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【フォレスト出版チャンネル#185】ゲスト/ライター|人気ライターが語る「書く」仕事の魅力

このnoteは2021年7月29日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。
 

ベストセラー著書も持つ、フリーライターの駆け出しの頃

渡部:フォレス出版チャンネルのパーソナリティの渡部洋平です。今日は森上さんとともにお伝えしていきます。森上さん、よろしくお願いします。
 
森上:よろしくお願いします。
 
渡部:本日のゲストなんですけれども、森上さんのお知り合いの方でフリーライターさんでもあり、そしてベストセラーを出されている著者さんでもあるということなんですよね?
 
森上:そうなんですよ。私も本当にお久しぶりにお目にかかる感じで、もう7年くらいぶりかな。お目にかからないうちに、ベストセラーを出される著者さんとしてもご活躍されて、最近も新刊を出されて、そんな女性のライターさんでいらっしゃいます。本日は大変お忙しいにも関わらずゲストでお越しいただけたというかたちです。
 
渡部:はい。では、今日のゲストの方を紹介させていただきたいんですけれども、Voicyを聞いてらっしゃるリスナーさんはビジネス書の本であったり、ライターさんとしてのお仕事にご興味がある方が多いと思うんですけれども、そのどちらのお話も聞けるんじゃないかということで、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います。本日はフリーライターで、ご自身でもベストセラーを出されている姫野桂さんにお越しいただきました。姫野さん、本日はよろしくお願いいたします。
 
姫野:よろしくお願いいたします。
 
森上:よろしくお願いします。
 
渡部:さっそくなんですけれども、私のほうから簡単にプロフィールをご紹介させていただきたいと思います。姫野桂さん。フリーライター。1987年生まれ。宮崎県宮崎市出身。日本女子大学・日本文学科卒業。大学時代は出版社でアルバイトをして、編集業務を学ぶ。卒業後に一般企業に就職し、25歳の時にライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆。専門は社会問題や生きづらさ、著書には『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(‎イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などの著書がございます。今日はよろしくお願いいたします。
 
姫野:お願いします。
 
森上:お願いします。
 
渡部:さっそくなんですけれども、今、森上さんが7年ぐらい直接お会いしてないということで、今日もzoomで対談させていただきますけれども、どのようなかたちでお知り合いになられたんですか?
 
森上:たぶん2013年、14年くらいだったと思うんですけど、このVoicyにもゲストで来ていただいた探偵の今野裕幸さんという方がいらっしゃって、その方の主催の会合で姫野さんにお目にかかったという。
 
姫野:そうですよね。
 
森上:そうですよね。それ以来くらいですもんね。
 
姫野:それ以来ですね。
 
森上:かなりご無沙汰しております(笑)。フェイスブックとかでもつながっていて、ご活躍はいろいろと見ていて……。渡部さんもその会合にいらっしゃったんじゃないかなと。渡部さん、なんとなく覚えているんじゃない?
 
渡部:先ほど、前の打ち合わせでこの話をしたんですけど、今のところ全く覚えてないです(笑)。
 
姫野・森上:(笑)。
 
姫野:私もそのときのことは、本当にうっすらとしか覚えてない感じですね。今野さんと一時期、同じ媒体で書かせていただいていて、それで「今度いろいろな出版社の方がお見えになる会合を開くから、どう?」って誘われて、参加したって感じだったので、本当にうっすら覚えているっていう感じですね。
 
森上:そうですよね。確かに、7年、8年前っていうとそんな感じかもしれないですね。姫野さんは、そのときにはフリーライターでいらっしゃったんですよね?
 
姫野:フリーライターになったばっかりのときだと思いますよ。
 
森上:そうですか。
 
姫野:1年経ったとか、経つとか、それぐらいだったと思います。まだ駆け出しで。
 
森上:そうでしたかー。じゃあ、まだ20代?
 
姫野:25、6の頃だったと思います。

フリーライターの仕事内容、扱うジャンル

森上:そうですか、そうですか。その後はいろいろと著書も出されて、今日はその間を埋めるかのようにちょっといろいろとお話をお聞きできたらなと思うんですけど、まず、フリーライターのお仕事で、今野さんと同じ媒体でお書きになられていたというのはウェブ媒体ですかね?
 
