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エフ=宝泉薫
2019年10月3日 10:22
最寄り駅から、歩いて5分ほどの距離にある、なみちゃんのマンション。前に来たときは、けっこう近く感じたのに、今日はすごく遠かった。最後のほうは、足がガクガク。前に来たときは、まだ30キロ台の後半だったから、今より、体力あったのかな。そういえば、なみちゃんも、私のこと、心配しながら、冷蔵庫や台所、自由に使って、って、言ってたっけ。過食のスイッチが入りそうな気がして、怖いけど、肉とか、
2019年10月5日 09:34
目が覚めると、まわりは見慣れない風景。あれ、ここ、どこだっけ。・・・・・・そっか、なみちゃんの家だ。昨日、上京する母と会うのがイヤで、逃げてきたんだっけ。時計を見ると、6時50分。なみちゃんは、7時過ぎに帰るって言ってたから、もうすぐだ。喉が渇いてたから、持参したペットボトルの水を飲み、ベッドをキレイに整える。そうだ、なみちゃんのために、スープでも作ってあげようかな。冷蔵庫を
2019年10月9日 21:41
「私、大嘘つきだよ!」悲鳴みたいに、なみちゃんが喋り始めた。「そりゃ、お母さんや妹さんの気持ちを考えたら、逃げっ放しはよくないんじゃないかな、って思ったのも、嘘じゃないけど。でも、帰ってほしい最大の理由は、もっと他にあるの。あのさ・・・冷蔵庫の中とか、見たよね?」思い当たるふしのある私が黙り込んでると、なみちゃんは構わずに、「私が食べそうにないもの、いっぱい入ってたでしょ。
2019年10月14日 08:45
「そのNちゃんって子、前も思ったけど、やっぱり、根が深そうだね」なみちゃんの異変について、ネットの友達がくれた返事。図書館のパソコンコーナーで、ドキドキしながら読んだ。「Nちゃんって、もともと少食で、すごくやせてたんでしょ。もしかして、それ自体、軽い拒食だったんじゃないかって、そんな気がするの。子供の頃から、家族の問題とか、いろいろストレスがあって、無意識に、自分を小さく、きゃ
2019年10月17日 19:15
そのまま後ろに、自分の意思とは関係なく運ばれ、足は着いたものの、バランスが保てない。フラフラと数歩、後ずさりして、電柱につかまり、やっとの思いで踏みとどまった。何、これ?そうか、風に、飛ばされたんだ・・・少しひねったみたいで、足首に激痛。それをかばいながら、足を前に出そうとするけど、立ってるのがやっとで、前に進めない。なんで、こんな向かい風なの。タクシーを、使おうか。
2019年10月24日 17:32
「これからすぐ行くから、詳しい場所、教えて!」Eクンの返信。この嵐の中、そこまでしてくれるなんて・・・でも、甘えちゃいけない。元・同級生で、相談相手とはいえ、妹の彼氏なんだから。電話をかけ、その気持ちを伝えると、「そんなこと、言ってる場合じゃないでしょ。とにかく、行くから!あ、そっち行ってから話すけど、恵梨ちゃんのことは気にしなくていいからね」正直、ホッとした。このまま、
2019年10月27日 07:29
タクシーに乗り込み、運転手に行き先を告げると、Eクンは、私が食べられるものを聞いてきた。母親に会うよりは、まだマシだから、何か食べようと思うけど、何を食べたらいいのか、わからない。「できるだけカロリーが少なくて、脂っこくなくて、ヘルシーな感じで・・・」「たとえば、商品名で言ってくれない?」「うん、わかった」いくつか、商品名を挙げてみたものの、正直、できれば何も食べたくない。イ