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#302【ゲスト/編集者】サンマーク出版・岸田流の企画発想法

このnoteは2022年1月6日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。


物事やテーマを一度、再定義してみる

渡部:フォレスト出版チャンネル、パーソナリティの渡部洋平です。今日も昨日に引き続きまして、サンマーク出版の岸田健児さんをゲストにお迎えして、編集部の森上さんとともにお伝えしてまいります。岸田さん、森上さん、よろしくお願いいたします。

岸田・森上:よろしくお願いします。

渡部:昨日はサンマーク出版さんのことや、編集者としての岸田さんのことについて、いろいろとお話しをしていただきました。何十万部というベストセラーを何冊も出されている岸田さんならではのおもしろいお話、ちょっとギリギリのお話等々ございましたので、ぜひ昨日の放送もチェックしていただきたいと思います。それでは今日は、岸田さんのご担当の書籍について、いろいろとお伺いしていくっていうことなんですよね?

森上:そうです、そうです。昨日の最後のほうに出てきた『ぺんたと小春のめんどいまちがいさがし』シリーズの概要について岸田さんからざっくり教えてもらっていいですか?

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岸田:はい。僕は基本的に企画の探し方って、再定義することがすごく好きで、例えば企画の話じゃないんですが、造花、百均とかで売っている作り物のお花ってあるじゃないですか。あれも普通の目線で見ると、人工物とか、作り物とか、偽物とか、かなりネガティブなイメージになっちゃうんですけど、ここで、「ちょっと待ってよ」と。一回、造花をいろんな視点で見てみると、造花って実は枯れない花、一生枯れない花っていう利点があるなあということに気づいて、そこを見つけたときに、じゃあ、結婚式とかで新郎新婦に造花を「一生仲睦まじい夫婦になってくださいね」っていう意味を込めてプレゼントする。そんな使い方をすることによって、造花の使い方の再定義が起こるじゃないですか。

森上:はいはい。

岸田:こんな感じで再定義を起こすことを、僕の企画では毎回やっていて、今回の『ぺんたと小春のめんどいまちがいさがし』は、その手法の最たるものかなと思っているんですよ。

森上:ほうほう。

岸田:その『ぺんたと小春のめんどいまちがいさがし』の「めんどい」っていうのは何を表しているかっていうことですよね。僕には5歳と3歳の娘がいるんですけど、上の子にある日、百均で間違い探しを買ってあげたんですよ。よく売っているじゃないですか。小冊子の間違い探し。「これ、暇だったらやれば?」っていう感じでプレゼントしたんですけど、そしたら娘がそれをやりながら、「パパ、これすぐ終わっちゃって、つまんないよ」って言ったんですよ。で、その「すぐ終わっちゃってつまんない」っていう言葉が自分の中にすごく残って、ずっと考えていたら、「あ!」ってなって、間違い探しの再定義が自分の中で起こって、「じゃあ、終わらない間違い探しを作ったらいいんだ」って思ったんですよ。

森上:なるほど。

岸田:終わらない間違い探しっていうことは、つまり間違いが多すぎる間違い探し。そこまで来た瞬間に売っていく道筋っていうのもすごく見えて、例えば、答え合わせの丸をつけるページがあるじゃないですか。あのページがもう真っ赤になっているとか。

森上:なるほど(笑)。

岸田:間違いだらけすぎて、もう左右の絵が違う絵じゃねーかとか。

森上:はいはい(笑)。

岸田:ネットでバズりそうだし、今っぽくていいなと思ったし、さらに時代に刺さっているっていう部分で言うと、当時ちょうどコロナ真っ最中だったんですよ。2020年と言えば。

森上:まさに。

岸田:それで、おそらく暇つぶし需要。世間の人たちの最大の敵は、暇であると思っていたんですよね。ましてや、子どもたちにとっても暇というのがやばいと。だったら、終わっちゃう間違い探しでは、暇が潰せないので、間違いをめちゃめちゃ入れて、暇つぶしになるよっていう売り方はすごく刺さるんじゃないかと思って。

