見出し画像

「リモートワーク」でもウツ気味ならず、心が健康になる呼吸法

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

以前に比べて、「最近、声を出して話す時間が減ったな」と感じることはありませんか?

仕事にしろ、プライベートにしろ、メールやチャットで簡単にコミュニケーションがとれるようになったので、電話で話す機会が減ったり、わざわざ人に会いに行って話すことが減ってきています。特に最近は、「リモートワーク」が増え、声を出す機会はますます減ってきている人も多いのではないでしょうか?

実に効率的、利便性が高くなったと思えるのですが、声を出す機会が減ったことで、ある大事なものが同時に減っているんです。

それは、「1日の呼吸量」です。

呼吸の専門家で、『呼吸で心を整える』の著者、倉橋竜哉さんによると、何もしない平静時に比べて、声を出して話しているときは、その分だけ呼吸量が増えるといいます。

 呼吸は、何もしないときはもちろんですが、声を出すときも行なわれます。息を吐きながらでなければ、話すことができません。
 試しに口と鼻を塞ふさいで、何かを話そうとしてみてください。「ゔー」といううめき声すら出すことができないでしょう。
――『呼吸で心を整える』より

逆に言えば、声を出す機会が減ると、その分、呼吸量が少なくなっているわけです。1日の呼吸量が少なくなると、その分だけ息が浅くなるそうです。

では、息が浅くなると、私たちの心身にどんな影響があるのでしょうか?

 息が浅くなると、自律神経のコントロールが不安定になり、些細なことで心が振り回されやすくなったり、ストレスに弱くなってしまいます。
(中略)
 具体的な症状としては、情緒不安定、不安感やイライラ、被害妄想、うつ状態、人間不信などに陥りやすくなります。
――『呼吸で心を整える』より

声を出す機会(1日の呼吸量)が減るだけで、自分の心に大きな影響を与えるとは驚きです。今後、さらに「リモートワーク」が推進される時代に生きる私たちに、倉橋さんがぜひおすすめしたい呼吸法があるといいます。

それは、「声を出す呼吸」です。

「声を出す呼吸」は、深い呼吸ができるようになるためのトレーニングです。深い呼吸ができるようになると、ストレスの耐性が鍛えられ、まわりの出来事に心が振り回されづらくなります。また、お坊さんの読経と同じく「声を出す呼吸」そのものに、ストレスを浄化する作用があります。
――『呼吸で心を整える』より

「声を出す呼吸」の具体的なやり方は、次の通りです。

①声を出して読み上げるテキストを用意する
テキストは音読しやすいものであれば、何でもかまいません。何か信仰しているものがあれば、その一節などの経典でもいいですし、外国語の勉強をされている人なら語学のテキストでもいいのです。読みやすさでいえば、子ども向けの絵本でもいいでしょう。

②テキストは机の上に置かず、持ち上げて目線を水平にする
読むときには、テキストを机の上に置くのではなく持ち上げて、目線を水平にするのがポイントです。

③できるだけ低く響く声で読み上げる。できるだけ息継ぎを少なく
お坊さんの読経を思い出してみてください。とても低く、そして響きのある声をしているのがわかると思います。響きのある声を出すことで、ストレスを軽減し、心の浄化作用を生み出します。
そして、いつ息継ぎをしているのかわからないほど、息が長く続いています。息を長く続けることを意識しながら読み上げることで、肺活量が鍛えられ、深い呼吸ができるようになります。
――『呼吸で心を整える』より

時間は3〜5分でOK。息継ぎを少なくするために無理をしてはいけませんが、「ちょっとだけ苦しく感じる」ぐらいがベスト。前かがみになって小さな声でゴニョゴニョと読んでも、あまり効果はないそうなので、注意してください。

では、「声を出す呼吸」と「一般的な音読」と何が違うのでしょう?
倉橋さんは、その違いについて次のように解説しています。

「できるだけ息継ぎを少なくする」点です。
 音読といえば読点「、」で息継ぎをする、区切りを入れたメリハリのある読み方をする場合が多いでしょう。
 しかし、「声を出す呼吸」では、読点でもできるだけ息継ぎを少なくして、音読を続けていきます。
 もちろん、息継ぎを少なくすると息苦しくなります。この息が苦しい状態、つまり体の中から息をできるだけ出し切っている状態をつくることが大切です。

「どれくらい苦しくなるまで息継ぎを少なくすればいいのか?」が気になるところでしょう。
 目安は、「無理なく読み続けられる程度」です。苦しすぎて息継ぎをするたびにゼーゼーと息切れするようでは、やりすぎです。
――『呼吸で心を整える』より

