ホラー映画の効用

 暑いですね。こう暑いともとから僅少な気力がさらに少なくなる。一日中エアコンガンガンに効かせた部屋で毛布かぶって寝てたい。まあ暑くなくても大体同じ無気力マインドで生きているので、やっぱり今回も例の如くあまり書くことがない…というわけでもない。いや、嘘やっぱりそんなに書くことは多くない。だが今週末はいつもとは少し状況が違うのでそれを記しておく。

 家族が勝手に8/11~14まで旅行に行く計画を立てており、本来であれば週末は山奥の旅館の布団の上に寝ころびながらYoutubeを見ている筈だったのだが、僕は12日に労働という悪しき行為に勤しまなければならなかったため悲しくも家に置き去りにされ、この4日間は家に自分一人だけしかいないという状況が発生していた。その代わりいつも口うるさく喚く親という存在がいないので、まあわりと快適に過ごせたように思う。

 しかし普段は「時間があったら〇〇をしよう」ということを強く思っているのに、いざ実際にまとまった時間が出来てみるとなかなかその〇〇を実行に移せないものである。多分やりたいことが多すぎて何から優先順位をつければいいかわからなくなってしまっているのだろう。とりあえず人間的三大欲求の解消をするのに時間を浪費してしまい、結局やりたいことをやり切れないまま新しい週を迎えようとしている。

 今日やったことといえば、朝起きて朝食を食べ、昨日使用した食器を洗い、洗濯をし、昨日の洗濯物を畳み、部屋の掃除をし、ピアノを申し訳程度に弾き、栄養学に関する本を読んで健康に留意しようと心に決めた直後に日高屋へ行ってニラレバ炒め定食と半チャーハンを注文し、帰宅した後Netflixで『マリグナント』というホラー映画を鑑賞しU-NEXTで『花束みたいな恋をした』を途中まで観るという、一見いろいろやっているようで実際終盤に差し掛かってみると「他にもっとやることあっただろ」感が募ってくるような一日だった。

 そんなこんなで不完全燃焼のままな訳だが、疑似一人暮らし体験が出来たのはそれなりに楽しかった。それももうあと数時間で終わってしまうと思うと涙が出てくる。それに加えて月曜日が嫌だ、怖過ぎる。今日見た『マリグナント』より月曜日の方が怖いと言っても過言ではない。
 そもそも何故この『マリグナント』を観ようかと思ったかというと、背筋が寒くなるような作品を観て暑さを少しでも和らげたかったから……というのも少しはあるが、一番の理由はこういうホラー作品を観れば月曜日に対する憂鬱、陰鬱な感情を少しでも軽減できるのではないかと考えたからである。
 普段日曜日の黄昏時~夜にかけては死ぬほど憂鬱で沈鬱な気分になるので、ホラー映画内で無残に殺戮される人間を見て「まあこれよりはマシか…」と思ったり、「これに出てくるヤベー殺人鬼みたいな奴に襲われれば明日出勤しなくていいな…」とか考えたりして、自分の現実を無理矢理ホラー作品内で繰り広げられる凄惨な状況と比較し心の安寧を得るのである。労働に対するグレーな感情をホラームービーによって喚起されるブラックな気持ちで真っ黒に塗りつぶすのだ。いやもうそうまでしないと正常を保てないお前の精神状態の方がよっぽどホラーだろ

 ちなみに『マリグナント』はホラー要素のほかに謎解き要素とかミステリー要素もあってまあまあ面白かった。『ストレンジャー・シングス』のシーズン4も面白かったし2年前ぐらいに観た『透明人間』っていうスリラー映画も面白かったので、自分で自覚していなかったが僕は結構ホラー系作品が好きなのかもしれない。
 しかし家に一人しかいない時、夜に鏡を見たりトイレに行ったりするのはちゃんと怖い。もう来週あたりで26歳の男性になるけど、夜中トイレ行くときは普通に誰か家の中にいてほしいと思う。これが今流行りの「みじかわ(なんかみじめで可哀想なやつ)」状態ってやつである。

 ついでに書くとこの「みじかわ」の習性としては、よく転職について書かれた本を読んだり、転職サイトを閲覧したりすることが挙げられる。しかしその割には実際に行動をせず、今の職場で漫然と労働を続けることが多い。openworkという口コミサイトで自分が就職活動中落選した企業がボロクソに書かれていると目を輝かせて喜ぶという、かなり陰湿な側面を持つ生き物でもある。

 この「みじかわ」が主役となり、ブラック企業の幹部が次々と山手線の線路に生き埋めにされていくというあらすじのホラームービーが近日公開されるとかされないとかいう噂もある(ない)。


おわり


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