森上:なるほど。

岸田:それで、いろいろと考えながら、ぺんだと小春も出演させながら作ったのが『ぺんたと小春のめんどいまちがいさがし』っていう本で。

間違い探しは、ゲームの王様

森上:シリーズなんですよね。

岸田:はい。1冊目は1冊で1211個の間違えがあるっていう。

森上:すげー(笑)。

岸田:普通、たぶん1ページにある間違えって、10個とか、せいぜい15個とかなんですよ。でもこの本の初級レベルは30個から始まるんです。

森上:すっご(笑)。

岸田:最大100個まで。

森上:これ、難しいっていう意味じゃないんですね。難しいというよりも量なんだね。

岸田:むしろ間違い探しの問題自体は、めちゃめちゃ簡単なんですよ。でも、終わらないので。

森上:なるほど(笑)。

岸田:簡単に解ける気持ちよさと、終わらない難しさで、没頭させていくっていうところで、間違い探しの難しさのレベルはかなり注意して作りました。難しすぎると、たぶんめんどいを超えて、だるいになるので。

森上:そういうことね。タイトルの「めんどい」の定義がそこのレイヤーにあるわけですね。

岸田:僕がむちゃくちゃ意識したのは、この本を手に取った人が、めんどいって言いながら、うれしそうっていうことですね。なので、めんどいって本来はネガティブな言葉なので、体験したくないはずなんですけれども、なぜかこの本においてのめんどいはみんな、楽しそう。そういう言葉って結構実はあるんですよ。例えば「めんどい間違い探し」もできるし、「しんどい迷路」っていうのも作れるなと思って。

森上:しんどいね。なるほど。

岸田:あと、『ミッケ!』って、あるじゃないですか。「ミッカラナイ」って、どうかなって思ったりとか。

森上:なるほど。

岸田:その中で市場調査をしていくと、やっぱり間違い探しってゲームの中の王様なんですよ。っていうのは、おじいちゃん、おばあちゃんたちの懸賞雑誌の棚っていうのがあって、そこの王様が間違い探しなんですよね。

森上:なるほど。クロスワードとかじゃないんだ。

岸田:クロスワードよりもやっぱり間違い探しが売れていて、間違い探し市場があるんだなと思ったのと、あと、これは本当に僕の仮説ですけど、間違い探しって、かなり人の深層心理に刺さっているんですよね。つまり、A子ちゃんとB子ちゃんのどっちが可愛いかを……、例えがよくないなあ……。

森上:(笑)。

岸田:まあ、いいや。

森上:ちょっとあぶないかな(笑)。

岸田:まあでも、A子ちゃんと、B子ちゃんのどっちがかわいいかってなったときに、自分の中で、2人の違いを探すわけですよ。そして違いを探した上で、自分の好みに合うことを探す。で、生きているとその連続で、例えば好きな職種を見つけるのだって、言ってしまえば間違い探しだし、今日食べたいものを探すことだって間違い探しだしっていうので、間違い探しって相当深層心理に刺さっているっていうのがあって、これはかなりでかい市場だなというふうに思って、その辺までは結構設定してスタートさせたって感じです、制作を。

森上:いや、すごいですね。なるほど。そこまでの深掘り仮説と、検証しながらも……、まあ、最終的には出してみないとわからないっていうのはあると思うんですけど、岸田式の分析力、その分析の仕方を含めて、すごく興味深い。勉強になるなと。実際、年齢層を問わず、ニーズがあるっていうことが見えたっていうことですよね。そこがまたすごいなと思って。

岸田:まあ、でも毎回ニーズが見えてやっていて失敗しているので、成功したからこの会話が成立しているだけで。

森上:(笑)。

岸田:毎回、見えているので。だいたい、外れていることが多いので。もう結果論でしかないんですけど。

森上:(笑)。間違い探しに関してうかがって、あーなるほどと思ったのが、間違いを見落としたとするじゃないですか。簡単なところとかを見落としたとしても、そこに対して自分ができなかったとかっていうのはないんだけど、例えばクロスワードとかになってくると、答えが導き出せないと完全に烙印を押されたみたいな感情があるのかなって。間違い探しは、傷つきが弱いかもって思いましたね。

岸田:確かに。手軽さは一番でかいかもしれないですね。

森上:そうですよね。答えを絶対に導き出さなきゃいけないわけでもないと言うか、間違い探しくらいだと。

岸田:ルール不要感もすごいんですよ。

森上:そっか!

岸田:なぜか右と左に違う絵が並んでいると、人は間違い探しを始めるんですよね。

森上:(笑)。

岸田:そこがおもしろいなあと思って。

森上:イラストレーターさんへのオファーは、「何個間違いを作ってくれ」っていう感じでお願いするんですか?

