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リモートワーク時代に「現場丸投げのOJT」では、もうヤバい?

こんにちは。
フォレスト出版編集部の寺崎です。

「人材を育てるのが難しい」
「自発的に学習して成長してほしい」
「自ら生産性と仕事の質を高めてほしい」

こんな悩みを抱える上司の方々に質問です。

「人材を育成するために実際にはどんなことをやっていますか?」

人材育成においては、「OJT(On the Job Training)」と呼ばれる「現場で仕事を任せながら教育する」方法が一般的です。

ただ、どうでしょうか。

実際には以下のような「現場丸投げのOJT」がはびこっているのが現状ではないでしょうか?

①人事が部署の管理職に入社・転職・配属したAさんを預ける。
②さらに部署の管理職がAさんの先輩社員にあたるメンバーにAさんを預ける。
③先輩社員が仕事を通してOJTする。

「③先輩社員が仕事を通してOJTする」の成果をマネジャーが振り返り、OJTのやり方を改善する……といったPDCAをしっかり回している組織もあるかもしれません。

ただ、実際には、「新しく入った子、どうよ?」みたいな感じの雑談トークのレベルで終わり、現場に丸投げしたままというケースのほうが多いと想像されます。

これではなかなか人材を育てることはできません。

ましてや、リモートワーク、テレワークが普及するなかで、「社員がちゃんと仕事しているのかわからない」ことを不安にする経営者が増えているそうです。

「みんなで集まれないから、新人研修ができない」

そんな悩みもちらほら耳にします。なにかいい方法はないだろうか。

そうした問題意識から生まれたのが、新刊『自分で考えて動く社員が育つOJTマネジメント』(中尾隆一郎・著)です。

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OJTの世界で普及してきた「1on1」の問題点

近年、OJTの世界では目まぐるしい進展が見られています。

その一つが「1on1」です。

1on1 とは、上司(マネジャー)が部下の育成を目的として行う定期的な個人面談です。1on1 ミーティングともいいます。現場に丸投げせずに、マネジャーがメンバー一人一人と対峙してOJTをします。

1on1 はシリコンバレーのIT企業が実施して広まりました。日本でも2012年から1on1を導入し、成功事例としてよく目にすることが多いヤフーをはじめ、現在では多くの企業が1on1を活用しているようです。

特に2017年に『ヤフーの1on1』という本が出版されて以降、具体的なやり方やその成果が広まり、導入した会社が多いようです。

しかし、この1on1にも次の4つの問題点があることがわかりました。

①時間問題
②相性問題
③能力問題
④形骸化問題

▼詳しくはこちらの記事参照

この1on1の問題点を全部一気に解決する手法があったのです。

それが「グループコーチング」です。

グループコーチングは毎週1時間、ファシリテーターと4人のメンバーの、計5名で行います。

グループコーチングは最新型のOJTとして脚光を浴びつつありますが、なによりZOOMなどのツールを活用するため、冒頭の「リモートワーク時代のマネジメントの難しさ」が劇的に解消されます。

さらには、テキストデータをベースにした協働ツールを用いることで、最終的にはAI(人工知能)のテキストマイニング機能をフル活用して「メンバー個人の取扱説明書」をつくることもできます。

メンバー個人のトリセツができれば、適切な人材配置、人材採用、人材育成、人材発掘に活かせるわけです。

AIで個人の取扱説明書をつくるってどういうこと?

本書で解説される「AIによる個人のトリセツ」はIBMのワトソンというAIツールを活用します。なんとこれ、誰もが無料で使えるんです。

図18は、IBM社が提供するテキストからその人の特性を推定するAIツール「Personality Insights」(https://personality-insights-demo.ng.bluemix.net/)のデモ画面で、スピーチのテキストをもとに分析したオバマ元大統領のサンプルです。
 Big5 と呼ばれる個人の特性と「欲求」「価値」を加えた情報がアウトプットされているのが分かります。図18の上の図はそれぞれの要素をサンバーストチャートにしたものです。
 グループコーチング(GC)で蓄積したフォーマットのテキスト情報を使って、このようにメンバーの特性を分析することが可能となります。
 Big5 の5つの要素は、「協調性」「誠実性」「外向性」「情緒不安定性」「開放性」からなります。

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 それぞれの要素が表しているのは、次のような傾向です。

「協調性」は、他人に対して思いやりを持ち協力的になる個人の傾向です。
「誠実性」は、組織的な思慮深い方法で行動する個人の傾向です。
「外向性」は、他人との付き合いで刺激を求める個人の傾向です。
「情緒不安定性」は、神経症的傾向または自然な反応とも呼ばれ、個人の感情が環境に左右される程度です。
「開放性」は、個人が様々な活動の経験に対してオープンである程度です。
 
 これらBig5 の要素は、それぞれの上位要素に対して、下位に6つの要素を持つ階層構造になっています。

「協調性」:1利他的、2協調性、3謙虚さ、4誠実、5共感性、6人を信じる
「誠実性」:1達成努力、2思慮深さ、3責任感、4秩序性、5自制力、6自己効力感
「外向性」:1活発度、2自己主張、3肯定的感情、4刺激希求性、5外向性、6社交性
「情緒不安定性」:1怒り、2心配性、3憂鬱、4利己的、5自意識過剰、6低ストレス耐性
「開放性」:1冒険、2芸術的興味、3情動性、4想像力、5知的好奇心、6自由主義

