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子どもって、親が笑っていると心底嬉しいんだな。

#20240224-362

2024年2月24日(土)
 「LIFEライフ! ~人生に捧げるコント~」というコントを中心にしたNHKのバラエティ番組がある。我が家では、放送がはじまった2012年から見逃したことがない。
 昨夜は録画しておいた最新作の「冬2」を家族3人で観た。

 内村光良うちむらてるよしが特撮ヒーローの初代に扮し、変身ベルトの返納にまつわるコントをはじめ、新作8本が夕餉の食卓に流れた。
 里子のノコ(娘小4)と一緒に暮らすようになってから、食事中にTVテレビをつけていない。ノコは食に関心が薄い――お菓子は別なのだが――こともあり、食事に集中できない。たいした量ではないのに、喋ったり、体を揺らしたり、歌ったり、放心したり、とにかく時間がかかり、そのうち食べることそのものに飽きてしまう。
 会話をしながら楽しく食事をしたいのに、なかなかできない。
 ノコは宿題を終えれば、TVを観ることができる。

 最近、たまにむーくん(夫)が夕食時にTVをつける。
 学年が上がるにつれ、ノコの就寝時刻が遅くなってきた。むーくんが仕事から帰り、ノコが寝るのを待ってTVを観るのでは、録画番組を消費できず、HDハードディスクの残量が少なくなってきてしまった。予約した番組が残量不足で録画できず、身もだえる日もある。
 「手が止まったら、消すからな」
 ノコにしてみれば、食事中にもTVを観られるなんて天国だ。
 「大丈夫、大丈夫」
 まったく当てにならないノコの「大丈夫」に私もむーくんも失笑してしまう。
 宿題は終えている。食べる手と口が止まれば、むーくんは容赦なくTVを消す。私相手と違って、ノコもむーくん相手だと諦めるのか癇癪かんしゃくを起こさない。

 昔懐かしいアニメ番組「一休さん」EDエンディングパロディだろうか。
 お寺の小僧さんが月に向かって母親と会話をする。アニメでは、一休が輝く星に母親の姿を重ねて語りかけるのだが、ここでは月になっており、さらに母親が本当に映っている。ビデオ通話ならぬ、月面通話だ。
 失敗を嘆く小僧である息子を母親が励ますのだが、通話が切れたと思ったのか、母親が画面の外にいる誰かと話しはじめる。どうやら男性のようだ。小僧は子どもが見てはならぬ展開に気付き、通話を切ろうと慌ててさまざまな動作をしてみるのだが切れない。そのうち、画面に男性――それが和尚なのだ!――が映りこんでしまい、小僧と目が合う。
 もう私はおかしくておかしくて、吹き出してしまいそうになった。
 ノコもケラケラと笑っていた。
 その後も笑ってしまうコントが続いた。

 一夜明けて、今朝。
 とうに朝食を終えた私が洗濯物を片付けていると、のんびりパンをかじっているノコがいった。
 「ねぇ、ママママ。昨日のLIFEのお坊さんの話。なんでママ笑ってたの?
 ノコだって声を上げて笑っていた。
 「ノコさんだって、笑ってたじゃない。おもしろかったんでしょ?」
 「だって、ブンッブンッとかやったり、うわあああとかいってたじゃん」
 どうやらノコがおもしろかったのは、小僧が月面通話を切ろうと慌てふためく大仰な仕草だったようだ。両手を振ったり、手を打ったり、思いつく限りのアクションをしていた。
 なぜ小僧が通話を切ろうとしたのかは理解できなかったようだ。
 「えーっと……」
 言葉に詰まってしまう。
 「小僧さんのお父さんはもう亡くなっているから、お母さんはほかの人と結婚してもいいんだけど、それはさ、お母さんとしてはきちんと小僧さんに説明したいと思うんだよね。
 『あのね、お話があります。お母さんは好きな人ができてこの人と結婚したいと思います。あなたに新しいお父さんができることになります』って。それなのに、あのままお月様電話が切れなかったら、わかっちゃうじゃない?
 子どもとして、それって慌てない?」
 ノコがわかったのか、わからないのか、にまっと笑った。
 「それじゃあ、あのウエディングドレスを決めるやつは? なんでお父さんは途中から『わかんないな』ばっかりいいだしちゃうの? それと変身ベルトの話は?」

 結局、放送された8本すべてのコントの説明を求められた
 笑っていてもノコは大げさな仕草や台詞のいいまわしに笑っているだけで、まだ内容を理解していないことがわかった。改めてコントは世の中の「よくあること」を拾い上げ、それをなぞったり、少しずらしたりしていることにおかしみがあると気付いた。
 人生経験が浅く、「よくあること」を知らないノコこどもには残念ながら伝わらない。
 それにしても、コントのおかしみをノコに通じる言葉で説明するのはなかなかしんどかった。
 そして、ママやパパがどの場面でどんなふうに笑っていたのか。
 子どもは実によく見て、覚えていることに驚いた。
 それだけ。
 親の笑顔は子どもにとって大きいのだろう。
 笑っているだけなのに、ふふふ、愛が重いわ。

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