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第三次世界大戦はもう始まっている!?

フォレスト出版編集部の寺崎です。

参院選が終わりました。大方の予想通り、自公の圧勝で終わった選挙でしたが、みなさんはどのような感想をお持ちでしょうか。

安倍元首相殺害という衝撃的な事件もあって、前回選挙より投票率は少しだけ上がったようですが、向こう3年間は「選挙」という手段で国民が政治参加できないという瀬戸際にもかかわらず、「相変わらず投票率、低いなー」と正直思ってしまいました。

衆議院に続いて、参議院でも改憲勢力が3分の2を確保できましたので、憲法改正の発議が可能となります。いよいよ日本人初の国民投票が実施されそうです。いや、おそらく確実に実施されるでしょう。

※憲法改正の問題についてはこちらの記事をご覧ください。

清和会のボスである安倍さんが亡くなり、今後は岸田さんが属する最古の派閥・宏池会(池田勇人直系)の天下となるわけです。

どうなることでしょうか。

さて、今日は「日本の民主主義と戦争」について考えてみます。そのことについて考える材料となるのが、たびたびご紹介してきた苫米地博士の名著『日本人だけが知らない戦争論』です。本書から一部を抜粋してお伝えします。

民主主義を謳歌できない日本人の不可解な習性

 戦後の日本人は、民主主義を手に入れました。
 権力者の金儲けのために自分たちが戦争に利用されるのが嫌なら、私たちはその意志を投票で簡単に示すことができます。
 私がいつも不思議に思うのは、政権の悪口をさんざん声高に叫んでいる人が、肝心の選挙に行かなかったり、行ったはいいが同じ政策の別の立候補者に投票したり、ぜんぜん自分の意志を示そうとしないことです。
 中国の人民のように、選挙権を持たず、民主主義がないならば、ただ不満の声を上げるしかないでしょう。ところが日本人は選挙権があるにもかかわらず、それを行使していないのです。これではせっかく手に入れた民主主義も、まったくの台無しです。
 日本人の不思議な態度は、メディアについてもいえます。
「最近のマスコミは、どうしてこんなに翼賛報道ばかりしているんだ」と苛立つ人が増えていますが、それでいて新聞は読みつづけているし、テレビも観ています。
 これも私がよく指摘することですが、そもそもマスコミは権力者が国民を洗脳するためにつくった装置です。権力者に都合の悪いことを、彼らが国民に伝えたことは過去に一度もありません。つねに権力者の意向に沿ったこと、つまり巧みな嘘を流しているだけです。私たちはわざわざお金を払って、その嘘を観たり読んだりしているわけです。
 その点を、マスコミが真実を伝えないといって怒っている人は誤解しています。
 NHKの報道が世論操作に使われていると思うなら、それを暴けばいいし、そんな手間をかけていられないというなら解約すればいいのでは? 新聞にしても同じ手で対抗できるはずです。
 テレビと新聞を捨て、自らインターネットで検索し調べたほうが、よほど世界の動き、世の中の動きがわかります。これまで信じていた世界観が変わるような情報にも、出会えることでしょう。
 また、消費社会では、買わないというのは最も民主的な抗議行動です。
 みなさんがいまの政策に不満を持つなら、政治献金を復活させた大企業、あるいは政府の審議会に人を送っている企業の製品やサービスは、ボイコットすればいいではありませんか。
 買わないことで抗議のメッセージを送る簡単な方法は、これまでの消費パターンを変えてしまうことです。
 たとえば、いつも利用するスーパーマーケットやデパートでの買い物をやめる。生活に困ると思うかもしれませんが、生鮮食料品や日用品などあらゆるものを、インターネット販売を行う地方の生産者やお店から購入するのです。
 直販窓口がなければ、電話で問い合わせます。たいていは、喜んで売ってくれます。
 政府の方針に賛成できないのに、政府を支える企業の製品やサービスは相変わらず利用するという態度をつづけているから、日本人はいつまでたっても民主主義が持つ力に目覚めないのです。

苫米地英人『日本人だけが知らない戦争論』より

うーん・・・そうはいっても、なかなかそんな行動をとることはできませんよね。私たちは「利便性」と引き換えに「自由」や「人権」を奪われているのかもしれません。でも、そのことに気づかず、暮らしています。

