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東北・北海道

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2021年8月の記事一覧

石狩河口、縄文人も缶詰工場も鮭が支え

石狩河口、縄文人も缶詰工場も鮭が支え

 札幌市の南西にそびえる藻岩山(531メートル)頂上から眺めると、間近に日本海が広がり、札幌は日本海側の都市なのだとわかる。大雪山系石狩岳を発してうねうねと蛇行して海に注ぐ石狩川(268キロ)がつくりあげた平野なのだ。北海道の中核部をつくりあげた大河の河口は見ておくことにした。

成長する砂嘴

 石狩川の河口に立つ赤と白のツートンカラーの石狩灯台は、1892(明治25年)に完成した。当時は木造六

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小樽と北前船と戦後日本の盛衰

小樽と北前船と戦後日本の盛衰

北海道最古の鉄路

 函館本線の小樽駅に降りると、坂のずっと下に海がのぞいている。海に向かってちょっと下ると、古い線路と交わった。
 北海道で最初の鉄道である官営幌内鉄道(手宮−札幌−幌内)の一部として1880年(明治13年)に開通した旧国鉄手宮線の跡だ(1985年廃止)。
 かつては内陸部の石炭が小樽から船に積まれて本州に移出された。札幌という新都に近い、北海道の玄関口だった。
 線路沿いの遊歩

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余市 ニシンとリンゴとウイスキー

余市 ニシンとリンゴとウイスキー

 NHKの連続テレビ小説の主人公「マッサン」こと竹鶴政孝はなぜ北海道の余市でニッカを創業したのか。余市の風土や歴史はマッサンにどんな影響を与えたのか。余市を訪ねてみると、かつて隆盛を極めたニシン漁や、会津藩士による開拓とのかかわりが見えてきた。

金肥のフードマイレージ

 私が4年間をすごした能登半島の輪島市ではかつて、イシル(魚醤)をつくる際に出たイワシのしぼり粕を道に干して肥料をつくり、農家

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十津川と新十津川

十津川と新十津川

山と谷しかない免租の村

   【役場周辺でさえも平地がわずかしかない】

 奈良県十津川村は、熊野古道・小辺路の取材で2015年に訪れた。
 全国一広い(672平方キロ)村だが、山と谷の連続で平地はわずかしかない。明治の大水害前の田の面積は235町(235ヘクタール)。ひとりが1年間で食べる量のコメがとれるのが1反(10アール)とされるから、当時の人口(1万2862人)の5分の1しかまかなえない

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大地のエネルギーを体感 有珠山麓の噴火跡

大地のエネルギーを体感 有珠山麓の噴火跡



 洞爺湖沿いの有珠山(737メートル)は約30年に1度、噴火をくり返している。
 2000年3月には、西山山麓に新たな火口がいくつも出現し、国道と町道を寸断した。新しい火口群を巡る散策路を歩いてみた。
 洞爺湖温泉から歩いても30分ほど。山麓の畑のなかを国道230号はゆるやかに下っていたが、噴火にともなう隆起で行く手がせり上がって国道部分が窪地になった。水がたまって沼が出現し、そのなかに道路標

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じゅうねんの冷や汁のレシピ

 記事を昨日載せましたが、レシピを忘れていました。
 ソーメンや冷やしうどんのたれにぴったりです。

▽材料(2人分)
・えごま 30グラム
・みそ 大さじ3(50グラム強)
・砂糖 大さじ1
・氷水 1カップ
・きゅうり小口切り 1/2本
・青じそ千切り 5枚

▽作り方
①エゴマに小石が混ざっていたら、水で洗うとエゴマは浮く。沈んだ石を取りのぞけばよい。フライパンにエゴマを入れて、ごく弱火にか

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福島名物「じゅうねんの冷や汁」の進化

福島名物「じゅうねんの冷や汁」の進化

 福島ではエゴマのことを「じゅうねん」と呼ぶ。栄養豊富で10年長生きするから、とも、種子を十年保存できるから、とも言われる。
 エゴマ油は最近話題になっているが、エゴマじたいは関西ではあまり見ることはない。関西はゴマが中心で、東北地方などの寒冷地でエゴマがつくられる。名前はエゴマだが、ゴマ科ではなくシソ科だ。
 福島の阿武隈山地は10年に一度は深刻な冷害に襲われてきた。天明の大飢饉では1783年に

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