マガジンのカバー画像

エッセイ

153
エレベーター・やさしい人(中島みゆきの歌によせて)・分身の術など あれこれ
運営しているクリエイター

2023年12月の記事一覧

さぁパリへ! #シロクマ文芸部

さぁパリへ! #シロクマ文芸部

振り返ると楽しい旅だった。初めてのパリでの日々は魅力に満ちていた。
そんな私の思い出、少し長いですが、読んでくださいませんか。(3000字)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

シャルルドゴ-ル空港からタクシーに乗った。行先のホテル名を告げると、運転手はちょっと首を傾げ、早口のフランス語で何か言いながら助手席にあったパリの市街図を調べ始めた。わたしがホテルの位置をさがしあてて

もっとみる
後ろ姿 #2023年のいっぽん

後ろ姿 #2023年のいっぽん

植物大好きな友達が「梅はね、後ろ姿がかわいいの、ガクがポンと丸くて。今度よく見て」とのこと。そういえば花の後ろ姿なんて気を付けて見たことなかったなぁ・・・と集めてみました。

なるほど、紅色に染まったガクが恥じらっているようで可愛い!

梅の蕾は
白い鈴
ちりんちりん
もうすぐ
春が始まるよ

さてこれは、ご存じソメイヨシノです。梅に比べるとガクがシャープ。

桜満開のころ
空は花に憧れて
花と同

もっとみる
ありがとう #シロクマ文芸部

ありがとう #シロクマ文芸部

「ありがとう」は感謝の言葉だが、必ずしも感謝を表しているわけではない。
ヘルパーをしていたころ、会社に電話がかかって来ると、受話器をとって
「お電話ありがとうございます。○○ケアセンターでございます」と言うように、と指示された。従ってはいたが、こちらの社名を言うだけでいいんじゃないか、と内心疑問を感じていた。この場合、申し訳ないが
「ありがとうございます」に感謝の気持ちが込められていたわけではない

もっとみる
夢のお話

夢のお話

夢をよく見る。朝方、起きる直前や、たまにちょっと昼寝をしたときに。
ほとんどは起きて身体を動かせば忘れてしまう。夢への心残りなど、そうはないからいいが。さまざまな記憶を、脳がどこをどう弄りまわすのか、とりとめがなく、辻褄が合わない夢も多い。鮮やかな色彩が広がった美しい風景の夢を見て、あの世界はどこかに本当に存在しているのではないかと思ったこともある。

こんな夢も見る。もうすぐ卒業するのに、これか

もっとみる
十二月 #シロクマ文芸部

十二月 #シロクマ文芸部

十二月、といえばクリスマス、これは優しいサンタさんに会えた物語です。

本物のクリスマスツリーが欲しい・・・そう願っていたわたしは、ある年、ひらめきました。家にはツリーがいっぱいあるじゃないか!と。
祖父母の暮らすはなれの前に、木を組んで作った棚があり、見事な盆栽が並んでいました。その中から、一つ借りればいい!一番良さそうな鉢をうんとこしょっと部屋まで運び、横に広がった枝を工作用のはさみでチョキチ

もっとみる