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戦争ほど儲かる商売はない。

フォレスト出版編集部の寺崎です。

軽い気持ちで書いたこんな記事が、大統領選の時期だったため、けっこう多くの方に読まれたようで、とても嬉しいです。

トランプ、バイデン両候補の攻防戦はしばらく収まらない感じですが、在任中に戦争を起こさなかったトランプさんは(シリア空爆がありましたが)、やっぱり指導者として評価されるべきだと個人的には思います。

で、そもそも戦争はなぜ引き起こされるのか。

ずばり、その解答は「通貨発行権」にあるということが、ドクター苫米地の傑作『日本人だけが知らない戦争論』で知ることができます。

そこで、今回は戦争を起こす動機である「通貨発行権」について、本書から紐といてみたいと思います。

なぜ、メディアは反中ナショナリズムを煽るのか?

最近では少しおとなしくなった印象ですが、一時のメディアでは中国を敵対視した「反中」が喧しいころがありました。そこには何か意図があるのでしょうか。仮に日中が戦争状態になった場合の思考実験をしてみます。

 じつは、アメリカのネオコン勢力は、日本と中国を戦わせ、両国を疲弊させて東アジアの利権を独り占めする戦略的シナリオを、ずいぶん以前から描いています。
 ここ10年の日本をとりまく情勢は、いわゆるアーミテージ・ナイレポートどおりに変化してきたといえますが、このレポートをとりまとめたハーバード大学の政治学者ジョセフ・ナイ氏は、外交問題評議会が発行する雑誌『フォーリン・アフェアーズ』2010年11月・12月号に、「アメリカンパワーの未来」という論文を発表しています。
 それは世界の覇権をどう握りつづけるかという戦略論なのですが、そこにはこう記されています。

「(アメリカは)アジアの緊張を高め、日本は中国の脅威を煽る反中ナショナリズムによってアメリカの計画に埋め込まれ、そのようにコントロールされるだろう」

 外交論文とはいえ論文ですから、日本人はそこに社会科学的な内容が記されていると考えるに違いありません。ここで科学的というのは、特定の権力者の意図や作為によらない、自然に世界が変化するメカニズムといっていいかもしれません。
 ところが、アメリカの外交論文を一度読んでみるとわかると思いますが、実態はおよそ科学とは程遠いものです。それは、論文という体裁をとりながら、アメリカが全力で追求すべきシナリオになっているのです。
 つまり、アメリカの最大利益が実現する未来はこれであるということが書かれ、それを達成するためにすべきことが列挙されます。先ほどのナイ氏の論文からの抜粋でいえば、「日本に反中ナショナリズムを起こせ」「日本をアメリカの計画に埋め込め」「日本をコントロールせよ」という作戦メニューになっているわけです。
 アメリカの外交論文がこれほどわかりやすいのは、アメリカが世界で唯一の超大国であり、世界覇権を握っているからでしょう。小国の外交論文であれば、ここまで単純かつ大胆なシナリオは書けません。
 その後、ナイ氏は日本の雑誌に「尖閣をめぐって日中戦争は不可避だ」と発表し、日中戦争がアメリカの国益になるということを強く匂わせています。
 経済的な弱点をいくつも抱えているとはいえ、中国がいずれアメリカのGDPを抜き、世界第1位の経済大国にのし上がると、アメリカの多くの経済専門家が予測しています。
 これは断じて許されないと考える勢力がアメリカにいるのは当然です。
 明らかに彼らは、日中を戦争に導こうとしています。そうすることで、アメリカが漁夫の利を得ると踏んでいます。とすれば、日本の反中ナショナリズムの盛り上がりと同様に、中国においても彼らが反日ナショナリズムを煽ろうとしていることは想像に難くないでしょう。

どうやら、日本国内の反中ムードに燃料を投下しているのはアメリカではないかという憶測が立ちます。

日米安保の「建前」にすがる日本の政治家たち

 アーミテージ・ナイレポートやナイ氏の論文がいまひとつ日本人の腑に落ちない理由に、日米安全保障条約の存在があると思います。
 日本が中国と戦争を始めれば、日米安保によってアメリカも参戦することになり、アメリカも無傷ではいられない。そう考える人は多いかもしれませんが、これはじつはとんでもない誤解です。
 尖閣が日米安保の対象になるか否か、これは日本の政権にとって長い間の懸念事項でした。
 無人島でもあり、実効支配しているとはいえない状態だったため、これまで何人もの閣僚や国会議員がアメリカ詣でをくり返し、日米安保の範囲内という確約を取るために苦心してきました。
 そして、ついに2010年、ヒラリー・クリントン国務長官から「改めてはっきり言うが、尖閣諸島は日米安保を適用する」という言葉を引き出したわけです。この認識は、後任のケリー国務長官にも引き継がれました。
 それでも、日本はまだ疑っています。オバマ大統領率いる民主党政権は、歴史的に親中国の政策をとってきたからです。
 それを心配した安倍首相は、2014年に来日したオバマ大統領を新橋のすし屋に連れて行き、こう尋ねました。

