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残念な部下が、あることをきっかけに、リーダーに頼られる右腕になった話

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

人材不足が深刻化しています。

コロナ禍の影響で、採用市場が「売り手市場」から「買い手市場」になったとはいえ、採用予算が思うように確保できず、今いる限られた人材で戦っていかなければならない状況にある企業は多いようです。

ただ、今の限られた人材でなんとかしようと思っても、「失敗を繰り返す」「飲み込みが悪い」といった、いわゆる【残念な部下】がいて、戦力にならない……。

そんな悩みを抱えるリーダーが考えるのは、今の「残念な人材」を「望ましい人材」に変えること。つまり、教育・育成するしかありません。

そのためには、教育・育成プログラムが必要です。しかも、できるだけ早く、確実に。そんな要望を叶える人材育成・学習メソッドとして、今注目を集めているメソッドがあるんです。

その名は、「スティッキー・ラーニング」

「スティッキー・ラーニング」は、【スポーツ科学】【心理学】【脳科学】から導き出した科学的な学習メソッドとして、2020年8月現在、プロ野球5球団、日本陸上競技連盟、金足農業高等学校硬式野球部、住友商事、高島屋、日本調剤、アイシン精機、西松建設……など、各スポーツ団体や企業が続々と導入、1万人以上が受講し、スポーツ界やビジネス界で注目を集めています。

このメソッドの特長をひと言で言うと、【絞って伝えて、反復させる】。もう少し具体的に言えば、

人間は忘れる生き物。だから……

「10伝えるべきことを特に重要なことを3つに絞って教える」


「その3つを、切り口を変えて3回反復させる」

「学び」を固定化し、行動変容につなげる。


このシンプルさと再現性、そして、圧倒的な実績が、注目されている主な理由です。

このたび、「スティッキー・ラーニング」提唱者・坂井伸一郎さんがこの最強学習メソッドの重要エッセンス&実践法を解説した新刊『残念な部下を戦力に変える方法』が刊行されます。

10月10日発売予定なので、発売前なのですが、同書の「はじめに」に収録されている「残念な部下が、あることをきっかけに、リーダーに頼られる右腕になった」エピソードを公式note限定で公開します。

 もう25年も前のことになります。
 当時、新宿タカシマヤのデパ地下で惣菜売場のサブマネージャーだった私は、「約100店舗450名の販売スタッフさんを、いかに高島屋クオリティで対面接客販売を行なう戦力にするか?」
 について日々試行錯誤をしていました。
 というのも、「やる気が感じられない」「仕事に意欲的でない」という販売スタッフさんがそれなりに多くいたのが実際だったからです。

(中略)

 当時の売場は、どこのテナントさんにも、とても積極的で真面目な販売スタッフさんを駆逐する勢いで、その負のエネルギーの引力が漂っているように感じられました。
 テナントさんへの訪問の際は「一瞬でも構わないから、いい空気にしよう」という一心で、できる限り明るい表情で前向きな言葉をかけるよう心掛けていました。

 ショーケースが美しく磨かれている、あるテナントさんでの出来事です。
 まさに販売スタッフさんがショーケースを磨いているところだったので、私は彼女を労(ねぎら)おうと近づいたのですが、それをさえぎるように、そのテナントのリーダーさんがこう話かけてきました。
「彼女、『ショーケースはいつもピカピカにしておいてね』という私からの指示に素直に従ってくれるんですが、仕上がりが遅い上に『ショーケースを磨く』ことに集中してしまって……。他のことに気が回らなくて、お客様の気配にも気づかないんです。毎度のようにお客様から声をかけられて、ハッと慌てた様子で『いらっしゃいませ』とは言うものの、お客様のほうはやれやれという顔をしていて……」

「『まわりに気を配ってね』って何度も言ってるのに、全然ダメなんです」と困った顔でリーダーさんが私に話しているそのときも、話題の彼女は私の存在に気づかずにせっせとショーケースを磨いていました。
「Aさん、いつもキレイに磨いてくれてありがとう。ここのショーケースは食料品フロアで一番のキレイさだよ」
 私がそう言うと、うつむき加減の照れたような顔で、小さく「ありがとうございます」と答えました。

 私は続けました。
「Aさん、五感を使って仕事をしてみると、さらに良くなるかもよ」
 すると、Aさんは顔を上げ、きょとんとした目で私を見つめました。
「視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、いろいろ使って仕事をしてみるって意味なんだけど」
 私はダスター(チリやホコリを取る道具。業務用の使い捨てふきんや雑巾)を手にし、ショーケースを拭きながらAさんに話します。
「手を動かしながら、耳を澄ませば店内のBGMが聞こえてきたり、お客様の話し声や、ほら、ヒールの音とか聞こえるでしょ。視線も、ケースじゃなくてまわりを見ながらこうやって拭くの。そのためには、ダスターを通して手のひらに伝わるショーケースの凹凸にも少し注意を払ったりすると良いね」
 感心した様子でうなずくAさんに、今言ったことをやってみるよう促すと、少し試して、「うん、うん」とうなずいてからこう言いました。
「あの、私、いつもまわりに気を使えなくて怒られてばっかりだったんです。これからこうすればいいんですね。でも……、味覚は使えなさそうですね」
 クスッと笑った彼女は、その後も仕事が遅いだのなんだのと散々リーダーを悩ませていたようですが、数年後にはリーダーに頼られる右腕になるという大変身を遂げたのでした。

いかがでしたか?