岸田:そうですね。もう台割で、この問題は30個。で、30、40、50、60、70って、10個ずつ増えていって、最終的に100個の間違い探しまでやる。

森上:すげー(笑)。

岸田:もう100個の間違い探しの問題とか、まじで右と左は違う絵ですよ。

森上:違う絵ですよね(笑)。いやー、おもしろい。なるほどね。そういう意味では、ぶっ飛んでいるね。

岸田:ぶっ飛んでいますね。

森上:最後のほうは、間違いもくそもないっていうぐらい、間違えだらけなんですもんね。

岸田:でも、これはただの仮説なんですけど、主婦層とかってやっぱり間違い探し何個って言われた上で、潜在的に「じゃあ、一個の間違いはいくらか」って、計算しているはずなんですよ。

森上:ほうほうほう。

岸田:お母さんたちが買う本なので、いわゆる主婦層ですよね。そうなったときに、この1冊買えば、1211個も間違いが解けるんだってなると、そのへんの費用対効果もかなりいいはずっていうのがあって。それはあるかもしれないです。っていのうは、児童書を見ているとやっぱりおもしろくて売れているなぞなぞ本とかって圧倒的に問題数が多いんですよ。

森上:あー、なるほどね。数なんだ。

岸田:そう。帯とかに付いているキャッチが「1000問収録」とか、本当に数なんですよ。

森上:やっぱりコスパ感とか、コスパいいなと。

岸田:たぶん。あれは親への訴求なんでしょうね。

森上:なるほど。その共通点は勉強になるな。そこの市場は確かにその可能性あるかもしれないですね。

岸田:あるんです、あるんです。

読者層、ベネフィットに固執しすぎると、ベストセラーは生まれない

森上:いや、すごいなあ。おもしろい話がいっぱいあるなぁ。これ、飲みながらだったら、ずっとやってんだろうっていうぐらい、ずっと聞いていたいんですけど、ちょっと時間もないのですが、もう1つ、お聞きしたいことがあるんですけど。『私はただ、「生きてる~!」って叫びたいだけだったんだ』っていうのは、スピですか?

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岸田:はい。これはスピです。(森上さんと)共通の知り合いである、(出版プロデューサーの)西浦さんから舞い込んで来た企画でございます。

森上:あ、そうですか。

岸田:西浦さんって、数少ない本物の出版プロデューサーですよね。

森上:僕もそう思います。あの人は出版プロデューサーって名乗っていいと思います。

岸田:名乗っていいですよね。あの方からのご紹介なので、やっぱり仕事は人で決めたいなと思っているので、西浦さんから来た仕事なら、もうぜひやらせてくださいということで、やることになったんですけど。スピリチュアルなんですけど。

森上:著者さんが、結構自分のことをバンバン言っている感じの内容なんですか?

岸田:これは、完全に小説なんですよ。

森上:小説なんだ。

岸田:はい。スピリチュアルなんだけど、スピに見せない工夫っていうのをかなりやっていて、例えばすみれちゃんの『かみさまは小学5年生』は映画のパッケージに見えるように作ったんですよ。

森上:確かに、映画のポスターみたいだった。

岸田:そうそう。で、本を読んだ時の出口を幸せになるだとか、お金が舞い込んでくるとか、そういうベネフィットにせず、完全に感情。どんな感情になれるかっていうところを最初のゴールに設定することで、読者層をスピリチュアルから……。
これはかなり僕の中での最大のポイントかもしれないですけど、編集者さんが「読者層、読者層」言っているんですけど、あの理論がかなり嫌いで、僕が著者さんから、「読者層ってどうしたらいいですか?」って聞かれたら、毎回答えるのは、「読者層はみんなにしてください」って言っているんですよ。やっぱりみんなに刺さらないと意味がないので、もちろん最初の書き始めは誰のためっていうのでもいいんですけど、最終ゴールはみんなのための本にしなきゃ意味がないので、その辺を心掛けながらこの本も作ったっていう感じであり、かなり文芸書に見えるかたちにしたっていうこともそうだし、生きている実感がみんな欲しいんじゃないかっていう仮説を立てて、仕事をうまくいかせたいとか、人間関係をうまくいかせたいとか、恋愛をうまくいかせたいとか、その辺をひっくるめてあれって何を言っているのかなって深掘りしたときに、みんな生きている実感が欲しいだけなんだないうところにたどり着いて、それを企画の軸にしたっていう感じです。

