見出し画像

【クラウドファンディング】失敗する目標金額、成功する目標金額

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

コロナ禍で一気に広まった感のあるクラウドファンディング(クラファン/CF)。先日のnoteでもクラファン関連の記事を書きました。

上記の記事でも触れたように、クラファンは、資金調達以外のメリットがあり、アイデアや夢を実現したい人にとって、とても魅力的な仕組みです。

「自分もクラファンでプロジェクトを立ち上げてみたい」と思った人がまずやるべきこと。

それは、企画書作成です。

NY在住で、日米のクラウドファンディングについて現場に入って研究、コンサルティングをしているクラウドファンディング研究の第一人者板越ジョージさんは、プロジェクトを成功させるための企画書づくりの重要ポイントとして、次の4つを挙げています。

【クラファン企画書作成の4つのポイント】
①タイトルの設定
②プロジェクト概要
③目標金額の設定
④リターンの設定

今回は、板越さんの著書『日本人のためのクラウドファンディング入門』の中から、4つのポイントの1つ「③目標金額の設定」についての解説を公開します。

失敗する「目標金額」、成功する「目標金額」

目標金額は高く設定しすぎてはいけません。一般的には「達成時報酬型」を利用するのが多いので、万一目標金額に到達しなかったら場合は1円ももらえないということになってしまいます。

たとえば、幻の企画として有名なのは、「ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト」という1億円を目標にしたプロジェクトです。当時の最高支援額である5469万5000円を集めましたが、1億円に達しなかったために不成立となり、1円ももらえないという結果に終わりました。

逆に、目標金額を低く設定しすぎても、実際のプロジェクトのための資金がまかなえない場合があります。また、目標金額を達成してしまって、「もう目標額が集まったんだから、支援しなくてもいいよね」と思われる場合もあります。

したがって、目標金額の設定は、とても重要になってきます。

まず、目標金額は、最低限必要な経費を算出するのが一般的です。しかし実際は、自己資金で足りない分をクラファンで補う分として目標金額を設定する場合が多くあります。

たとえば、「渋谷に夜の図書室を!@道玄坂に本と人がつながる場所を作ります」の場合は、開業費は自己資金でまかなえる試算をしました。その上で、図書室として本を買うための一部の費用となる10万円を目標としました。

実際、立案者の森俊介さんは、「事前告知と宣伝目的のためにクラファンを利用した」と言っています。結果、「こんなものが欲しかった!」という多くの声が上がり、共感が共感を呼び、目標金額の9530%超えの1000万円近いお金を34日間で集めることができました。

クラファン「1/3の法則」

では、どのように目標金額を設定したらいいのでしょうか?

目標金額を設定するうえで知っておきたいのは、クラファンの「1/3の法則」です。

「インディーゴーゴー」の創業者であるスラヴァ・ルービンさんは、2013年9月に開催された講演で、以下のような話をしています。

「私たちは、1/3、1/3、1/3という考えが好きです。インディーゴーゴーはあなたの成し遂げたいことを倍増することができます。もし、ご自身で0ドルしか集められなければ、インディーゴーゴーではゼロ倍しかできません。
まず、少なくとも金額の1/3は、『自分のネットワークを通じて』自力で集める必要があります。次の1/3は、あなたのネットワークの友達を通じて集まることが多い。そして、最後の1/3をインディーゴーゴーが見つけてくるのが平均的です」

要するに、「最低1/3は、自分の直接の友人知人からお金を集めなくてはいけない」ということです。これは、インディーゴーゴーで過去のデータから集められた数字によるものです。

実際、私の研究でも、これは、日本のクラファン全般にもよく当てはまります。プロジェクト資金の大小にかかわらず、成功しているプロジェクトは、「最低の30%以上の資金は、自分の直接の知人から集めている」というデータとなっています。

図1

このように、「1/3の法則」とは、お金を集める上で「最低1/3は、自分の直接の友人知人からお金を集めなくてはいけない」、そして、「その次の1/3は、友達の友達から集める」、そして「最後の1/3は、まったく知らない人からお金が集まってくる」ということです。

実際、私自身でも、2012年に「全米最大級の日本の芸術祭『JAM』、ユーストで日米をつなぐ」というプロジェクトを最初に行なったとき、結果的には目標金額は達成しましたが、「最初の1/3は自分で集めないと、目標金額を超えることは難しい」ということを痛感しました。

このように、「最低限1/3は自分で集めてこなくてはいけない」のが、クラファンの「法則」となります。この法則は、特に目標金額を設定するときの目安にすることをお勧めいたします。

「支援者リスト」を作成する

このように、目標金額を設定する場合の要素の1つとして、「自分でいくら集められるか」が大切であることがわかりました。

では、実際に自分の「1/3の法則」を具現化するために、数値設定が必要となってきます。

私が提案するのは、「支援者リスト」の作成です。

作り方は簡単です。まずは、紙やエクセルシートなどに、「自分の直接の友人にお願いした場合、いくら集まるか」を書き出してみましょう。「誰が」「実際にいくらぐらいお金を出してくれるのか」ということをリストにして書き出すのです。

このことにより、「自分でいくら集められるのか」という目標を明確にすることができます。

図2

もし、目標金額の1/3の額に「支援者リスト」が達成しない場合は、成功する確率は残念ながら低くなるでしょう。

その場合は、設定額を下げるか、もしくは、事前の仕込みなどをしっかり行ない、支援者数をプロジェクトの開始前に増やす努力が必要となってきます。

今回ご紹介した『日本人のためのクラウドファンディング入門』では、クラファン研究の第一人者である板越さんが、クラウドファンディングをまったく知らない人聞いたことがあるというレベルの人に向けて、クラウドファンディングの【潮流】から【超基礎知識】【活用法】までわかりやすく解説しています。興味のある方はチェックしてみてください。

▼関連記事もどうぞ(2本あります)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?