姫野:ウェブ媒体で当時は書いていたんですけど、たまに雑誌で、紙媒体で書くときもあって、今はウェブが8割、紙が2割っていう感じで書いていて、書籍はまた別として。そんな感じでやっていますね。
 
森上:そうですか。具体的にウェブ媒体っていろいろな種類があると思うんですけど、どういうテーマでお書きになることが多いんですか?
 
姫野:もういろいろですね。依頼してくださる方に合わせて書いているので。この間はお笑い芸人の方に取材をしましたし。社会問題について書いていることもありますね。この間ちょっと話題になったのは、母乳をネット上で売買している女性がいるっていうことがありまして、それでその母乳を売買している女性に直撃取材をして、っていうのはありましたね。本当は厚労省から細菌とかが発症するから、個人間での母乳の売買は禁止されているんですけれども、いやらしい、フェチ向けの男性に向けて、ネット上で売買している。しかも、対面で会うわけではないので、そんなに危険を感じないっていうような方にお話を伺いましたね。
 
森上:かなりディープで、社会的なところまで切り込まれている。それはどこかの媒体さんが、「こういったネタがあるんだけど、姫野さん、取材を兼ねてライティングしていただけないか」と、「記事化してくれないか」と。そういう依頼になるんですかね?
 
姫野:そういう依頼もあれば、自分で企画を立てることもあって、半々ぐらいですね。自分で企画を立てる場合は結構、知り合いの作家さんが本を出したりしたときに、その本についてインタビューすることが多かったりしますね。
 
森上:そうですか。先ほどちらっとお話された母乳の売買の話はびっくりしたんですけど、それは編集部のほうで何か?
 
姫野:それは編集部のほうでネタを見つけてくださって、ツイッターで主に売買されていて、ツイッターで探して探してって感じで。
 
森上:じゃあ、取材元を見つける、アポイント取る、そのあたりから姫野さんがやられる?場合にもよるんでしょうけど。
 
姫野:はい。週刊誌でもたまに書いてるんで、週刊誌は本当にもうアポ取りのところからやることが多いですね。
 
森上:そうですか。僕の記憶が確かならば「週刊SPA!」さんとかでも結構いろいろと書かれている印象があるのですが。
 
姫野:はい。よく書いています。
 
森上:あれは、編集部主体の場合もあれば、ご自身で企画提案をする場合もあるという感じで。
 
姫野:そうですね。自分で企画を出して通った場合は、それをやりますね。で、何人かのライターさんでやっているので、他の人の企画が通ったら、その企画でやるって感じですね。
 
森上:なるほど、なるほど。主のライターさんがいらっしゃって、そこをお手伝いとか、結構チームで動くこともあったりするわけですね?
 
姫野:「SPA!」は完全にチームで動いていますね。
 
森上:そうですか。じゃあ、そういう意味ではライターさんという仕事は、ウェブも紙も雑誌もいろいろあるにせよ、結構ポンポンポンポン飛び込んでくる感じなんですね? 結構時間もいろいろバラバラと言うか。
 
姫野:でも、私は朝が苦手なので、できるだけ午前中は取材を入れないようにしたりとかしてますね。
 
森上:なるほど(笑)。うまくコントロールされているんですね。
 
姫野:はい。そうですね。

フリーライターになったきっかけ――コネなしからのスタート、叶った夢

森上:そうですか。フリーライターになろうと思ったご自身のきっかけとかってあったりするんですか?
 
姫野:ずっと物書きになりたくて、厳密に言うと、小さいときから小説家になりたかったんですけど。だから、小説の文芸のコンテストみたいなものに応募して、とある絶対にこれは出す人が少ないだろうなって思うものを見つけたんですよ。そこに応募したときに最終選考まで残って。
 
森上:おー!
 
姫野:そのときに自分って、変な文章を書いているわけじゃないんだって、ちょっと自信がついて、会社員をやりながら、小説家デビューを目指そうかなと思ってたんですけど、なんとそのときに、友達がライターさんを紹介してくれたんですよ。とあるライターさんを紹介してくれまして、その方から「小説は賞を取らないとお金をもらえないけど、ライターだったら、仕事をして文字を書けばお金がもらえるから、ライターになったほうがいいんじゃないの?」って言われて、そうだなって思って、ライターになりました。
 
森上:そうですか。じゃあ、そのデビューしたての、フリーになりたての頃に私がお目にかかっているって感じなんですね?
 