森上:なるほど。今、お話を伺っていて、何個もポイントがあったと思うんですけど、その中でも1番あるなと思ったのは、ベネフィットを求めちゃうってあるじゃないですか、ビジネス書とか、人文、心理とか含めて。「この本は何に役立つの?」とか。そこを求めちゃうところの危険性っていうのはあるなあって感じましたね。

岸田:そうそう。まさにそうで、例えばですけど、「映画を見に行く人は、金持ちになりたくて、その映画見に行きますか?」っていう話なんですよ。

森上:なるほど。わかりやすい。

岸田:でも、なぜか本だけはそれをみんなやっちゃう。だからこそ、読者層を狭めちゃうんですよ。

森上:なるほどね。

岸田:もちろん、あえて狭めることもありますけど、ベネフィットを狭めて、読者層をガチガチに固めて、この人たちには完全に売り切るって決める本もありますけど。

森上:届くべきところにちゃんと届けるっていうね。その作り方もありますよね。

岸田:でも、それじゃあ10万部いかないじゃないですか。10万部いくためには、そういうベネフィットではなくて、いかにその本で心を動かせるかっていうのは、かなり僕の中ではポイントにしているところかなと思います。

森上:なるほど。いや、いいお話ですね。これはじゃあ、その1人の主人公のお話になるわけですね。生きる実感というか、そのあたりを……。

岸田:そうですね。この企画のおもしろさで言うと、主人公が元エリート営業マンなんですけど、ある日整骨で事故に遭い、寝たきりになっちゃうんですよ。で、ベッドの上で……。ここからちょっとスピっぽくなっているんですけど、目の前に魂的な存在があらわれて、そこから対話が始まっていくっていうような、その辺は王道なんですけど。一方で王道じゃない部分で言うと、最後まで一歩もベッドから動かないんですよ。「ベッドの上から動かずに、人は幸せになれるのか」っていうことを提案して物語が始まるっていう感じで。

森上:なるほどー。主人公は女性ですね?

岸田:女性です。なので、帯に「生き方を変えるのに、一歩も必要ない!」とか、サブタイトルで「半径0メートルの幸福論」とか、その辺の言葉を散りばめています。

森上:なるほど。意図はそこにあるんですね。自分との対話と言うか、内観と言うか、そこで幸せを感じることができるかどうかっていうことをずっとやっていくっていう話ですね?

岸田:そうですね。完全にベッドの上だけで、それをやり続けるっていう感じで。このベッドの上から動かないっていうのは何を表しているかっていうと、人は行動したくないわけですよ。そことかけています。行動したくない読者と、ベッドの上から動けない主人公をかけていて、行動しなくても生き方って変えれるよっていう提案をしているっていう感じですね。

森上:なるほど。そこはストーリーの中で内観の大切さみたいなものが、いろいろとあるわけですね。自問自答的な話があったりとか。

岸田:そうですね。

森上:いやー、これは読んでいるだけで、自分が主人公になりきって、そこで見えてくるものがありそうですね。

岸田:そうですね。読んでいるだけで、タイトルがもう答えなんですけど、生きているって叫べるようになる本っていう感じですね。

森上:なるほどね。これ、初速もなかなかいい感じだという話が。

岸田:今、発売して1ヶ月半経つんですけど、2万6千まできていて。

森上:素晴らしい!

岸田:ここからさらに10万ぐらいまでいけたらいいなというふうに思っていて。

森上:そこはまたいろんなサンマークさんの秘密の販促ノウハウが炸裂するんでしょうね。

岸田:(笑)。販促ノウハウなんて何もないですけどね。

森上:何もないって言っちゃうと(笑)。いやー、楽しみですね。渡部さん、どうですか?

渡部:おもしろいですね、編集論と言いますか。時間が短いのであれですけど、本当にライブ配信で飲みながら、編集者の人がたくさん集まって、いろんな本に「あーだ、こーだ」言っていたら、おもしろいなって。

森上:もう岸田さんのトークだけで、一晩いけますよ。3時間はいけます。

岸田:いやいや。

企画を通すためにやっていること/本意を持ち続けた本づくり

渡部:ちなみにちょっと気になったんですけど、うちでこの本の企画を出したら、通るんですか?

