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なぜ成功者たちは、こぞって「自己投資」を勧めるのか?

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

お金の使い方には、その人の価値観や人生設計が見え隠れするものです。買い物や貯金、投資など、使い方は人それぞれですが、使い方の1つに「自己投資」があります。経験やスキルアップ、学びにお金を使って、将来のために、自らの経験やスキル、学びを貯めるイメージです。

成功者といわれる人たちがおすすめするお金の使い方としても、「自己投資」は必ずと言っていいほど取り上げられます。お金系、自己啓発系のビジネス書などにもよく出てくるキーワードなので、「今さら言われなくても、もうわかってる!」と食傷気味で、うんざりする人もいるかもしれません。

ただ、「知っている」と「やっている」は違います

知っているけれど、まだやっていない人の中には、「なぜ自己投資をしたほうがいいのか?」の理由が、どこか腑に落ちていない可能性があるかもしれません。やったほうがいいと思っているものの、つい後回しにしてしまうのも「自己投資」です。

そんな「自己投資をしたほうがいい理由」を、ロジカルに、リアルにわかりやすく解説している方がいます。

音声メディアVoicyにて「ワーママはるラジオ」の超人気パーソナリティとして知られるワーママはるさんです。

今回は、ワーママはるさんの新刊『ワーママはるのライフシフト習慣術』の中から、「収入5%の自己投資が、稼ぐ力をつける」を公開します。

「お金の不安」が厄介な理由

 老後に備えて貯金をしていますか? 老後はもちろん、教育費のためにと、目標金額を設定して貯めているでしょうか? 子どもを持つ親になると、急に現実的に必要なお金が見えてきます。
 老後費用で考えてみても、65歳から90歳まで最低限の生活をすると仮定すると、毎月約22万円必要となります(公益財団法人生命保険文化センターデータより)。会社員であれば、公的年金があります。会社員や公務員の場合(国民年金+厚生年金)は、約14万5000円/月(厚労省「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」)もらえると仮定しても、2250万円は必要になります。
 子どもの進学費用を考えてみると、高校生まで公立、大学は私立のよくあるコースでも約900万円かかります。教育費(塾代含めて)は、年々、高額になっているので、こちらの用意も……なんて考えていくと、不安が募る一方です。
 このお金の不安は、なかなか厄介です。日本人はもともと不安に関係するセロトニントランスポーターがSS型(不安型)が60%以上を占める不安になりやすい民族です。ただでさえ不安になりやすいし、それに備えようとする。もちろん備えあれば憂いなしですが、大きな数字を備えようとすると、現在の金銭を常に投資に回したり、取っておかなければいけないと思うようになります。
 すると、短期的なリターンが期待できないものや、目に見えないものに「お金を使うこと」をためらわせてしまいます。
 例えば、自由に使っていいお金が3万円あったとして、明日以降の不安がなければ3万円を使ってみるでしょう。本を買ってみたり、経験として映画を観たり友人と会ったり……。しかし、「将来的にもっと必要になるかも」と不安を抱えていると、「この3万円は使わないでおこう」となりがちです。
「お金の不安がある」→「お金を貯めようとする」→「未来の自分に投資しない」という思考ループに入っていくのです。
「お金を貯める」だけの目的なら、このループは正しいかもしれません。しかし、私たちが賢くしたたかに人生を歩んでいこうと思った場合は、お金を貯める以外の方法も、考える必要があります。

若いときから使うのは、
将来的に効率のいい投資

 若いときにお金を使い、「経験やスキル、学びを貯める」のは、実は将来に向かってはとても効率のいい投資になると考えられます。これを「自己投資」と言います。
「将来、利益を生むことを目的として、今の自分を成長させるために自らにお金や時間をかけること」は、お金と違って数値で測れません。そのため、お金や気持ちに余裕がなかったりすると、ついつい後回しになりがちになります。
 しかし、私は最も効果的な投資は、自己投資だと考えています。数多くの成功者と言われる人々も「自己投資が最大の投資」と言っていますし、金銭的な資産運用よりリターンが大きいため、やるべきだと考えています。

自己投資と資産運用は似ている

 資産運用をするときには、商品を選びます。株、投資信託、債券など、多くのものから、どれがいいか、皆さんいろんな情報や自分が出せる金額、取れるリスクまで悩んで決めます。
 自己投資もこの考え方と同じです。自己投資する価値のあるもの、効果が直接的ではないもの、いろいろな種類があります。

・知識を得る系……書籍を読む。勉強会に参加する。大学院に行く。
・自分を知る系……自己分析ツール(ストレングス・ファインダー、骨格診断など)を使う。アドバイスをもらう(コンサルなど)。
・経験を積む系……運動や健康につながるものを継続する。
・スキルを上げる系……資格取得や語学学習をする。