姫野:そうですね。大学時代に出版社でアルバイトをしていたので、だいたいの作業とか業務とかは内容がわかっていたんですけど、本当にコネも何もない状態から始まっていたので、まずはライターの教室に半年間通って、そこでちょっと人脈とかつくったりして、お仕事をいただけるようになってって感じでした。
 
森上:そうですか。じゃあ、学生時代からそういったかたちで小説をお書きになられていたと。具体的にブログを書いたりとか、フリーライターの前からやっていたり?
 
姫野:ブログはすごく書いていて、私はビジュアル系バンドが好きだったので、ブログでそのライブのレポを書いたりしてたんですね。そしたら結構アクセス数がよくて、ライブレポートが書けるライターさんにも憧れるなあとか思っていて、その10年後に夢が叶ったっていうことはありましたね。
 
森上:すばらしい。じゃあ、実際にそのライブレポートとかを書く機会があったわけですね?
 
姫野:はい。お仕事をいただいて。10年前にそこのバンドのメンバーさんに、「将来はライブレポートを書けるような人になりたいです」っていう、「あなたのバンドのライブレポを書きたいです」っていうお手紙を渡したことがあったんですよ。で、それが10年後実現したっていう。
 
森上:すごい! そういうことがあったんですね。すばらしいですね。そういう意味でも、ずっと書くことに関してはストレスが全くなくて、結構アウトプットされることはもう日常化してたという感じですかね?
 
姫野:そうですね。
 
森上:そういう意味では天職と言うか。
 
姫野:天職と言っていいかわからないですけど、私に合ってる職って感じですね。
 
森上:そうですよね。
 
姫野:会社員の頃は事務職で全然合わなかったので、私はそういう資料をつくったりとか、まとめたりとか、経理の作業をしたりとかは全然できないので。
 
森上:なるほど、なるほど(笑)。OLさんはどのぐらいやられてたんですか?
 
姫野:3年間ですね。キッパリ3年間で辞めました。
 
森上:そうですか。辞めたと同時にフリーライターって感じで?
 
姫野:そうですね。実は……、副業NGの会社だったので、本当はいけないんですけど、最後の半年間だけこっそり土日だけライター、夜ライターっていう生活をしてましたね。
 
森上:そうですか。そういった意味では、もう徐々に準備が始まっていったって感じですね?
 
姫野:そうですね。いきなりライターになるのはちょっと怖かったので、半年間だけ兼業しようと思って。
 
森上:なるほど。でも当時に比べて、ブログ以外でもnoteとか、そういったもので書く人の環境は、また広がりましたよね?
 
姫野:今のほうがすごくアウトプットが簡単な時代になりましたよね。漫画家さんとかもツイッターに漫画をあげて、バズったらそこから書籍化とか結構あるんですよね。
 
森上:そうですよね。そういう意味では、そういう環境が、社会が整ってきたというイメージがありますよね、当時に比べても。
 
姫野:はい。

ベストセラー『発達障害グレーゾーン』誕生秘話

森上:そんな中、ライターさんとしてご活躍されながら、本をお書きになるということが起こったわけですが。最初のご本は何だったんでしたっけ?
 
姫野:『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』っていう本で、これは発達障害の当事者を取材した本になってまして、東洋経済オンラインっていうウェブ媒体で取材をしていたら、ものすごく反響があって、もう第1回目からすごい反響だったんですよ。で、イースト・プレスの編集さんが本にしたいということを言ってくださって、そこから本になったっていう感じですね。
 
森上:なるほど。それは姫野さんが東洋経済オンラインさんで、連載をされていたって感じですね?
 
姫野:そうですね。連載をしていました。
 
森上:なるほど。じゃあ、それをまとめたのが、1冊目。
 
姫野:そうですね。まとめて、書き下ろしを加えてって感じで。
 
森上:なるほど。それで、2作目ですよね! 私も「あ、これはすごい!」と思ったんですけど。
 
姫野:『発達障害グレーゾーン』

4万2000部のベストセラー

森上:『発達障害グレーゾーン』。そうですね。URLをチャプターにも貼っておきますが、扶桑社新書さんで。あれは結構売れましたよね?
 
姫野:自分で言うのもあれですけど、かなり売れまして。
 
森上:どれぐらい?
 
姫野:それは4万2000部いったんですけど、自分的には5万部いきたかったんですけどね。
 
森上:いやいやいや、十分すばらしいです! これは実際、ご自身が発達障害グレーゾーンにいるんじゃないかと言うことで?
 
