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なぜ哲学はAI時代の最強の武器なのか?

フォレスト出版編集部の山田です。

近年、AIの技術はどんどん進化し、私たちの生活を一変しようとしています。そんな中、AI時代のビジネスパーソンの武器として「哲学」が注目されています。しかし、将来AIが人間の仕事を奪う可能性が示唆されているなか、なぜ哲学が有力なツールになり得るのでしょうか。

本記事では、なぜ哲学はAI時代の最強の武器なのかについて『アイデアの着眼点』(小川仁志 著、フォレスト出版)からご紹介させて頂きます。

本書では、哲学は人間がAIに負けないおそらく唯一の思考であると著者は断言しています。なぜなら、哲学とは「全人格的営み」だからだそうです。全人格的営みというのは、人間の意思や欲望、直観といった人間の意識的な思考とは関係ない非思考的な要素から判断することです。

この点に関して、著者は次のように説明しています。

私が非思考的要素と呼ぶものが不可避的に影響しています。本能、直観、身体、感情、経験、意志、欲望といった意識的な思考とは異なる要素が、人間の場合は思考に影響を与えるのです。
たとえば、どういう視点で捉えたいとか、どのようにまとめたいとかいうときに、どうしても無意識のうちに直観や感情、欲望といったものがその判断を左右しています。これによって哲学思考の結果は人それぞれとなるわけです。
つまり、哲学思考の結果として出てくる物事の本質は、人によって異なるのです。哲学に答えはないといわれますが、それは唯一絶対の答えがないというだけで、その都度の答えは存在します。
また、後ほど詳しく述べますが、この非思考的要素のために、AIには哲学思考をすることができません。AIには今のところ意志も欲望もないからです。

一般的に哲学というと、ある対象について深く考えることというイメージがあるかもしれませんが、直観や感情、意志といった非思考的な要素なしに哲学することはできないというわけです。

そもそも哲学とは、「物事に新たな意味を見出すこと」にこそ意義があるのでだと著者は言っています。よく「当たり前を疑う」とか「物事の本質を探求する」とかいわれますが、哲学のこの側面は見逃されがちだそうです。

物事に新たな意味を見出すとは、「常識の枠を超えて考えること」を意味します。言い換えると、普通に捉えているとなんでもないものを、あえてその普通の枠を超えて、異なる捉え方をしてみるということです。

私たちが普段物事を考えるというときは、基本的に常識の枠内だけで考えていると、著者は指摘しています。しかし、常識の枠を超えて考えることで、今まで思いつかなかったような新しい発想を生み出すことができます。つまり、哲学は問題解決をするだけでなく、何か新しいものを創造することを可能にします。

ここに、AIと人間の決定的な違いがあります。

たしかに、AIの論理的思考はもはや人間の能力を超えていますし、アートや文学でさえ手掛けるほどになっていると著者は言っています。しかし、AIはいくら課題解決することができても、課題を発見することはできません。なぜなら、上記のとおり、AIは意志や感情をもっていないので、能動的に意味を見出すことができないからです。このことから、著者は哲学とはAIに負けないおそらく唯一の思考であり、哲学で生み出したアイデアに関しては、AIに負けることはありません、と断言しています。

以上、AIに哲学はできない理由についてご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

よくAIが人間の仕事の奪うと言われるので将来に不安を感じる方も少なくないと思います。しかし、AIにはない人間だけの非思考的要素で判断する力を哲学で鍛えることによって、AIに脅かされるリスクを減らせるのではないでしょうか。

本書には、哲学の視点で物事を考えるための方法がイラスト付きでわかりやすく解説されています。もしご興味ありましたら、ぜひご参考になさってください。

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