「中国が尖閣に攻め込んできたら、アメリカは本当に日本を助けてくれますね」

 私はその場にいたわけではありませんから、オバマ大統領がどう答えたか、正確な言葉はわかりません。しかし、大筋で次のような返事をしたと伝えられています。

「心配には及ばない。アメリカは尖閣諸島が日米安保の範囲内だと考えている。その点は、これまで通り何ら変更はない」

 だからこそ安倍首相は喜んで、首脳会談後の共同記者会見でこう述べました。

「バラク、あなたは昨夜のおすしを、人生の中で一番おいしかったと評価していただきました。私たちは胸襟を開いて、一時間半にわたり日本とアメリカの課題、世界の課題について語り合いました。それは日米の絆と役割を確認し、日米関係のさらなる可能性について語り合う、非常に充実した時間でありました。私にとっても昨夜のすしがこれまでの人生の中で一番おいしく食べることができたおすしであったということは、間違いありません」

 オバマ大統領も、いささか難しい顔をしながらこう述べました。

「日米は協力して、海事問題などの太平洋地域における紛争が、対話によって平和的に解決されるよう呼びかけます。両国は、航行の自由および国際法の尊重などの基本原則を守る立場を共有しています。繰り返しますが、日本の安全保障に関する米国の条約上の義務に疑問の余地はなく、(日米安全保障条約)第5条は尖閣諸島を含む日本の施政下にあるすべての領域に適用されます」

 ついに大統領本人の口からお墨付きを得たように見えますが、残念ながらこれは建前なのです。
 いくら日米安保条約が適用されるとはいえ、アメリカが日本の戦争に参戦するためには、アメリカ議会の承認を必要とします。いざというときでも、米議会が反対すれば、オバマ大統領がそれを押して軍隊の派遣を決めることはできません。
 むしろそれがあるからこそ、クリントン国務長官以来、「尖閣は日米安保の範囲内」とオバマ政権は公言するようになりました。アメリカはおそらく、この点を中国に十分に伝えているはずです。
 外交とは、こういうものなのです。

日本と中国が開戦しても米軍は動かない

 そのため、尖閣で日中の交戦が始まっても、アメリカ軍は動けません。
 かりに日中の交戦がはじまると、自衛隊は前線に立ち、人民解放軍にどんどん応戦していくことになります。
 尖閣周辺の地域限定戦争になるのか、それとも想定外のことが起こり、エスカレートしていくのか。エスカレートするといっても、いったいどう戦争を拡大させる方法があるのやら。北朝鮮、韓国、ロシアまでもが動くのか、あるいは中国内陸部で少数民族の反乱が起こるのか、あらゆる可能性が考えられます。
 アメリカは議会ですったもんだの議論の末に、ようやく重い腰を上げることになるでしょう。とはいえ、議会の承認は簡単に得られないでしょうから、参戦するわけではなく、当面は太平洋における各国民間船舶の航行の安全を図るというくらいのことではないでしょうか。
 かりに戦争が長引いて中国に内戦が起これば、そのときは堂々と国連平和維持軍として軍事介入を行うかもしれません。日本も疲弊し尽くすでしょうから、そのときは再占領でしょう。
 このアジアの緊張と混乱に乗じて、アメリカはアジアの利権を一気に手中にしていきます。これは私が勝手に推測しているのではなく、これがナイ氏の外交論文にしたためられたシナリオなのです。中国への挑発をつづけ、日本が自ら戦争の道を歩むとしたら、これほどバカバカしい話もありません。
 しかし、このアメリカのシナリオに協力する日本の勢力はたくさんいます。
 戦争が起こっても、彼らや彼らの子どもが前線に送られることはありません。そればかりか、アメリカに協力して戦争を遂行し、それが終息した暁には、彼らには約束された道が用意されています。戦後の日本で、戦争責任を問われるべき人々が、社会の中枢を占めたように。
 だから、ヘイトスピーチを行う集団がなぜか潤沢な資金を持ち、NHKをはじめとするマスコミが中国の脅威を煽り、海上保安庁や警察が辺野古埋め立てに反対する住民を暴力的に排除するということが起こります。国家が良識的な国民に牙をむき始めるわけです。
 世界のパワーゲームをこのように俯瞰して、はじめて戦争が起こる理由を把握することができます。
 ただし、私がいう「もっと大きな絵」は、こうしたパワーゲームのことではありません。さらに抽象度の高い視点から戦争を眺めると、そこにもっと大きな絵が隠されていることに気づきます。