森上:基本的には、なかなか大変だと思いますね。うちの社員のほとんどが、ベネフィットを求めちゃうんで。

岸田:あー、そうですよね。

森上:でも、そこを乗り越える、挑戦する環境と、そういうふうに持っていこうと説得できる岸田さんの編集方針、そういったものを含めた説得力がこれを実現しているので、だからうちの問題というよりも企画者の問題だと思うんです。

渡部:アプローチの仕方とかがすごく違うなっていうのは、聞いていて思ったところでした。

岸田:森上さん、それで言うと、実はいやらしい、腹黒い話……。

森上:サンマークいち腹黒い。

岸田:(笑)。あの、企画会議はベネフィットで行くんですよ。

森上:まじですか……。すげーな。徹底していますね。

岸田:企画会議、営業部会議はベネフィットで行くって感じですね。

森上:それ、しゃべっちゃっていいの(笑)!?

岸田:全然いいですよ(笑)。

森上:(笑)。

岸田:やっぱり企画って、企画を通すための企画書の書き方が……。

森上:あるある。それをやってんだ。

岸田:はい。でも一方で、本を買うときの読者の深層心理って、もちろんベネフィットで買うこともいっぱいあるんですけど、一番重要なのって、血迷わせられるかどうか。1500円の本なので、割と衝動買いに近いんですよ。ということは、その人を「なんか心が動かされる、なんか変われそう気がする」って思わせたら勝ちっていうことなので。

森上:やっぱり企画会議のときとの使い分けと言うか。でも、本質はベネフィットじゃないよねっていうのは本当におっしゃる通りだと思うんですね。本のジャンルとかテーマにもよりますけど。その辺のお話は非常に参考になりますね。まずうちの編集者全員にこの放送を聞いてもらおうかなと思っています。

岸田:いやいや。でも、ベネフィットでやったほうが企画を立てやすいので。

森上:そう。通りやすいしね。でも、本当にそこでいいのっていう話は常にありますよね。

岸田:そうなんですよ。そこは僕も問い続けたいと思っているし。

森上:しかも読者のみなさんも、ベネフィットだけじゃないでしょ、っていうのも持っていますもんね。

岸田:そうなんですよね。ベネフィット、ベネフィットになったら、「じゃあ、なぜ『(窓ぎわの)トットちゃん』(※注:世界で最も多く発行された自叙伝としてギネス記録として認定)はあんなに売れたんですか?」っていう話なので。

森上:そうですね。ぐうの音も出ないですね。そこですよね。

岸田:何にも伝えていないじゃないですか、トットちゃんって。

森上:後付けですよ。すべて。

岸田:そう。後付けなんです。

森上:あれが売れた理由は、みんな後付けだと思う。いやー、勉強になりました。この場はもう時間なので締めますけど、ぜひ今度は食事でもしながら。

岸田:ぜひぜひ。

森上:久しくもう2年以上お会いしていないので。ぜひ、またお時間ください。

岸田:ぜひぜひ、いつでも大丈夫です。

森上:本当にありがとうございます。渡部さん、こんな感じで。

渡部:はい。では、岸田さんから『ぺんたと小春のめんどいまちがいさがし』シリーズと、『私はただ、「生きてる~!」って叫びたいだけだったんだ』、こちらの本についてどのような意図で企画をしていらっしゃったかみたいなところを、かなり深くお話していただきました。岸田さんは売れたから語れるっていうお話をされていたかと思うんですけど、『私はただ、「生きてる~!」って叫びたいだけだったんだ』は、まさにこれから売れていくわけですので、岸田さんの考え通りにいくのかっていうのをチェックする意味でも、リスナーのみなさんにはこの本を追いかけ続けてもらえるといいのかなと思いました。ぜひ読んでみてください。最後に、岸田さんからリスナーのみなさんに一言いただいて、終わりにしようかなと思います。

岸田:バイトするならタウンワーク!

森上・渡部:(笑)。

森上:何ですか、それ(笑)。

岸田:一言って……。

森上:(笑)。

渡部:では、バイトするなら、タウンワークということで、締めてもらいました。昨日と今日2回にわたってご出演いただきました。本当にゆるい感じのところと、奥深いところと両方役に立ったんじゃないかなと思いました。それでは岸田さん、森上さん、2日間にわたり、ありがとうございました。

岸田:ありがとうございました。

森上:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)


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