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はやくゆうれいになりたいゆうれいは花をたべると姉がいうから/ 永汐れい(東京歌壇 2021.10.24)
はやくゆうれいになりたいゆうれいは花をたべると姉がいうから
/ 永汐れい
ゆうれい。
初めて東京新聞の紙面(正確には、デジタル版だけど。)でこの一首を見たときは、びっくりした。
ゆうれいは、誰なのだろう。
文脈からいくと、姉はゆうれいの生態(おそらく死者だけど。)を知っているらしい。主体に「ゆうれいは花をたべるんだよ」と話して聞かせたのだろう。
では、何のために?
※
嘘をつくことは悪
連作「がたんごとん」
「ゆにここ」での石川美南さんの連作講座「ゆめみがち短歌教室」(2022.9〜12月)の課題として、連作をつくりました。
夏に訪問した「生きるための道具と詩歌 がたんごとん」さんでのことを、思い出しながら。
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『がたんごとん』 鈴木精良
記憶とはこぼれるしずく 海沿いの鉄路の窓は無邪気にひかる
のりかえのホームで待てどひとけなく時刻の谷にひらくこすもす
十七番塩谷ゆきぽ
塔 掲載歌(2022.10月号)
今月は、若葉集 永田淳さん選で鍵外に8首を掲載いただきました。
8首は自己最多…!うれしいです。
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わかりあえなさの確かな毎日に心臓のふりをしてる空洞
境い目のないそらからの水のあと くらい油に虹はひかって
はじめての言葉やしぐさ、生いたちは知らない国の童話のように
うれしくておなじ仕組みのあるからだ真夏の汗のつぶとめどなく
泣きそうな背中はわかる予報では午後からあめの鈍色