戦争で莫大な利益を得るのは誰か?

 アメリカはアジアの緊張と混乱に乗じることで利益を手にすることができますが、戦争が始まることで、その瞬間にアメリカの利益とは比べ物にならないほど莫大な利益を約束される勢力がいます。
 ご存知のように、それは国際金融資本です。
 かりに日本と中国が戦争を始めた場合、戦端を開いた瞬間に、円も元も大暴落します。
 なぜなら、戦争当事国の通貨で物資を売ってくれる殊勝な国はありません。国際取引に使えない通貨を、欲しいと思う人は誰もいないでしょう。
 では、日本と中国は何をもって戦費とするのか。
 それは金か、金に裏づけられた通貨しかありません。

 ただし、金本位制が終わって久しい現在、世界の通貨はすべて不換紙幣になり、通貨発行国の信用で成り立っていますから、日中戦争を遂行する日本と中国が使うことのできる通貨といえば、現実的には信用力で米ドルということになるでしょう。
 このため両国は、戦費として莫大な米ドルを調達する必要に迫られますが、円や元に価値はないのですから、それと引き換えに米ドルを手に入れられるわけではありません。
 戦費として必要な巨額の米ドルは、すべて借金になるわけです。
 これほど巨額のお金を貸し付けられる機会は、滅多にあるものではありません。
 しかも、日中が必要とする戦費の貸し付け能力を持つのは、国際金融資本だけです。
 かりに日本が負ければ、彼らは日本の資産をタダ同然に持っていくことができます。
 逆に中国が負ければ、資産を押さえると同時に、それ以降の中国の金融をすべて牛耳ることができるでしょう。その意味は、中国の国民13億人から、延々と利益を吸い上げつづけていけるということです。
 また、敗戦国だけでなく戦勝国からも、貸付金の莫大な金利をとることができます。
 いずれの国も、戦争による大量破壊からの復興の過程で、大変な需要が喚起されます。産めよ増やせよのベビーブームも、意図的に起こされるに違いありません。
 戦争の結末がどうあろうとも、彼らのところにはすさまじい利益が転がり込みます。
 彼らにしてみれば、戦争ほどスケールの大きな儲け話はないわけです。

ここで語られる「国際金融資本」は最近のトレンドワード(?)で言うところの「ディープステート」ということになります。ちなみに、トランプ大統領は「私はディープステートと日々戦っている」と公言していました。

今後予想される破滅的なシナリオ

 世界のパワーゲームによって戦争が起こるのは事実ですが、過去の歴史が示すのは、戦争を起こす本当の黒幕は、ヨーロッパを中心とした大銀行家ということです。
 歴史を振り返ると、19世紀までは、国家間で行われる戦争は主にヨーロッパに限定されていました。そして20世紀になると、その範囲はアジアや中東を巻き込んで世界的に拡大していきました。
 戦争地図の変遷を歴史的に眺めていくと、つねにヨーロッパの大銀行家の支配圏で戦争が起こっていることがわかります。彼らの支配の届いていないところでは、一方的な侵略と植民地化の波が起こったにすぎません。
 ヨーロッパの大銀行家の支配圏の拡大は、世界の拡大そのものでした。後に詳しく述べますが、最初、支配圏を拡大する方法は、一国の通貨を牛耳ることで行われました。
 そうやって一つひとつ、勢力範囲を拡大していったわけです。
 彼らにとっては、支配圏こそが世界そのものでした。
 そして、その世界の拡大とともに、戦争のグローバル化と呼ぶべき状況が生まれました。

