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得手・不得手の認識

先日ある経営者様から、障がい者雇用に関する大変示唆的なお話をお聞きしました。
そのお話とは、以下の言葉です。出所は明確でないのですが、株式会社スワン(スワンベーカリーなどを展開し、障がい者雇用の場をつくり、自立と社会参加を応援する)の経営メンバーの言葉ではないかとのことです。

・障がい者と健常者の唯一の違いは、障がいが表に出ているかどうかである。
・「障がい者が真心こめて作ったから」は通用しない。

私たちは、それぞれ何らかの不得手やできないことをもっているものです。上記は、障がい者と言われているはその人の不得手やできないことが形となって表に出ている、健常者と言われている人は隠れて出てきていないだけで同じように何らかの不得手やできないことを抱えている、という視点です。

以前の投稿でも時々取り上げた「ストレングスファインダー(ギャラップ社)」は、34の資質を手掛かりに個人の強み・弱みを発見し、能力開発やチームビルディングに活かすものです。私の場合、下位5つは(30. 回復志向、31. 慎重さ、32. 調和性、33. 指令性、34. 公平性)となっています。ギャラップ社のレポートでは、「公平性」について次のように説明されています。

「公平性の資質が高い人は、あらゆる人を平等に扱う必要性を確信しています。明確なルールを定め、それに従うことで、世界のすべての人を公平に扱おうとします。」

確かに、この内容について私は不得手な自覚があり、順位が最下位ということもうなずけます。普段の仕事や私生活で、この内容を発揮しながら行動できている感じがまるでありません。例えば、公平性資質に欠けているという特徴も、私にとっての障がいと言えることができるかもしれません。そして、このことは普段は表に現れてこないわけです。公平性資質が高い人が難なくとれるであろう態度や行動が、私はおそらく取りにくいでしょう。

上記はひとつの切り口ですが、様々な切り口から私たちの不得手、できないこと、弱点を導き出すヒントを得られるでしょう。そう考えると、「障がい者」「健常者」という区分のしかたも、適切なのかどうか何とも言えないところです。

他方で、私にとっての上位資質となる特徴も持ち合わせています。私の上位資質やこれまでに吸収した知識・経験の特徴を、私の行動や担当業務で発揮すれば、不得手を補えるという視点です。このことは、障がい者にも健常者にも当てはまるでしょう。

「障がい者が真心こめて作ったからその商品を買う」という視点は、2つの点で矛盾しているという示唆です。ひとつは、健常者も真心こめて作っているわけだから、障がい者だけから買う理由にはならないということです。もうひとつは、その姿勢が無意識のうちに障がい者を見下ろすことにつながってしまうということです。あくまでも、「その商品がおいしいから買う」が理由になるべきだという視点です。ビジネスとして長続きするために必要な考え方ということで、大変示唆的です。

・得手・不得手は誰の中にも存在する。
・得手を生かして他者やチームに貢献できれば、人それぞれの活躍の場がある。
・各人にとっての得手・不得手が何なのかを、認識することが大切である。

これらの視点は、広く組織マネジメント・人材マネジメントに応用できる考え方であろうと思います。

<まとめ>
表に出ているかどうかの違いはあるが、得手・不得手は誰の中にも存在する。

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