短距離ランナーのように瞬発的な力を出すのではなく、長距離ランナーのように長続きする息づかいがいいようですね。

倉橋さんは、「声を出す呼吸」の効果をさらに上げるためのポイントを、次のように解説しています。

「声を出す呼吸」では、テキストを「読む」のではなく「読み上げる」ことが大切です。
 辞書によると、「読み上げる」という言葉の意味には、「最後まで読む」という意味の他に「大きな声で、しっかりと読む」という意味があります。
 読み上げるときには、下を向くのではなく、顔を上げることがポイントです。
 本書を読んでいるあなたは、今、顔が下向きになっていませんか? そのまま声を出そうとすると、喉が詰まってしまって、声が出しづらいですよね。
 喉仏(女性にも小さな喉仏があります)がある位置の喉の内側に「声帯」と呼ばれる太鼓の膜のような器官があります。
 普段、声を出さずに呼吸だけしているときは、この声帯が開いている状態になっています。
 声を出して喋ったり、歌ったりするときに、この声帯が少し閉じて、膜を張った状態になります。この膜が空気で振動することで「声を出す」ことができるようになります。
 しかし、顔を下に向けると、ちょうど声帯の部分が圧迫されて、声が出しづらくなってしまいます。
 小学校の国語の授業で先生が、教科書を音読するときに児童に対して「教科書はしっかり持って、前を向いて読みなさい」と指導します。お坊さんが読経をする際は、前を向いていますし、全身を楽器のように響かせて歌っているオペラ歌手に下を向いて歌っている人はいません。これらはすべて、声を出しやすいようにするためなのです。
 空を見上げるぐらいまで顔を上げる必要はありませんが、少なくとも、目線が水平になるまでは顔を上げてください
――『呼吸で心を整える』より


ここまでお伝えしてきた「声を出す呼吸」やり方とポイントをまとめた図はこちらです。

声を出す呼吸_図版

私も実際にたまにやってみるのですが、同じテキストでも「読む」のと「読み上げる」のでは、終えたあとの爽快感がまったく違います。ぜひ気持ち良く「読み上げて」みてくださいね。

さらに倉橋さんは、「声を出す呼吸」が心を整える効果のみならず、実際の身体に対しても効果があることを言及しています。

 声を出すことは、ちょっとした運動になります。声を出しながら深い呼吸を繰り返すことで、血流量が増えます。また、響く声を出すと、全身が楽器のように震えるので、その振動が全身の細胞をゆるめて、毛細血管まで血が通いやすくなります。
――『呼吸で心を整える』より

これからの季節、冬場、朝起きると、とりあえずストーブの前でしばらく暖をとらないと動けない人、あるいは、冷え性などで手足の先が氷のように冷たくなってしまう人にもおすすめです。

最後に、倉橋さんの呼吸講座で「声を出す呼吸」を学んだ体験者の声をご紹介します。

【体験者の声】
心が不安定だった子どもが穏やかに(専業主婦・T さん)


10 歳と8 歳の2 人の息子がいます。2 人の息子と一緒に毎日「呼吸の七曜日」のテキスト(読者特典:無料ダウンロードURL http://www.2545.jp/kokyu/)を読み上げて「声を出す呼吸」をしています。
 最初は、子どもにはちょっと難しい内容かなと思ったのですが、繰り返し声に出して読ことで、子どもなりに理解を深めているようです。
「声を出す呼吸」を1 カ月してみました。もともと男の子2 人で1 日に1 回は兄弟ゲンカをしていたのですが、そういえば最近ケンカするのを見かけなくなりました。
 その話を夫にしたところ、「おまえも子どもたちを怒ることがなくなったよね」と言われました。もしかしたら、私がイライラして怒るから、子どもたちもイライラしてケンカをしていたのかもしれないと気づかされました。
 また、下の子が、少し心が不安定で、時々夜になると「明日は学校に行きたくない」と言うことがありました。それでもきちんと学校に通っていたのですが、もしかしたら不登校になってしまうかもしれないと心配をしていました。
 ところが、「声を出す呼吸」を一緒にするようになってから「学校に行きたくない」と言わなくなりました。それどころか、学校であった楽しかった話を家でいろいろしてくれるようになりました。
 息子たちがいつまで私に付き合ってくれるかわかりませんが、これからも「声を出す呼吸」を続けていこうと思います。
――『呼吸で心を整える』より

いかがでしたか?

倉橋さんの著書『呼吸で心を整える』では、呼吸と心が深く関連しているメカニズムを説き明かしながら、それぞれの情動に合わせた呼吸法をわかりやすく解説しています。興味がありましたら、チェックしてみてくださいね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?