 アジアや中東に近代国家が生まれ、世界が広がると、そこで近代的な戦争が起こりました。効率的な殺人兵器を装備して、どこに自国民をこれほど犠牲にする理由があるのか理解できないような戦争が、あちこちで起こるようになります。
 それは、その昔に行われた部族間の領土争いや財宝の奪い合いとは似ても似つかぬ戦争で、結果的にはつねに大量殺戮と大量破壊に帰結しました。
 戦争に勝った国の国民が豊かになるかといえば、けっしてそうではなく、儲かるのはヨーロッパの大銀行家が所有する多国籍企業だけです。
 そのため、戦勝国の国民の間でも不満が広がりました。
 どんな国の国民も、自足さえしていれば戦争をしたいという考えは起こりません。好戦的といわれるアメリカ人にさえも、ふだんはつねに厭戦気分が充満しています。彼らは痛い目にさんざん遭って、知っているのです。戦争をしても、ひとつもいいことはない、と。
 それでも戦争が起こるのは、支配者がそれを仕向けているからです。それは、支配圏に存在する国家同士を争わせることこそが、彼らが営々とつづけてきたビジネスであり、莫大な利益の源泉だからです。
 この構図は、いまも変わりません。
 そして、いま彼らは、それを欲しています。
 なぜなら、どんなにいいビジネスでも、以前ほど儲からなくなっているからです。
 エコノミストの水野和夫氏が指摘するように、先進国は現在、いずれの国も歴史的な低金利状態にあります。金利というのはほぼ資本利益率に一致しますから、いくら資本を投下しても利潤を得ることができない状態に陥っているのです。
 水野氏は、これをもって資本主義の終焉が近づいていると主張していますが、私は必ずしもそうは思いません。国際金融資本が、通貨による世界支配と利益を手放すはずはないからです。
 私には、彼らがこれまで以上に破滅的な戦争を準備しているのではないかという予感があります。
 そして、少なくとも日本とアメリカは、そのシナリオに沿って動いています。
 その意味で、彼らが歴史的に何をしてきたかを知ることが、日本人が生き方を選択する上で、非常に重要になるのではないでしょうか。

いまのウイルスを発端とした世界的な騒動はもはや「戦争」と呼べる規模にある気がします。まさか、これとて「世界の裏の支配者たち」による計画だとすれば・・・空恐ろしい想像が働いてしまいます。

本書『日本人だけが知らない戦争論』では、1640年に絶対王政を打倒したクロムウェルによるイングランド革命ののちに設立されたイングランド銀行、1789年のフランス革命によるフランス銀行の設立、日本においては戊辰戦争が決着して明治維新を迎え、その13年後の1882年に日本銀行が設立される経緯における「共通したある点」を浮き彫りにしています。

それが「通貨発行権」です。

日本銀行の株主構成の闇

「日本銀行」というと、なんとなく日本政府の銀行というイメージがあります。しかし、これが大間違い。日銀は日本政府のものではないのです。

 中央銀行制度は、国民をさく取するための壮大な装置ということができます。
 たとえば、いま財布に入っている一万円札。みなさんは、このお金は自分が稼いだ自分のお金だと思っているはずです。
 ところが、これは考え違いです。日本銀行を設立したときから今日に至るまで、日本政府は日本人が必要とするお金を日銀から借りてきました。いま、財布に入っているお札の金額、金融機関に預金している金額は、すべてみなさんの借金なのです。
 その証拠に、日本政府は日銀に金利を払いつづけています。市中に供給されているお金、いわゆるマネーサプライは、すべて国債と引き換えになっていますから、日本人は国債の表面金利を日銀に支払わなければならないわけです。
 かりに日本銀行券が政府発行の政府紙幣であったなら、それは借金ではありませんから、日本人が金利を支払う必要はありません。ところが、政府が通貨発行権を持つべきだという議論は、どういうわけか一度も起こりません。
 日銀の株式は法律により55%を政府が持っています。45%は民間です。資本金はたった1億円で、正式には日銀は株式会社ではなく認可法人です。発行されているのは株式ではなく、出資証券です。何が違うかというと、株主総会はなく、議決権は出資証券には付与されていません。
 また、配当は1株100円に対して5円が上限ですので、日銀の株を持っても配当がたくさんもらえるわけではありません。もちろんオーナーとして、隠然たる影響力を行使できるはずですが、民間の45%のうち6%ぐらいを金融機関などが持っています。そして39%は個人とされていますが、この個人が誰かは明かされたことがありません。
 日銀の出資証券はジャスダックに上場されています。つまり建前上は三菱東京UFJ銀行のような上場企業の形をとっています。ただしこれは、民間が45%の公開企業という建前を見せるだけの形にすぎません。
 ジャスダックで取引されているのは、1年間を通じて額面100円、全体で100万株のうち5万株未満にすぎません。つまり総株数のうち5%しか取引されていないのです。また、この5%は金融機関などの持つ6%部分が国債の価格変動に合わせて行ったり来たりしているだけです。
 もちろん、大手証券会社に口座があれば、ジャスダックに売り玉が出たときに買える可能性はありますが、議決権もなく、配当もたいしたことがない出資証券なので、額に入れて飾っておくぐらいの旨みしかありません。
 そして、持ち主が明かされない39%部分については、いっさい持ち分は変動していないのです。
 日銀の設立は、薩摩藩士であり、内閣総理大臣を2度務めた初代大蔵大臣松方正義によるものです。松方正義は42歳の時にフランスに留学した際に日銀設立構想を固めたといわれています。ただ、松方の構想では、「株金は広く大衆から募集し」となっており、どのようなルートでこの39%が個人に押えられるようになったかは明かされていません。
 もちろん、この39%の重要部分については、ヨーロッパの銀行家が当時押えたと考えられています。