いよいよ導入されそうな「経済的徴兵制」

 いまの日本人を洗脳し、戦争に向かわせることは、非常に簡単です。
 理由は、たいがいの人は頭のてっぺんからつま先まで、お金の論理にどっぷりと浸かっているからです。
 たとえば、いま一部識者の間で問題視されている経済的徴兵制
 みなさんは、これがどういう仕組みのものかご存知でしょうか。
 かりにAさんが長期間の失業状態にあり、どうしようもなくなって生活保護の申請に役所の窓口を訪ねたとします。すると、「自衛隊に行けばけっこうな給料がちゃんともらえるし、いろいろ身分保障もつくから、一度、面接に行ったらどうですか」と促され、「ちゃんと生活できるなら、いいことだ」と自分でもよくわからないうちに兵役についてしまう。
 これが経済的徴兵制といわれるものです。すでに政府の審議会では、育英資金の返済免除と引き換えに自衛隊に入隊するインターンシップ制度をつくってはどうか、という具体的な意見が出ています。
 経済的な弱みにつけ込んで兵役を志願させるのはたしかに問題ですが、私はこうした手の込んだやり方を考えるまでもないのではないかと、危惧しています。
 たとえば、自衛隊の隊員の給料を一般サラリーマンよりも少しばかり高くするだけで結構な数の若者が集まってしまうのではないでしょうか。
 入隊すれば、高卒でも大卒サラリーマン並みの給料がもらえ、資格が取得でき、規律正しい生活が送れ、まじめに勤めあげれば除隊後にもちょっとした特典がつく。そういう条件をそろえれば、ブラック企業で働くよりいいじゃないかと賛同する親は必ず出てくるでしょう。
 自衛隊はこれからアメリカ軍につき従って、あるいはアメリカ軍の代わりに、紛争地域に派遣されることが予定されていますから、彼らははっきりした自覚のないまま、前線に送られることになるでしょう。
 お金をもらうために、何の恨みもない、見ず知らずの相手を、「アメリカが敵だと言っている」という理由だけで、殺しに行くわけです。
 前線では、想像以上にむごい経験をするかもしれませんが、逃げ出すわけにもいきません。ようやく除隊になると、今度はPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症したり、特殊な病気になったりで、一般社会にうまくなじめないということがしばしば起こるわけです。アメリカでも同様の事態が起こっており、社会問題になっています。
 それでも日本では非正規雇用が拡大するし、ブラック企業ばかりでいい仕事はありませんから、自衛隊が入隊志願者を確保できないということにはならないでしょう。
 もしも政策的にこういう方向に誘導するとすれば、これは民主主義国家でも何でもありません。国民をわざと経済苦に追い込み、その弱みにつけ込んで国家目標を達成しようとする方法ですから、憲法が保障する基本的人権にも抵触すると思います。
 しかし、入隊を志願する側からは、おそらくほとんどクレームは上がってきません。
 リスクが高く苦しい仕事だけど、稼げるし、まだましな仕事だ、という気持ちが国民の間に起こるからです。これは、原発の下請け作業に送り込まれる労働者たちが抱いている感覚に、非常によく似ています。
 ただし一番問題なのは、そうやって集めた経済軍人は、本当の戦争の時に役に立たないということです。見た目だけの軍は作れますが、強い軍はこのようなやり方では絶対につくれません。

苫米地英人『日本人だけが知らない戦争論』

この本は2015年初版のため、やや古い箇所があります。

「経済的徴兵制」の危険性を指摘されていますが、今回の参院選の結果を受けて、いまや憲法改正によって「戦争ができる国」に作り替えられようとしています。したがって、経済的徴兵制という回りくどいやり方をせずに、合法で国民を徴兵できる可能性が高まってきました。

