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書けないときほど部屋はきれいになり、溜まった録画が減る

お正月明けに手がけた文章は、思いのほか難産だった。年末から続いている仕事で、締切はもとから年明けに設定していたので遅れてはいない。でも設定した当初は「年末か、年明けすぐには仕上げて余裕を持とう」という目標だったのに、全然達成できないまま締切直前を迎えた。

難産のタイプにもいろいろある。今回は材料がそろっていてあとは書くだけなのに、書くまでの時間がかかってしまった。いわゆる「腰が重い」というやつだ。

テスト前に掃除をしたくなるのと同じで、腰が上がらない間に部屋の床がいつもよりキレイになり、アクロンで数枚のセーターを洗い、撮り溜めた録画は片っ端から再生し、大河ドラマ『山河燃ゆ』の総集編は全3回をきっちり観た。ここまで来れば「滞った甲斐があった」といってもいいかもしれない。

ただ、この時点でテキストは1文字も書けていない。

私の場合、数千字の原稿なら早いときは取材したその日のうちにテープ起こしを終えて、大体の構成を頭の中で組み立てる。出だしはこの話にして、この話につないだあとに言いたいことを置いてみようとか、最後はこの締めにすればお客さんが伝えたい印象がうまく残るなとか、道筋のようなものができる。

道筋が見えたらしめたもので、その通りに文章を書いていけばいい。柱はちゃんとしているので、ロジックがうまくつながって破綻のない文章が出来上がる。細かい言い回しや語尾、語彙の選択は全部書き終えてから見直して、足りない部分や余計な部分を切ったり貼ったりする。

今回はこの「道筋」が浮かばずに苦労した。取材したときはたしかに見えていたはずなのに、年末年始に時間があると思って、油断して感覚が飛んでしまった。闇雲に書き出しても絶対形にならないことはわかっているので「道筋」がなければ手の着けようがない。

別のことをしていてもずっと「あの仕事がまだ」という意識がある。せっかく映画やドラマを観ても「そういえば構成は」と考えたりして、全力で楽しめていない自分が悔しい。予定通りいけば作業はとっくに終わっていて、すっきり清い体でこのドラマを楽しんでいるはずだったのに。

出すべきものがあるのに出てこないのはつらい。これ以上は引き延ばせない危険な時刻を過ぎて、何とか「道筋」をつかむことができた。馬鹿力の一種だと思う。さっき書き終わって、やっと本当の年が越せた気がする。

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