 自己投資は「金銭的投資」「時間的投資」で構成されています。お金だけでなく、時間も使って学んでいきます。
「時間」が入るのは、お金の積立投資と一緒で、「複利の力」が働くからです。複利とは、「元金で得た利子にもまた利子がつくこと」。
 私たちが自己投資して学んだり経験したことは、初期の頃に比べて年月を重ねるにつれて、ずっと楽に効果的に行なえるようになりますし、経験として積み上がれば返ってくるリターンも大きくなります。
 継続して自己投資している人は、複利の力で積み上がっていくので、30 代、40代と年齢が上がるにつれて大きな差となっていくのは、皆さんも想像できるでしょう。

「攻撃力=稼ぐ力」を高める自己投資の選び方

 では、何に自己投資をしていくか? 世界は資本主義社会ですので、長い目で見て「攻撃力=稼ぐ力」につながるものがいいと考えられます。
 では、「稼ぐ力」とは何でしょうか?
 現代は、時代の変遷スピードがとても速くなっています。現在重宝されている力も、早晩テクノロジーの力によって不要になる可能性もあります。そのため、社内だけで通用するスキルを磨き続けるより、自己投資をして汎用性につながるような経験、能力、スキルを磨き続けることが大事になってきます。
 汎用性が高い能力とは、「知識、スキル、考える力(思考力)、コミュニケーション力」などと言われます。具体的には、次のような能力です。

◎ 知識……業務遂行知識、業界、最新技術動向、海外動向、顧客、専門業務、制度、仕組み、IT、システムなど。
◎スキル……事務作業、専門技術、語学、IT、資料作成、リサーチ、アナリティクス、文章作成など。
◎思考力……読解力、分析力、判断力、批判的思考力、戦略思考力、論理的思考力、仮説思考力、観察力、状況把握力など。
◎コミュニケーション力……質問、交渉、発信、提案、リーダーシップ、フォロワーシップなど。

 この中から自分が学びたいこと、継続できることを選んで、汎用性の高いスキル能力として磨いていくことが、長い目で見て「稼ぐ力」につながっていきます。
 ここで言う「稼ぐ」とは、「副業で儲ける」といったような意味だけでなく、会社員として「年収を上げてくれる」「希望の部署への異動や転職を叶えてくれる」「定年後も稼ぐことに転化できる」ことを意味しています。
 自己投資(書籍でも勉強でも)は、現在の仕事に関係があるかどうかは度外視して、「長い目で見たときに、自分にとって自己成長につながるか」という観点が大事です。また社内の日常業務でも、「こういった能力を活かせる」「こういった能力が伸ばせる」なら、積極的にかかわったほうがいいでしょう。

自己投資にかける時間と費用の目安

 そこにかけるリソース(時間と費用)は、自分と約束しなければいけません。

・可処分時間(自由になる時間+自分のために使っていい時間)
・可処分費用(得ている収入の中で自分で使えるお金)

 私は、年収の10%程度は大人として自分のために使うべきだと考えています。
 年収が400万円なら、年間40万円。月で言えば3万円ちょっとです。多すぎると思いましたか?
 でも、健康のためにジムに行って1万円、継続して勉強したい教材のために1万円、読書のため月3冊で5000円。残り5000円は受けたい講座が出た時用に取っておいて、1年に一度6万円程度のセミナーや勉強会に参加したり、パソコンの買い替え費用に充てる予定にしている。こんな使い方なら、やっている人はいるのではないでしょうか?
 10%は厳しいと思えば、代用できるものを探せばいいし(ジムをやめてランニングに変更すれば0円)、年間予算として調整すればいいと思います(年間予算で30万円にするなど)。他の予算として調整し、10%は厳しいなら半分の5%でもいいでしょう。そのときに合わせて増減してもいい。しかし「ゼロ」にはしない予算立てが大事です。
 夫婦の場合は、どちらかが家事育児を担っていると、一時的にどちらかの収入が下がっているケースもあるので、その場合は「世帯年収」の10%程度をお互いが使うべきです(各自の年収に合わせると、片方が使えるお金が少なくなる可能性が高いため。夫婦でキャリアのアクセルを踏む瞬間が違うと、年収に差が生まれるため、世帯年収にしています)。