憲法が保障する基本的人権にも抵触する」の部分も基本的人権の重要性が薄まる憲法改正においては、いささかナンセンスな一文となる可能性があります。

今後予想される破滅的なシナリオ

 世界のパワーゲームによって戦争が起こるのは事実ですが、過去の歴史が示すのは、戦争を起こす本当の黒幕は、ヨーロッパを中心とした大銀行家ということです。
 歴史を振り返ると、19世紀までは、国家間で行われる戦争は主にヨーロッパに限定されていました。そして20世紀になると、その範囲はアジアや中東を巻き込んで世界的に拡大していきました。
 戦争地図の変遷を歴史的に眺めていくと、つねにヨーロッパの大銀行家の支配圏で戦争が起こっていることがわかります。彼らの支配の届いていないところでは、一方的な侵略と植民地化の波が起こったにすぎません。
 ヨーロッパの大銀行家の支配圏の拡大は、世界の拡大そのものでした。後に詳しく述べますが、最初、支配圏を拡大する方法は、一国の通貨を牛耳ることで行われました。
 そうやって一つひとつ、勢力範囲を拡大していったわけです。
 彼らにとっては、支配圏こそが世界そのものでした。
 そして、その世界の拡大とともに、戦争のグローバル化と呼ぶべき状況が生まれました。
 アジアや中東に近代国家が生まれ、世界が広がると、そこで近代的な戦争が起こりました。効率的な殺人兵器を装備して、どこに自国民をこれほど犠牲にする理由があるのか理解できないような戦争が、あちこちで起こるようになります。
 それは、その昔に行われた部族間の領土争いや財宝の奪い合いとは似ても似つかぬ戦争で、結果的にはつねに大量殺戮と大量破壊に帰結しました。
 戦争に勝った国の国民が豊かになるかといえば、けっしてそうではなく、儲かるのはヨーロッパの大銀行家が所有する多国籍企業だけです。
 そのため、戦勝国の国民の間でも不満が広がりました。
 どんな国の国民も、自足さえしていれば戦争をしたいという考えは起こりません。好戦的といわれるアメリカ人にさえも、ふだんはつねに厭戦気分が充満しています。彼らは痛い目にさんざん遭って、知っているのです。戦争をしても、ひとつもいいことはない、と。
 それでも戦争が起こるのは、支配者がそれを仕向けているからです。それは、支配圏に存在する国家同士を争わせることこそが、彼らが営々とつづけてきたビジネスであり、莫大な利益の源泉だからです。
 この構図は、いまも変わりません。

 そして、いま彼らは、それを欲しています。
 なぜなら、どんなにいいビジネスでも、以前ほど儲からなくなっているからです。
 エコノミストの水野和夫氏が指摘するように、先進国は現在、いずれの国も歴史的な低金利状態にあります。金利というのはほぼ資本利益率に一致しますから、いくら資本を投下しても利潤を得ることができない状態に陥っているのです。
 水野氏は、これをもって資本主義の終焉が近づいていると主張していますが、私は必ずしもそうは思いません。国際金融資本が、通貨による世界支配と利益を手放すはずはないからです。
 私には、彼らがこれまで以上に破滅的な戦争を準備しているのではないかという予感があります。そして、少なくとも日本とアメリカは、そのシナリオに沿って動いています。
 その意味で、彼らが歴史的に何をしてきたかを知ることが、日本人が生き方を選択する上で、非常に重要になるのではないでしょうか。

苫米地英人『日本人だけが知らない戦争論』

現代最高の知性と呼ばれる歴史学家のエマニュエル・トッドは、緊急出版された『第三次世界大戦はもう始まっている 』(文春新書)で、「ウクライナ侵攻を仕掛けたのはロシアではなく、アメリカとEUである」と明確に指摘しています。

「これまで以上に破滅的な戦争を準備しているのではないか」と苫米地さんが懸念した事態が着々と進んでいる気がするのは私だけでしょうか。

現行の日米安全保障では、自衛隊にはミサイルや弾薬の兵站がなく、戦争が起きたら米軍が自衛隊に渡す取り決めになっているそうですが、「有事の際に米政府が台湾に武器などを供与する拠点を日本に置くのが望ましい」と、アーミテージ元米国務副長官が表明したそうです。

これはつまり、「東アジア地域で有事が起こったら、ロシアに侵攻されたウクライナと同様に米軍は派遣しない。東洋人同士で戦え」という意思表示の可能性があります(アーミテージはジャパン・ハンドラーとして有名)。

これって、平和憲法の撤廃を含む、いまの戦争ができる国に作り替える憲法改正の動きと完全に合致しているのが怖いです。

『日本人だけが知らない戦争論』
を読むと、「パンデミック→ウクライナ侵攻→安倍元首相の暗殺→自民党一党独裁体制の強化」という一連の映画のような身近なビッグストーリーは、誰かの意志で仕組まれたもののようにしか思えてなりません。

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