戦略プランナーが新入社員に教えること④:「考えること」は「課題を特定すること」
For youで執行役員CMOをしている筧(@kakehi_)です。2022年2月より、戦略プランナーとしてのnote記事を書くことがノルマになりましたので、がんばっていきたいと思います(この記事が4つめ)
簡単な経歴を紹介させていただきます。
広告業界は15年ほどの経験ですが、広告プランニングとは非常に幅が広く、それゆえに属人性が高くなっており、人に教えるのが難しい領域だと思っています。そして、センスというとよくないのですが、まさしくセンス的なものも感じるときはあります。
こちらのnoteではストラテジックプランニングと呼ばれる、コミュニケーション戦略立案の方法について書いていくのですが、センスではない部分について語っていきたいと思っています。
スタンスとしては、仮に「自分に新入社員がついたときに教えること」を言語化していきます。
ただし、マーケティングの基礎知識は、世の中にある名著を読んだほうが明らかによいので、そのような知識は本を読んでください。本に大事なことは全て書いてあるのに本を読まない人が多いのが広告業界であったりもします。読書大事です。
ですので、このnoteの連載のテーマは「マーケティングの教科書には載っていないスキルとスタンスの間くらいの大事なこと」です。
適当に書いていくとあとで困るので、いったん年間計画を立ててみました。下記の内容を書いていこうと思います。
第1回の記事はこちら「考えること」は「分けること」
第2回の記事はこちら「考えること」は「書くこと」
第3回の記事はこちら「考えること」は「知ること」
今回は第4回の記事になりますがテーマは
「考えること」は「課題を特定すること」です。
問題と課題の違い
問題と課題は混同されて使われることが多いため、ここをまず正しく認識しておく必要があります。下記が定義と例です。
もっとわかりやすい例えとして、ダイエットをテーマとすると、
となります。問題と課題の違いはわかりましたでしょうか。
課題を明確にすることが難しいですし、逆に課題まで明確にすることができれば、解決はだいぶ見えている気がしませんか?
そうです。だから課題を特定することが重要なのです。
課題とは何か
戦略における「課題」を明確にするために図解します。
横は時間軸で、まず左に今(現在)があり、右上に未来があります。
縦軸は売上や事業規模などと思ってもらえればよいです。
今と未来の間に「差分」があります。先ほどのダイエットの例えでいえば、15kgですね。
ではこの差分を埋めて未来の状態に立ちはだかる壁が「課題」です。
何を解決しなければいけないのかという事象です。
つまり差分である問題は「15kg体重を減らすこと」なのですが、
課題はそうではありません。
そして、この壁である課題を解決するのが、戦略や戦術になります。
では、この壁である「課題」をどう特定するのか。
一つのやり方として、下記のように分析することがあります。
デジタルマーケティング企業やコンサルティング企業はこのように分析することが多く、これも一つの方法だと思っています。
この方法もやり方として認識しておく必要がありますが、広告会社のストラテジックプランナーの目線に立つと、上記の方法だとインサイトの要素が炙り出されないため、ブランド戦略、広告戦略、PR戦略などに落ちにくいのです。
では、広告会社のストラテジックプランナーはどう課題を特定していくのか。
よい課題は複数の問題点を解決するもの
さて、私の好きな言葉なのですが、ゲームソフト「マリオ」の生みの親である任天堂の"宮本茂さん"の名言のひとつに、
という言葉があります。
全ての問題点を解決するためにあらゆる施策を打ちたいのですが、時間的もコスト的にも合わないのが常です。
ですので、一つの打ち手でいくつもの問題点を解決することが求められます。(そして私のような外部の会社にもそれが求められます。)
課題の特定には「因果関係を整理する」
下記は事例に出したダイエットについて、因果関係を思いつくままにつなげてみたものです。今回は本noteのためにざっと思いつくものをまとめていきましたが、実際には顧客インタビューを通じて、丁寧に洗い出していきます。コツとしては感情面も要素として入れ込んでいくことです。
整理したあとに、個別の様子につながっている矢印の数をカウントしていきます。
この矢印が多い要素が解決しなければいけない課題となります。
つまり
飲み会が多い(=飲み会を減らす、あるいは活法するにはどうしたらよいか):6個
運動が続かない(=運動を続かせるにはどうしたらよいか):7個
の2つが解決しなければいけない課題となります。
なぜ、この課題の特定方法をするのかというと、多くの要因と関係しており「ここを解決することで、施策の影響を最大化できるから」ですね。
宮本さんのいう「一つのアイデアで複数の問題を解決する」ことが実現できます。
最終的には、予算や実現可能性の視点で、解決できること、できないこともありますが、因果関係を整理し、ターゲットのインサイトも考慮すると、解決しなければいけない課題を特定することができます。
良き課題設定は、良きソリューションを生み出す
そして重要なのは、
「成約率を上げる」などの課題設定よりも、
「飲み会が多い(だから減らす)」などの課題設定のほうが、
アイデアや施策を考えることに直結しているのがわかるでしょうか。
良き課題設定ができれば、それでほぼ問題が解決していること、施策を考えやすいこと、意思決定しやすいことにつながります。
常に「解決しなければいけない課題は何なのか」に立ち返ろう
考えることが難しい理由として、何を考えなければいけないかわからない。ということが多いと思いますが、私はいつも、
「解決しなければいけない課題は何なのか」
に立ち返るようにしています。
アイデアだけで提案しても、ただの思いつきと思われてしまうことが多い方は、課題を特定することをまずは意識してみると、説得力が増すので、トライしてみるとよいかもしれません。
この記事では「考えること」は「課題を特定すること」について書きましたが、次は「考えること」は「両立すること」 について書きたいと思います。
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