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何度も読み返したい素敵な文章の数々 vol.6

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書けないときほど部屋はきれいになり、溜まった録画が減る

書けないときほど部屋はきれいになり、溜まった録画が減る

お正月明けに手がけた文章は、思いのほか難産だった。年末から続いている仕事で、締切はもとから年明けに設定していたので遅れてはいない。でも設定した当初は「年末か、年明けすぐには仕上げて余裕を持とう」という目標だったのに、全然達成できないまま締切直前を迎えた。

難産のタイプにもいろいろある。今回は材料がそろっていてあとは書くだけなのに、書くまでの時間がかかってしまった。いわゆる「腰が重い」というやつだ

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「本音を引き出す」のにたぶん必要な1つのこと

「本音を引き出す」のにたぶん必要な1つのこと

フレーズを見て何となくできそうな気になることがある。「本音を引き出す」というのもそのうちの一つだ。普段は建前やお世辞で塗り固めている人にも必ず本音があって、「何か良い方法を使うとそれがたちまち引き出せる」という前提がうっすら存在している。

私はライターの仕事で初対面の人から話を聞く機会が多く、聞き方関連の電子書籍も出しているけれど、実は「本音を引き出せます」と謳ったことはない。なぜならそのフレー

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失敗の基準は自分にしか決められない

「丸ノコ使うのむずかしい」
「12000円の材料ムダにした」

昨日、仕事中に夫からのLINEが送られてきた。通知が来ていることだけは横目でチラリと確認していたのだけれど、スマホを見ている時間もなかった。

あとになって確認したら、どうやらテレビの棚を作るのに失敗したことを嘆いているようだった。

我が家では1000円くらいのローテーブルを、テレビを乗せる台として使っていた。脚は折りたたみ式で、強

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少年よ、おおいに悩め。

少年よ、おおいに悩め。

「こっちの五個入りのやつで、良くね?」

何やら、がやがやと騒がしい声が響いていた。月曜日の夕方、駅ビルにある本屋に立ち寄ってから帰宅しようとしたときのこと。

コージーコーナーの一角に、男の子たちが六、七人で集まってワーワーと議論している。「男子」というよりも、まさに「男の子」たち。小学五、六年生か中学一年くらいにしか見えない。中学二年だと、多分もうすこし、カッコつけたいんじゃないかと思う。髪型

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変化する当たり前

変化する当たり前

免許の更新はがきが届いた。ああ、もうそんな時期か、と思う。

有効期間は五年だった。五年前、長男は一歳になりたてで、次男は妊娠がわかる直前。都内から今の家に越してきたばかりで、警察署での講義を受けるため、夫に長男を見ていてもらっての更新だった。

あのとき、まだ赤ちゃんのようだった長男は、明日で六歳になる。そして、来月からは小学生だ。

あのとき、まだおなかに宿ったことすら気づかれていなかった

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