 これら性格特徴に加えて、ニーズとバリューを把握することができます。ニーズは、個人の共感を呼ぶ商品の側面を説明します。このニーズには、下位に12個の特徴ニーズがある階層構造になっています。

「ニーズ」:1興奮、2調和、3好奇心、4理想、5親近感、6自己表現、7自由、8愛、9実用性、10安定性、11挑戦、12構造

 同じくバリューは、個人の意思決定に影響を与える動機付け因子を説明します。このバリューも階層構造になっていて、5つの価値があります。
 
「バリュー」:1他人の役に立つ、2伝統、3快楽主義、4成功する、5変化許容度

 これらの情報がグループコーチングのフォーマットのテキスト情報から把握できるのです。まだ研究段階ですが、時期や環境によってテキストマイニングの結果も変わるかもしれません。この情報を参考に、その方の人材配置をすることでができれば、異動等によるミスマッチが起きにくくなるでしょう。
 また、採用活動でも、インターンシップなどを行っている時に、GCを実施する、あるいはフォーマットでセルフマネジメントを実施することで、新人の特徴を把握でき、配属先の仕事とのミスマッチが起きにくくなるでしょう。当然、新人研修でも同様の成果が期待できるはずです。

実際にこのツールに自分の蓄積したテキスト(たとえばnoteの記事とか)を入力して検索結果を見てみると面白いと思います。

▼テキスト情報から分析するAIツール IBM「Personality Insights」

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【操作手順】
①「 テキスト入力」を選択
②「 任意のテキスト」を選択して空欄にテキストを入力する
③「 分析」をクリック→結果が表示される
④ サンバーストチャートを表示する場合は
 「 結果をサンバーストチャートで見る」を選択

このように、1on1、グループコーチング、AIツール分析を活用した、新時代のOJT手法をまとめたのが、昨日発売された新刊『自分で考えて動く社員が育つOJTマネジメント』(中尾隆一郎・著)です。

著者は人材育成のプロフェッショナルとして、社員教育に熱心なリクルートグループで活躍した中尾隆一郎さん。累計5万部を突破した『最高の結果を出すKPIマネジメント』を書かれた中尾さんです。

現在はリクルート時代に現場で実践して磨き込まれた人材育成メソッドをベースに、現在では経営コンサルタントとして、さらに深化を遂げたまさに「OJTの最発明」といえるメソッドを実践されています。

リクルート時代は住宅領域の新規事業であるスーモカウンター推進室長として6年間で売上30倍、店舗数12倍、従業員数を5倍にした立役者。

本書で紹介する「最新型OJT」を導入した企業は、社員ひとりひとりが自ら考えて行動し、業務改善を繰り返し、結果として業績を上げ続ける組織に生まれ変わっています。

御社もそろそろ「現場丸投げの非科学的なOJT」から卒業しませんか?

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▼編集後記

あれは・・・緊急事態宣言でステイホームしていたときのこと。

中尾さんがWEB講義のschoo(スクー)に登壇することが決まったため、先方の担当者交えてZOOMで打ち合わせをしていました。

「どんなテーマで講義してもらうか?」

先方の担当者からは中尾さんの既刊『ビジネススキル・プリンシプル』の内容をベースにした講義にしたいと提案がありました。

ところが、中尾さんがいきなりこんなネタをぶっこんできたのです。

「うーん・・・それでもいいんだけど、いま僕ね、OJTに凝ってるんですよ。かなりいろいろ実験的にやってて、実際にたくさんの企業に導入してるんだけど、ものすごい効果あるの」

「OJTって、オン・ザ・ジョブ・トレーニングのOJTですか?」
「そう」
「ほぉ・・・(いまさらOJTって言われてもなぁ……)」
「うん、いわゆるこれまでのOJTとはぜんぜん違いますよ。これね、いま資料作ってるところなんで、見てみてください」

・・・と、画面共有してくださいました。

すると、なんとその内容が超最先端!

いわゆる「仕事の現場で先輩社員が汗かきながら手取り足取り教えてくれるOJT」ではないんです。

中尾さんが提示してきたのは、これまでにないOJT手法でした。

しかもZOOMやTEAMSをフル活用するので、めちゃくちゃリモートワークでのマネジメントに向いているんです。

***

この日の打ち合わせには、我らが編集長も参加していました。

Schooの講義テーマは結局「OJT」ではなく、別のテーマになったのですが、打ち合わせが終わったあと、さっそく編集長に電話します。

「さっきのOJTの話、面白くない?」
「いや、すごい面白いと思う。すぐに企画にしたほうがいいよ!
 他社に取られる前に」
「だよね!いますぐ中尾さんにメッセージするわ」

・・・てな感じでスタートした企画でした。

ぜひ、お手に取ってみていただけると嬉しいです。


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