姫野:そうじゃなくて、私は発達障害、黒なんですよ。発達障害であることを1冊目の本で明かしているので。
 
森上:はい、はい。
 
姫野:「週刊SPA!」で発達障害の特集を3回ほど組んで、そのときに取材していく中で、発達障害の傾向はあるけど、診断がおりなかったっていう人たちが結構いたんですよ。それで、「発達障害のグレーゾーンの本をつくりましょう」っていうことになって、発達障害って本当に複雑な障害なので、特集の8ページ内には収まりきれないっていうことになって、「じゃあ、本にしよう」っていうことになって。
 
森上:なるほど。そうですか。じゃあ、発達障害、黒となっているほうがまだ楽で、グレーゾーンっていうのが1番社会的には苦しいと。そういう感じの方がいらっしゃったということですね?
 
姫野:黒の人は黒の人で生きづらいんですけど、グレーゾーンの人は診断が降りない分、お薬をもらえなかったりとか、社会的なフォローとか、合理的な配慮とかができなかったりとか、障害グレーゾーンで、傾向があるって言っても、職場の人に説明しても、わかってもらえなかったりとか。そういう葛藤があるっていうことを伝えた本になりますね。
 
森上:なるほど。
 
姫野:よく子どもの発達障害グレーゾーンっていうのは聞くんですけど、発達障害って成長するに従ってよくなっていくものなので、それで子どもに対してはグレーゾーンを使うことはあったんですけど、大人のグレーゾーンっていう本が今までなかったので、それでちょっとうけたのかなと思います。
 
森上:そういうことなんですね。 2018年ぐらいですか? あれは。
 
姫野:2018年ですね。
 
森上:そうですよね。ちょうど、大人の発達障害のいろいろな本も出始めた頃ですよね?
 
姫野:すごくテレビとかでも取り上げられるようになった時期ですね。
 
森上:そうですよね。それで、その中にまたグレーゾーンというところがあるんだよっていうことにちゃんと光を当てて、姫野さんがピックアップしたと、社会問題化したというかたちですよね。
 
姫野:はい。
 
森上:うちの本でもあって……、発達障害はHSPとはまた違うのかな。
 
姫野:HSPは敏感すぎる人ですね。
 
森上:そうか、またちょっと違うのか。
 
姫野:ちょっと違ってきますね。
 
森上:なるほどね。隠れHSPさんっていう方がいらっしゃるっていうことで、うちの他の編集者がそのHSPとはまた違う、隠れてと言うか、もしかしたらグレーゾーンというのに、ちょっと近いかもしれないですけど、その生きづらさに光を当てた本っていうのが、やっぱりそこそこ売れたっていう経緯があったので、やっぱりそういったところで白黒だけじゃないっていうところに、1つの問題があると言うか。そこに光を当てた姫野さんはすばらしいなあと思いますよね。
 
姫野:いえいえいえ。編集さんのおかげもあって。1カ月ぐらいでつくったんですよね。
 
森上:そうなんだ!
 
姫野:すごいスピードでつくって、書いたのは、2週間ぐらいで書き上げて。
 
森上:えーー! すごい!!
 
姫野:はい。あと取材もバーッと入れて、それまで「週刊SPA!」で取材をして、載せ切れなかった分もあったので、その材料も使いっていう感じだったんですけど。
 
森上:なるほど、なるほど。そうですか。でも、やっぱり姫野さんがずっと雑誌でそのスピード感を含めて、いろいろやっていたから、それが現実になったって感じですね。
 
姫野:そうですね。
 
森上:ありがとうございます。渡部さん、ちょっとお時間があれですね。
 
渡部:そうですね。
 
森上:ちょっとまだいろいろとお聞きしたいんですけど。
 
渡部:はい。それでは、今日はベストセラー『発達障害グレーゾーン』の誕生の秘話みたいなところをお話していただきましたけれども、姫野さんが実は6月17日に最新刊『生きづらさにまみれて』を晶文社さんから出されたということで、こちらに関してもぜひいろいろとお伺いしていきたいと思います。明日も姫野さんにゲストにお越しいただけるということですので、明日は最新刊『生きづらさにまみれて』について、詳しくお話をお伺いしたいと思います。この最新刊のURLをチャプターに貼っておきますので、よろしければチェックしてみてください。それでは姫野さん、森上さん、本日はありがとうございました。

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姫野:ありがとうございました。
 
森上:ありがとうございました。
 
(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)


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