上記のことがまさに当てはまると感じます。こちらが笑うと笑いますし、親の行動を見てそのまま真似ようとします。言語情報のやり取りである会話は成立していませんが、それでもある種のコミュニケーションが成立していると言えるでしょう。成立する理由は、動画情報による感情のつながりと説明することができそうです。

星野源さんが作った「うちで踊ろう」の楽曲がコラボ動画として話題になったのも、動画に感情でつながりやすいという要素があるからと考えられます。

4.テキストより記憶に残りやすい

動画は、記憶定着率の高さが指摘できるようです。

アメリカ国立訓練研究所が提唱する「ラーニングピラミッド」を参照すると、文字を読むことによる記憶定着率は10%である一方、動画を視聴者した場合では20%になるそうです。つまりは、画像+音声という視覚+聴覚を通して情報を受け取る動画は、文字という視覚情報のみよりも2倍記憶に残りやすいというわけです(ムービータイムズのサイト参照)。

閲覧のハードルが低く、多くの情報が効率よく伝わり、感情でつながりやすく、記憶に残りやすい。改めて、動画はコミュニケーション上の強力な武器であると整理できます。

続きは、次回以降の投稿で取り上げてみます。

<まとめ>
コミュニケーションの機能において、動画はテキストより優位な点が多い。


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