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「いい子でいないとサンタさんは来ない」というわりに、ヤダヤダ連発の娘の度胸!

#20231224-326

2023年12月24日(日)
 待ちに待ったクリスマス・イブ。
 ノコ(娘小4)は朝からそわそわしている。
 「ねぇ、ママママ、ママママ。今日寝て、明日の朝起きたらプレゼントがあるんだよね?」
 「そうだよ。今夜はあまり夜更かしすると、サンタさんが来られないからね」
 むーくん(夫)は明朝早朝勤務で3時半起床だ。ノコが寝入ってくれないと、こちらも差し障る。
 「私ねぇ、私ねぇ、今日はねぇ、いい子でいるんだぁ
 組んだ手を口許に添え、体をくねくねとさせながら、ノコが上目遣いで私を見た。
 「今日だけかい」
 思わず、笑ってしまう。

 宣言通り、ノコはさっさと歯磨きや洗顔を終えた。休日になると、先延ばししまくりなのに今日は手早い。
 「宿題もやっちゃうね! 今日は漢字と計算の宿題を進めるから」
 そういって、居間の一隅に据えたノコの勉強机に向かったが、そこは魔窟のあるじだ。冬休み前に持ち帰った教科書やら読みかけの本、学習塾のテキスト、鉛筆、鉛筆、シャーペン、ヘアピン、ボールペン…… 机上が見えない。
 まずは片付けだけで午前中が過ぎた。
 黙々と手を動かすのではない。
 歌いながら、飛び跳ねながら、気になるものがあればすぐ手は止まる。

 昼過ぎ、ようやく宿題開始。
 「ママママ、ママママ、計算問題さ、今日は3ページじゃなくて2ページでもいい?
 「あなたが立てた計画でしょ。2ページでもいいけど、その代わりに言葉調べの宿題を5つはやったら? そうしないと冬休み中に終わらなくなるよ」
 「・・・・・・わかった」
 しぶしぶとノコがうなずく。

 「ねぇ、ママママ、ママママ、やっぱりさぁ、2ページじゃなくて1ページでいい?
 「計画を立ててもね、やってみたら進み具合が思っていたのと違う場合はよくあるから、ママは変更してもいいと思うけど。どんどん減らしていったら、目標までに冬休みの宿題が終わらないよ。今日は一度変更したから、2ページは頑張ってみたら?」
 「私が決めた計画だよ。どういうふうにしたっていいじゃん」
 全身からヤダヤダをあふれさせながら、ノコが口を尖らせた。
 「じゃあ、ママにかなくてもいいじゃん。ママは2ページやったほうがいいと思います」
 「イヤです。やりたくありません。勝手に決めないでください」
 ぐらんぐらんと椅子の上で体を揺らし、ノコが私をめつけた。
 「ヤァーダ、ヤァーダ、もうやりたくない!」
 そして、ノコは重いため息をついた。

 ――いい子にしていないと、サンタクロースがプレゼントを持ってこないよ。
 私やむーくんがそういうよりもはるかに多く、ノコ自身がいう。
 ――いい子にしてないと、サンタさん、来ないんだよね?

 我が家に来る前からノコのなかにあった知識だ。
 乳児院や児童養護施設の職員からだけでなく、おそらく幼稚園や絵本、TVテレビなどで耳にしたのだろう。もしかしたら、通っていた幼稚園で駄々をこねている子どもに迎えにきた親がいったのかもしれない。
 午前中は確かに「いい子」モードだったのに、夕刻に向かってどんどん「ヤダヤダ」が出現してきた。
 サンタクロースは「いい子」のところにしかプレゼントを持ってこないと知っているはずだ。
 激しさを増すノコの「ヤダヤダ」があまりにも潔くて、笑ってしまう。
 いやぁ、この態度でサンタクロースがプレゼントを届けてくれると思っているのだろうか。

 まぁ、ノコが何をしようが――引っくり返ろうが、癇癪かんしゃくを起こそうが、怒鳴ろうが、わめこうが、我が家担当のサンタクロースは甘々なので、クリスマスツリーの下にプレゼントを置く。
 ノコは無理に「いい子」を装う必要なんてないのだが、それはノコの知らない物語。

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