このAさん、まさに「残念な部下」の代名詞のような方だと思いませんか。実は、このエピソードの中には、すでに「スティッキー・ラーニング」のエッセンスが隠されているんです。

新刊『残念な部下を戦力にする方法』では、「スティッキー・ラーニング」の概要から実践法までわかりやすく解説しています。


『残念な部下を戦力する方法』目次はこちら

はじめに

第1章 「残念な部下」の正体
◎「残念な部下」って、誰が決めているのか?
◎自信をもって「デキる上司」と言い切れるか?
◎「残念な部下」は、絶対的なものではない
◎「残念」を生む、2種類の歪み
◎「残念な部下」に足りない力
◎理解力が乏しい部下が起こした残念なこと①
◎理解力が乏しい部下が起こした残念なこと②
◎理解力が乏しい部下に対する最適な対策法
◎「伝え方の工夫」の見本
◎その意識が部下の失敗を、さらに誘発している!?
◎「ないものねだり」をするより、「ないものを育てる」という発想

第2章 行動変容につながる学び方
◎コミュニケーションが成立しているか否かの基準
◎コミュニケーションの本質を忘れてはいけない
◎「学ぶ力」が弱いアスリート
◎急増する「頭を使って強くなる」研修
◎既存の知識と関連づけ、新しい知識として構築し、定着させる
◎学ぶ力が弱くても、大きく変容する――某球技の小学生アスリート研修の場合
◎学ぶ力が弱くても、大きく変容する――弊社の新入社員の場合①
◎学ぶ力が弱くても、大きく変容する――弊社の新入社員の場合②

第3章 学びを定着・持続させるメソッド「スティッキー・ラーニング」
◎「スティッキー・ラーニング」とは何か?
◎「スティッキー・ラーニング」のコンセプトと5つのエッセンス
◎大きく変化する学習のあり方
◎脳はどのように学んでいるか
◎記憶の仕組み
◎長期記憶に定着させる5つの経路
◎ネガティブな感情よりポジティブの感情のほうが記憶に残る
◎五感を刺激する――「スティッキー・ラーニング」を実践するための方法①
◎環境の影響力をナメてはいけない
◎視覚イメージを活用して教える――プレゼンする際の諸注意
◎既存の知識と結びつける――「スティッキー・ラーニング」を実践するための方法②
◎既存知識を関連づけるテクニック「先行オーガナイザー」
◎先行オーガナイザーの効果を決める「話すタイミング」
◎感情記憶を重視する――「スティッキー・ラーニング」を実践するための方法③
◎コア・メッセージを繰り返す――「スティッキー・ラーニング」を実践するための方法④
◎15分ルールを使いこなす――「スティッキー・ラーニング」を実践するための方法⑤
◎ちょっとしたムダ話こそ、部下の記憶に残る
◎理解度を推し量りながら、あえて実践させる
◎「残念な部下」の記憶に残すための8つの心がけ
◎「スティッキー・ラーニング」を使った紙上研修

第4章 部下のタイプ別「スティッキー・ラーニング」活用法
◎「スティッキー・ラーニング」を実践する
◎【タイプ①】社会常識に欠ける
◎【タイプ②】とにかく忘れてしまう
◎【タイプ③】悪知恵が働く
◎【タイプ④】やる気が感じられない
◎【タイプ⑤】こだわりが強すぎる
◎【タイプ⑥】とにかく否定的
◎【タイプ⑦】気が利かない
◎【タイプ⑧】失敗するキャラだと言い訳する
◎【タイプ⑨】優先順位のつけ方がおかしい
◎【タイプ⑩】コミュニケーションが下手
◎テレワーク時代の「スティッキー・ラーニング」
◎テレワークの環境だからこそ、「絞って伝えて、反復する」
◎テレワークでは、「視覚」と「聴覚」を完全に使い切る

第5章 「スティッキー・ラーニング」を使いこなすための日常トレーニング
◎五感を磨いて、部下の機微を捉える
◎「視覚」トレーニング
◎「聴覚」トレーニング
◎「嗅覚」トレーニング
◎「触覚」トレーニング
◎「味覚」トレーニング
◎瞑想トレーニング(マインドフルネス)
◎ふさわしい「たとえ」を探す――コミュニケーショントレーニング①
◎「言い換え」を探す――コミュニケーショントレーニング②

おわりに


「今いる人材でなんとかしたい」
「今いる人材のスキルや能力の底上げを図りたい」
「今、戦力になっていない従業員を教育して、少しでも戦力として活用したい」


と考えているリーダーに役立つ内容になっていますので、興味があればチェックしてみてくださいね。




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