 なんと、日銀の持ち株の39%は最初から外国人だったというのです。ドラマなどでさんざん美化されてきた明治維新とは、いったいなんだったのか・・・?

現代の戦争を理解するカギは「通貨発行権」

 歴史をこのように俯瞰してみると、かつて王家対王家の領土争いだった戦争が、いつの間にか同じ戦争のつづきに見せかけた王家対ヨーロッパの大銀行家の戦争に変質していたことがわかります。
 そして、17世紀から19世紀にかけての戦争は、もはや領土の帰属ではなく、通貨発行権の帰属をめぐる戦いに変化していたことが理解できると思います。
 はっきりとその形が示されたのが、戦争に明け暮れるイングランドで起こった名誉革命でした。それ以来、ヨーロッパの諸国は封建主義の衣の整理を始め、ゆっくりと近代の国民国家へと変貌していきます。
 時代はいささか進みますが、ロシア革命も、名誉革命やフランス革命と同じやり方によって、ヨーロッパの大銀行家たちが仕掛けたものといえるでしょう。私は、マルクスやエンゲルスが銀行家の指令を受けて『共産党宣言』や『資本論』を著したとは思いませんが、大銀行家たちがそれを思想宣伝の格好の道具に利用して、ロシアの国民を革命に扇動したことはまず間違いのないことだと考えます。
 実際ソビエトが崩壊した時、エリツィン大統領は、ソ連が終わって「残ったのは西側の銀行に対する借金だけだった」と語っています。
 そして、通貨発行権をめぐる国家対ヨーロッパの大銀行家の戦争は1913年、アメリカのFRB(連邦準備銀行)の設立によって、一応の終息を迎えます。
 なぜ私が、それをもって終息というのか。
 理由は、簡単です。
 それまでは、「通貨発行権の獲得」のために戦争が行われました。しかし、FRBの設立以降は、「通貨発行権の行使」のために戦争が行われるようになりました。
 21世紀の現在においても、その戦争目的は変わりません。
 私たちが生を受け、いまに至る間にも、中東、中央アジア、アフリカ、あるいはバルカン半島などで数々の戦争が行われてきました。これはすべて、国際金融資本が仕掛けた「通貨発行権の行使」のための戦争ということができます。

本書『日本人だけが知らない戦争論』は―――

◎アメリカの独立戦争に始まる世界的な金融支配
◎経済学は、ヨーロッパの大銀行家の主張を正当化し、彼らに奉仕するために生み出された学問であること
◎権力奪取のルーツは「旧約聖書の神官たち」にあること
◎為替取引の手数料で莫大な富を築いたテンプル騎士団の存在
◎あまりにも不自然な両大戦の始まりの真相
◎第1次世界大戦は「通貨発行権の行使」が目的だったこと
◎大銀行家のシナリオ通りに進行した第2次世界大戦の真相
◎「5 次元化空間」で繰り広げられる21世紀の戦争の姿

――など、ありとあらゆる歴史的ファクトから「戦争の真実」を暴き出す危険書です。戦争を語るに、戦争を知らなければ、議論すらできません。

「全国民必読の書」と言いたい。それぐらいにおすすめしたい本です。

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