自己投資は、いずれ大きなリターンになる

 継続し投資し続ければ、最終的にそれが「稼ぐ力」として身についていきます。あくまで投資ですので、実らない可能性もありますが、でも、学んだことは決して無駄にはなりません。
 年齢が上がって社内でマネジメントを頼まれるようになったら、生きてくる可能性もありますし、ライフイベントに翻弄(ほんろう)されてキャリアを大きく変えたとしても役に立つ可能性が高くなります。
 実際に必要になったときにイチから何かを身につけようと思っても、時間が味方してくれません。すぐに使えない可能性が高いでしょう。そのためにも、できるだけ早くから自分への投資をすることが肝心です。
 また、他の分野で、学びを始めるときの下地づくりに役に立ちます。新たな情報を選出するときに、「これは自分に向いている」とか、「過去の学びでこういった経験をしたから、次はこれをやろう」などと、選択力アップに使われるからです。
 お金と一緒で「投資」の世界には100%はありません。リスクがあるから、リターンがある。そのリスクの許容度として、1割程度は差し出し続けたほうがリターンが大きいと考えています。
 私の例ですが、前述のとおり、ヨガの資格をいくつか持っています。取得するまでにトータルで100万円以上の経済的コスト、10 年以上の時間的コストをかけています。もともとは、自分の健康維持、興味でやっていました。学び始めると楽しくなり、結果的には「生徒」から「先生」側まで来てしまった感じで自己投資を続けています。
 現在ではヨガを教えたり、またヨガスタジオの運営もしており、かけたコスト以上のリターンがあります。
 これは、私が10年かけて、毎年1割程度の自己投資をしてきた結果です。他にも会社員時代に自らが手を上げて受けた研修や勉強会で培った「交渉力、戦略的思考力、判断力、リーダーシップ」が組み合わさって生きています。
 またこの本を書くのにも自己投資が生きています。私は年間300冊程度の本を読むので、費やす時間や本代は自己投資です。このおかげで、知識量が増えたり、文章力が上がったり、どんな書籍が好まれるかが私の頭の中に記されています。そのため、今こうやって「本を書く力」として還ってきていると感じます。
 もちろんうまくいかないケースもあります。私は最初、文章なら書けるので、ブログに広告を貼るアフィリエイトをやろうとしてみました。自分の時間を「自己投資」して、ネタを書き溜めてブログの構築や体裁を整えたり、SEOと呼ばれるGoogle検索で上位ランキングに表示される術を勉強したりしました。
 しかし、やってみてわかったのは、フルタイムワーキングマザーの私には「時間」が足りない事実でした。私の場合、毎日1時間半程度の可処分時間(自由時間)のうち、全部の時間がブログ書きに使えるわけでもなく、かつ情報がどんどん変わっていくので、向いていないジャンルだったなと振り返ってわかります。
 そのため、自己投資の方法を変えるべく撤退をしました。途中でブログをメイン活動にするのは止めてしまいました。しかし、ブログから寄稿依頼の仕事が来たりと、トータルで見たら無駄にはなっていないと感じています。

自己投資で失敗しても、絶対に残るもの

 自己投資は、短期で見たら失敗でも、長期で考えたら次の行動の土台になります。資産運用(お金)と違って、自分への投資は「経験」が絶対に残るので、お金よりも効率がいいでしょう。資産運用で失敗(元本割れ)しても、失ったお金は戻ってきませんが、自己投資は、「経験」が必ず残ります。
 また、自己投資は、子育てにおける教育面でも思わぬ効果が期待できます。親が自ら学び続ける姿勢を見せていけば、これも子どもたちの教育への投資になるのです。
 皆さんの両親を思い出してみてください。おそらく、仕事を辞めた世代の方が多いと思います。お父さん、お母さんはお金を使うのを躊躇されていませんか? これまで以上に質素に暮らそうとしていませんか?
 現役を引退すると、もう収入が入ってこない人が多い。貯蓄を切り崩していくか、年金だけで生活を成り立たせるしかなくなります。しかし、中には現役の頃から培ってきた習い事などを、公民館等で教えて収入を得ているような人もいます。私の母の例ですが、長年「事務職、経理」に従事し勉強も続け、同時に健康にも投資してきたため、「思考力」も「体力」もあり元気です。そのため、70歳を過ぎた今でも、現役時にお付き合いのあった会社から、時々単発で事務作業を頼まれて収入を得ています。
 あくまで一例ですが、このように毎月いくらかを自分の未来に向かって投資してきた人と、何もしてこなかった人とでは、「稼ぐ力」に大きな差が生まれるはずです。最終的に「防御」の資産が足りなくても、自分という資本に投資をしてきた人は、攻撃、「稼ぐ」ことで乗り越えられます。
 自己投資は、一番効果的でリターンの大きい投資なのです。

今回ご紹介した新刊『ワーママはるのライフシフト習慣術』のテーマは、タイトルどおり、「人生100年時代に向けて、自らの人生をライフシフトする習慣術」です。

【主要目次】
第1章「仕事」の習慣──夫婦は共同経営者、自分のキャリアを大切に
第2章「人間関係」の習慣──ライフステージに合わせた思考法
第3章「子育て」の習慣──親も子も自立する関係
第4章「お金」の習慣──家族と自分のために経済的自立を目指す
第5章「学び」の習慣──人生の豊かさを決めるエッセンス

自らの人生にライフシフトするために必要な重要エッセンスを、ロジカルに習慣術としてまとめた1冊です。興味のある方はチェックしてみてください。

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▼著者自らが本書の概要を解説した音声を聴けます

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